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28.


医療品の補充は、第四騎士団へ。

同行訓練の依頼は、第五騎士団へ。

次回の魔物討伐の予定表は、総団長と第六騎士団へ。

近々王族が王都のお忍びを予定しているから……


「総団長には持っていったから、次は第三騎士団か。」


頭の中で各部署のルートを描きながら、早足に一階の渡り廊下を進む。


すれ違う部隊長クラスの人に頭を下げるのも、もう慣れたものである。

日々業務をこなしていると、自然と部隊長クラス以上の人と顔見知りになる。

顔を見たら、名前だけで覚えるより、覚えが速くなった。


さすがに一般騎士は多すぎて、全員所属と名前と顔を一致させるのはまだできないが、顔を見れば所属を言えるくらいにはなった。


前世の私なら絶対に不可能なことだが、今世の私はハイスペックなのだ。


だからすれ違った人が騎士か騎士でないか、騎士ならどこの騎士か間違えずに言える。


何でいきなりそんなことを言い出したのかというと、さっきすれ違った人が、騎士の制服を着ていたにも関わらず、私の記憶にない顔をしていたからだ。


新規で騎士を雇ったといった話は、一言も聞いていない。

だから新人騎士ではない。


騎士ではない人が騎士の制服を着ている理由は、目立ちたくないからだろう。

目立ちたくない理由を考えると……嫌な予感しかしない。

見つけてしまった以上、放ってはおけない。


私は持っていた書類を亜空間に放り込むと、気配を最大限消して、跡をつけた。


彼が向かった先は、廃棄処分予定の武具が置いてある倉庫。

ここに用があるのなら、一つの可能性は消えた。


一つの可能性。

それは、高貴な人がバレないように騎士団に来るという可能性だ。


その線は消えたので、残る可能性は、男女の相引きか敵国の間者か。


廃棄武具倉庫に、気配を消した人間が一人。

そして、合流した騎士もどきが一人。

気配を消すことに力を入れ過ぎているため、そこだけがポッカリ穴が空いているように不自然な状態になっている。

こういう時は、気配を周りと同調させないと。


私は周りと同調させ、木の影に隠れて、こっそりと様子を見守る。


「確認できたか?」


「はい。竜の件は、全くの偶然だったようです。」


「運がなかったということか……」


「ワイバーンを失ったのは痛手でした。ですが、これは朗報でもあります。」


「ああ。竜が王国に従っていないなら、次は負けん。」


「はい。国力は我が国の方が優っています。ワイバーンの育成も進んでいるので、次は負けることはないでしょう。」


「できれば竜も手に入れたいところだが、高望みはしない。」


ここまできたら、間者確定でいいよね?






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