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25.


数日後、私はまたしても騎士団本部に呼ばれた。

案内されたのは、最上階の一番大きな部屋。

厄介事の匂いしかしない。


部屋の中にいたのは、騎士団総団長と第一騎士団長の二人。

総団長に、ソファに座るように促されたので、素直に座ることにした。

私の正面には総団長と第一騎士団長が座った。


「さて、先日、騎士団の者が君に危害を加えようとした件だが、あの五人は第三騎士団長が、責任を持って躾直す。何か要望があれば聞くが?」


「いえ、大丈夫です。特に被害はなかったので。」


むしろ私が怪我させたようなものだからね。


「そうか。では次に、君に提案がある。君には第一騎士団長の従者になってもらいたい。」


「えっ……?」


「何事にも動じない冷静さ、頭の回転の速さ、男二人を行動不能にする強さ。それを騎士団のために使ってもらいたいと考えている。」


「今騎士団は人手不足なのです。少し前にあった戦争で、多くの命を落としました。それゆえに、人手が必要なんです。あなたならできると判断されました。」


「どうだ?」


私にとってメリットはない。

かと言って、デメリットもそんなにない。


「何故、侍女ではなくて従者なのですか?」


「侍女では、戦闘を想定される場所に連れて行けないからだ。条件に自衛が入っているのは、そのためでもある。」


なるほど。

確かに戦えない人を連れて行くのは、騎士団全体の問題にもなりかねない。


人間の、加えて国の中枢に片足を突っ込むのは、躊躇いがある。

だが一つ、ずっと気になっていることがあった。

以前にも感じたことだが、総団長から不思議な匂いと不思議な感覚がする。

それどころか、何かに引っ張られるように意識がそらせなくなる。

なんだろうか、この感覚は。


人型だと竜の姿の時よりも、どうしても感覚が鈍くなる。

竜の姿になれば、この不思議な感覚をもっと正確に掴めると思うのだが、ここで竜の姿なるなんてしない。

この疑問が解決される時は来るのだろうか。


何にせよ、気になることがあるなら飛び込んでみるのも一つの方法。

やってみて、嫌になれば辞めればいいだけだ。


「わかりました。お受けします。」


「では、この契約書を確認してサインしてくれ。」


職務内容、禁止事項、給料、労働時間等、細かく書かれた契約書を隅々まで確認して、一番下の欄に名前を書いた。


「これをもって、正式雇用となる。よろしく頼む。」


「はい、よろしくお願いします。」


「では、こちらへ。部屋に案内します。」


「ありがとうございます。」


総団長に挨拶をして、執務室を後にするのだった。






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