26.
第一騎士団長に案内されたのは第一寮の最上階。
団長たちと、女性騎士の部屋が連なる一角であった。
女性騎士は少なく、一般の男性騎士たちと間違いがないように、団長たちと同じ階にしているとのことだ。
人数の関係上、たまたま私は一人部屋になった。
下働きの三人部屋もそれはそれで楽しかったが、一人部屋も楽でいい。
「鍵はこれをどうぞ。無くさないように気をつけること。荷物の移動に手伝いはいるかい?」
「いえ、荷物はそんなにないので大丈夫です。」
「わかった。制服他、必要なものは、部屋に用意してある。今日は準備に時間を使うように。明日は着替えと朝食をすませたて、朝八時に騎士団本部にある私の執務室に来るように。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「じゃあ、明日から頼むよ。」
そう言うと、第一騎士団長は去っていった。
この選択が、吉と出るか凶と出るか、神……は、いないので、光竜ですらわからない。
吉にするか、凶にするかは、私の行動次第。
ただ、これが一つのターニングポイントであることは、間違いないだろう。
――――――
「えぇぇぇーー!?」
「すご〜い。騎士団に正式雇用って、おめでとう〜」
「ありがとう。」
いつものように、仕事を終えたアンナとミミに今日の報告をすると、すごく驚かれた。
まぁ、当然と言えば、当然だ。
「しかも、王族の護衛である第一騎士団所属って、出世じゃない!」
「そうは言っても、ただの従者だよ?私が王族の護衛になることはないから。」
「だとしても〜すごいことだよ〜」
「えへへ。」
そんなに褒められると照れる。
二人のリアクションを見る限り、今回のことはかなりの大抜擢みたいだ。
少し私の認識を改めないといけない。
また、やっかみが増えると面倒だな……
お貴族様に、突っかかれないといいけど。
そんなことは全く考えていなかったので、今更ながら、少し不安になってきた。
「何か手伝うことある?」
「大丈夫。荷物は全部移動させたから。でも、三人で過ごせるのは今日までだから、寂しいな。」
「せっかく仲良くなれたのに〜」
「本当よね。残念。」
「下働きの仕事ももうすぐ終わるけど、二人ともどうするの?」
「私は職業斡旋所で、新しい仕事を探すわ。」
「私は実家に戻るかも?と、言っても、王都だけど〜」
「三人ともバラバラになるわけか。でも王都にいるなら、また会えるよね!」
「ええ。」
「もちろん〜」
そうして、三人の最後の夜は、いつもより賑やかにすぎていったのだった。




