19.
「ちょっと!聞いているの!?」
「はい、聞いています。」
……ごめんなさい、面倒くさくて聞いてませんでした。
「もういいわ!いい気にならないことね!ふんっ!」
金髪をバサっと振り払い、足音を立てながら去っていった。
やっと、金髪の派手な侍女の八つ当たりが終わった。
私は一つため息をつくと、通常の業務に戻った。
八つ当たりのせいで時間が押している。
急がないと、次の仕事に差し障ってしまう。
何もなければいいんだけど……
私は知らない間に、フラグを立ててしまうのだった。
――――――
私の立てたフラグは、早々に回収されてしまった。
「君、ルクセイラだったな。一緒に来てもらおう。」
いつも通り午後の掃除を行なっていると、知らない騎士に呼び出された。
なんだか雰囲気が固い。
何かあったのだろうか?
「……え?あの、仕事が……」
「優先事項だ。」
「わかりました。」
今は何を言っても無駄そうなので、大人しく着いていくことにした。
騎士によって連れてこられたのは、騎士団本部の建物。
最初の案内以来、来ることがなかった場所だ。
嫌な予感がヒシヒシと感じられた。
騎士がある扉を開けると、中に入るように促された。
恐る恐る入ってみると、第一騎士団長他、複数の騎士と例の金髪の派手な侍女がいた。
あ、これ、また何かに巻き込まれたな。
「私は騎士団総団長ヴィルセン・イーゼルだ。君に来てもらったのは聞きたいことがあったからだ。ハワード。」
「はっ!第二騎士団長ハワード・ペイスだ。先日、内部文書が紛失するという事件があった。その内部文書が敵国の間者が所持していたことが発覚した。もちろん、間者は捕まえているし、内部文書も回収済みだ。我々は、内部のものが間者に渡したのではないかと疑っている。調査をしたところ、君が怪しい動きをしていたと報告があった。」
「ご苦労。さて、君は二日前の夜、どこで何をしていた?」
あ、これ疑われてる。
でもなんで……
考えていたら、視界の端に金髪の派手な侍女が目に入った。
彼女は口元を手で隠しながら笑っていた。
そういうことね。
私を犯人にして、処罰させたいんだ。
「いつも午後六時に仕事を終えたら、下働きの寮に戻っています。そこで夕食をとって、そのまま朝まで部屋で過ごしています。夜に寮から出ることはありません。二日前も、そのように過ごしています。」
「それを証明するものは?」
「同室の二人に聞いてもらえれば。」
「そうか……」
「お待ちください、総団長様。彼女、同室の者と仲がいいようですわ。口裏を合わせている可能性があります。」
「同室の二人以外に、証明する者は?」
「いえ、基本的に部屋から出ないので、他の人は……。」
部屋にいたのに、アンナとミミの証言が信用できないってなったら、他に知る人がいるはずがない。
どうしようか……




