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【代償】

作者: クロコ

人と人との関係は、心の通じ合いがあってこそ成り立つもの。

相手のことを考えず、自分の感情や都合だけを優先した一方的な行動を繰り返していると、

いつかその代償を支払うことになる。

それがどんな形で返ってくるのかは、

その時にならないと誰にもわからない。

俺は、昔から顔立ちがよく、女性の方から言い寄られる。

いままで自分から女性に告白したことなんてない。

だからってわけじゃないけど[彼女]には困ったことない。

ただ、自分が気にせずにしていた行動で、

こんな結末になるなんて想像もしてなかった…。

死の走馬灯で自分の行いを見返すことになるなんて…。


仮にその女の名前をA子と言うことにしよう。

当時、俺はA子と付き合っていたが…

マンネリ化してしまって、隣にいても何も感じることがなく一方的に別れた。

ただ、俺にとってこれは珍しい事ではなくて、[飽き性]な性格なんだと思う。

最初は猛烈に愛おしくなるけども、一定の期間を過ぎると急に覚めちまう。


言うなれば、花火と一緒なんだ。

最初は勢いがよくきれいに映る火花。中盤からラストに向かってその勢いは徐々に落ち、最後は消える。それの繰り返し。


だから、彼女と別れる事に対し、何の思い入れも感じることはなく、

俺が一緒にいても、[つまらない]から別れる。

理由なんてただそれだけだった。


ただ、A子と別れてから、俺の身の回りで[おかしな事]が起き始めたんだ。

それに気づいたのは、A子と別れて2か月くらいが経った頃。

俺がどこに行っても、視界の横にA子がいる。

ただ、しっかり目視ができるっていう感じゃなくて、視点を移し替えるその瞬間、

視界の端でA子らしい女をとらえる。

言い換えれば、街を歩いていて、ふと気になった店があるから、そっちに視点を移す。その瞬間に電信柱の影や自動販売機の隣あたりにA子らしい女がいるんだ。

不自然なのが、違和感を覚えてA子らしい女がいた所に視点をやるとそこにはいない。

ただ、記憶にだけは鮮明に残ってるんだ。だってよ、その一瞬とらえるA子らしき女は

絶対に…「こっちを見ながら笑ってる」んだよ。どんな時も…。

俺は、それに気づいた時すげー気持ち悪くなったのを今でも鮮明に覚えてる。


それ以外にも…。俺が寝てる時のことだ。

ふと、寝苦しさを覚えて目を開けると、夜中にも関わらず、

目の前にA子らしい女が立っていたんだ。

その女は、笑いながら包丁の刃先をこちらに向けていた。


そしてそのまま…。

「人に与えたキズがわからない。なら、これでわかるよね? ねえ?」

そう言って、そのまま包丁をこちらに振り下ろしてきた。

俺は「うわぁぁぁぁ~」

大声を上げ、気が付くとベッドの上で汗だくになっていた。

「ゆ…夢なのか?」

大量に噴き出る汗を手で拭い取り、ベッドに手を着くと、そこには刃物で突き刺したようなモノが残っていた。

その瞬間、俺は完全に思考が停止した感覚になっていた。

一度、冷静になろうと思い、顔を洗い、ベランダで煙草を吸う。

俺の中で、あの気の弱いA子がそんなことができるとは思えない。

そんなタイプの子じゃないと思い、電話で確認することにした。


「もしもし~ 別れて以来だね。どうしたの?」

いつもの雰囲気で電話にでるA子。そして、俺は本題について話した。

A子らしき人物が俺の行く先々で現れること。

昨晩、深夜にA子らしき人物が包丁を持って襲ってきたこと。


A子「私が君をストーキングして、さらには包丁を持って君のことを襲ったと…?」

「A子じゃないよな?」

そう聞き返すと、爆笑された。

A子「確かに君はモテるよ。性格は難ありだけど…私も好きだったし。

だからって、それは自信過剰すぎない? いくら私でも、君をストーキングするほど暇じゃないし、私はそんなに馬鹿じゃない。」

そのまま昨晩の出来事についても話す。

A子「それに夜中に君を襲うために不法侵入した?

そもそも君のマンション、オートロックだよね…!

ほかの子には、合い鍵を渡すことあったのかもしれないけど、

私…君から合い鍵なんてもらったことないよ?

どうやって君の部屋に入るのかな? エントランスのロックは通過できても

鍵を持たされた事のない私が君の部屋に入るなんて不可能だよね。」


言い返すことのできない正論を叩きつけられ、一方的に電話が切れた。


「確かに…そうだよな。そもそもA子が俺の部屋に入るなんてできないんだ。」

そう呟きながら、ふと1Fに視界を向けると、笑ったA子がこっちを見ていた。

そして、声こそ聞こえないはずなのに、

はっきり口の動きで何を言っているかが分かったんだ…。


「まだまだこれからだよ。」


俺は、今まで感じたことのない恐怖を感じ、部屋に入った。

それからも街に出るたび、視界にA子をとらえることはあったものの、

日常的にそれが起きすぎて、いつしか慣れてしまっていた。


そんなある日、親友から合コンの電話が入った。

そのついでに俺は今、自分の身の回りで起きていることを親友に伝えた。

親友「モテる男も大変だな。気にしすぎじゃねぇの? お前自身どっかで

A子ちゃんの事がまだ好きで、無意識の内にその残像を追ってしまってるとか?」

半分ふざけながら返事をする親友に対し、

「俺がA子をまだ好き? それは絶対にないな。完全に飽きているのは確かだわ。」

親友「言ってる事がひどいってことだって、お前は理解してないんだろうな…。

女に悩んでる時こそ、[合コン]でも行って、女の記憶は

新しい女で上書きだろ?

お前が常に言ってることだろ?」

「そうだな。そうだよ。お前のその言葉で思い出したわ。A子のことで

本来の本質を忘れてたわ。そうだよ。新しい彼女でも作って吹っ切るわ。」


その時、受話器の向こうで、叫び声が聞こえた。

「どうした?」

親友「いや…お前と話してる間、ずっとお前の声とは別に雑音が混ざってたんだよ。

俺も今日は電波状況が悪いんだな、くらいで気にも留めてなかったんだ…。

ただ、お前が『新しい彼女でも作って吹っ切るわ』って言った瞬間、

その雑音が女の声に変わって、はっきり聞こえたんだ。

[まだ懲りてないんだ…。ほんとにバカだよね…。]」


それを言い終えると、通話が突如として切れた。

耳に当ててるスマホを正面に持ってく。その瞬間…そいつは俺の真横にいた。

A子でもこれまで付き合ってきた女でもない。全く知らない女が

「まだ懲りてないんだね! 馬鹿だよね~。ハハハ」

電話で親友が言った言葉と同じ言葉をその女は言ってきた。

ずっと笑ってるその女…。

「お前誰だよ…どっから入った?」

怯えながらも震えた声でそいつに言葉を投げかけると、

急に笑うのをやめて…その表情は怒った顔へと変わり、

「そっか…じゃあ 来てもらうしかないみたいだね。」

そう言うとそいつは消えていた。


その時…親友から再度、着信があり電話に出ると、


親友「もしもし あのさ…俺の姉貴がお前に電話しろって言ってきたから…」


話している途中にも関わらず、その電話は親友の姉へと変わった。

親友の姉「君を助ける義理もない。だから、この子に電話をさせた理由だけ伝える。

このままだと君についてる数十人の生霊に取り殺されるよ。」

その言葉に理解できないまま固まっていると、

親友の姉「まだ死にたくないなら、

自分の行動とこれまでの行いを振り返ることだね。」


それだけ言うと電話は親友の姉から一方的に切れて終わった。

なにがなんだかわからないまま、一服しようとベランダに出て、煙草に火をつける…。

その瞬間…あまりの光景に咥えていた煙草を落とす…。

俺の視界に入ったのは、何十人もの女が1階からこちらを笑いながら見ていた。


そして、

「もう遅いよ」


そう言って全員が笑うのをやめた時、

突如、何者かにベランダから押され、一階に転落。

落ちる最中、はっきりと聞こえた。

「バカは死ななきゃなおらない…わははははは。」


俺を突き落としたのは、A子だった。

いや、もしこれまでの出来事すべてが生霊によるものだと言うなら、

[A子の生霊]だったが正解なのかもしれない。

生霊というのは、基本的に無意識に出現していることが一般的です。


一方的な愛に振り回された女性たちの恨みつらみが、

無意識の内に生霊を発現させ、その男に定着させた。

そこまで恨まれるのは、よっぽどのことです。


とはいえ、自分勝手な行動ばかりしていると、

自分の知らない所で誰かに恨まれている。

そんなことが、あなたの身にも起きるかもしれません。

気を付けてくださいね。


今回も、少し斜め上の内容をお届けしました。


こういった、空き時間にサクッと読める内容を

これからも投稿していきますので、

楽しんでいただければと思います。


皆さんの声とともにこれからも成長していきたいと思っています。

皆さんのお力添えを頂ければ、すごくうれしいです。

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