2.
なんだかんだで、月日はあっという間に流れていった。
ご飯を食べて、寝て、遊んでの繰り返し。
赤ちゃんなんて、そんなもんだよね。
私はルクセイラ、ぴちぴちの五歳!
真名はルクセイラ・ユーフェン。
私の名前は母さんがつけた……わけではなくて、魂に紐付けされている、らしい。
そして真名は、特別な時にしか使用しない、他の人に知られてはいけない大切な真実の名だ。
勝手に名前が浮かんできた時は、すごく驚いた。
それだけではない。
この世界のこと、竜族の役割や歴史なんかも、一気に頭に流れ込んできた。
情報を整理するのが大変だったけど、おかげで世界のことを色々知ることができた。
この世界には、様々な生物が暮らしている。
前の世界と違うのは、魔物、魔人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、竜族、妖精族、精霊族と言った、多種多様な種族が暮らしているところ。
これぞまさに、ファンタジーな異世界だ。
そして何より、魔法がある!
私たち竜族の役割は、大気中の魔素を安定させることと、世界を監視すること。
だからどの種族よりも、大きな力が与えられている。
他の種族から見ると、世界の管理者のようなものだ。
どうやらこの世界には神がいないらしい。
この世界を創る時に、消滅したようだ。
代わりに竜族が、神のような役割を担っている。
とは言え、全ての竜族が管理者かと言えば、そうではない。
竜族の中でも特別な役割を持った者が、この世界の管理を担っている。
一般の竜族は、そこにいるだけで魔素を安定させ、他種族を威圧するため、特に何もしていない。
そして信じられないことに、特別な役割を持った竜族の一人が、この私である。
……何でそうなった!?
悠々自適に過ごしたかったのに!
いや、自由に過ごすけど!
こんな役割は要らなかった……
まぁ、言ったところで、生まれてしまった以上仕方のないことだ。
竜族時間でのんびりやっていいらしいので、好きなことをしつつ、隙間時間に役割をこなそうと思う。
竜族の寿命は最低でも五百歳なので、十分のんびりできる。
望んだ通り空を飛べるので、あまり文句は言わないでおこう。
この世界は、魔力の器が大きければ大きいほど寿命が長い。
例外はあるものの、種族ごとに大体の寿命は決まっている。
そして、寿命が長いほど繁殖能力が低い。
この世界で一番寿命が長いのが竜族で、一番短いのが人間だ。
繁殖能力はその逆になるので、竜族が一番個体数が少なくなる。
一番個体数が多いのが人間なので、人間の国が大半を占めている。
場所によっては、人間ファーストで、他種族を奴隷にしている国もある。
残念ながら、そんな国が多いのが、この世界の現状だ。




