11.
「これが、竜の起源と始まりの物語だ。」
規模が大き過ぎて、わけがわからない。
私たちの役割は知っていたけど、その大元にはこんなことがあったなんて。
でもこれは、ただの物語ではない。
前世みたいに、信じられないような神話の話ではない。
本当にあったこの世界の過去で、これから先の未来を示唆している。
一言言わせてほしい。
……こんな運命だと知っていたら、転生なんて望まなかったよっ!!!!
何してくれてんの!?
ちょっと、責任者出てこい!!
あまりに驚き過ぎて、一言では済まなかった。
「つまりこの先、堕神との戦いが控えていると言うことですか?」
「そうだね。だがそれが明日なのか、千年先なのかわからない。いずれ戦う宿命にある、と言うことだね。」
「ヘブライラさんから見て、今の状況はどう思いますか?」
「わかり易く五段階で表すと、三、かな。明日ということはないだろうけど、百年二百年の間には、何か起きそうだね。」
つまり対処するのは、主に私、ということか。
「今の人間と、他種族の仲が非常に悪い。人間同士で戦争をして、瘴気を増やしている。また、人間が他種族を虐げるせいで、他種族からも瘴気が増えている。瘴気から化獣が生まれ、さらに濃くなると堕人が生まれる可能性がある。」
「まずは、そこを如何にかしないといけないですね。堕神側の戦力を削るためにも、瘴気を減らすためにも。」
「人間と関わるときは、十分に気をつけなさい。人間は狡猾で欲深い。少しでも油断すれば、足を掬われる。いつでも逃げる準備は整えておくように。」
「はい。肝に銘じます。」
私だって元は人間だ。
人間の欲深さには、際限がないことくらい知っている。
一方で、義理堅く、信頼のおける人がいることも知っている。
一番大事なのは、その見極め。
人を見る目を養わないと。
「さて、暗い話はここまでにしよう。何か知りたいことがあれば、私の知っている範囲でよければ伝授するよ。」
ヘブライラさんは、暗い空気を変えるように話題を転換した。
確かにこれ以上ここで考えても仕方のないことだろう。
なるようにしかならない。
ある程度は流れに身を任せよう。
きっとその流れの先に、来るべき未来が来るだろうから。
「いいんですか!?では、治癒魔法について、色々と教えてもらいたくて!」
今一番知りたいのは治癒魔法だ。
今後のためにも、ぜひ教えてもらわなければ。
「治癒魔法には二種類あって……」
その後、時間の許す限り、治癒魔法について議論を交わした。
結局、同年代との交流はできずじまいになった。
村長会議が終了した後、私たちは行きと同じく集落まで飛んで帰ったのだった。




