表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/15

9 攻略中の思考と初心者配信者


 「...」


 小さく息を吐きながら、周りを囲む複数のリザードマンを相手にする。その数は6体。

 人型ではあるが、尻尾があり鱗があり、武器も持って連携を組んで襲い掛かってくる。


 ダンジョン83階層、ここではリザードマンの集団が最も厄介な魔物となる。

 切り札を使えば突破することはできるが、使ってしまえばその後の探索は困難になりここで探索を打ち切ることになる。それにそれでは前回攻略した時と何も変わらない。


 厄介な魔物ではあるが、以前よりははるかに余裕を感じる。

 ブルーオーガを周回し81階層の魔物を何度も倒したことによるレベルアップ、それに装備の調達により俺も強くなっている。

 こいつらも苦労はするが勝てる相手にはなった。


「ふっ!」


 息を吐きながら最後の一匹を斬りつける。すべてが粒子化した後で自分の状態を確認するが、少し装備が傷ついただけで俺自身に傷はない。


(ちゃんと強くなれているな。大丈夫、少しずつ進んでいる。)


 自分に言い聞かせるようにそう考える。

 頭では、探索を急ぐ必要がないとはわかっている。現状で先を越されるような動きはないし、焦った方が危険だというのは理解している。


 それでも心のどこかで、もっと探索を進めたほうがいいんじゃないかと考えている自分もいる。


 今はまだ体が動く。だがのんびりしすぎて10年、20年と時間が経ち、体が衰えてしまったら?その時に、今と同じように探索ができるのか?


(そんな先のことを今から考えても仕方ないのにな...)


 今は目の前の階層を一つずつ攻略していく、それで問題ないはずだ。

 ソロ故の悩みかもしれない。答えの出ない問題を一人で考え続けてしまう。そう思うとチームが羨ましいと思う時もある。


 最近調べた「彩風三花」「烈煌四雅」、あのチームはいい雰囲気だった。協力して未知に立ち向かうという、世間的にもわかりやすく憧れになる探索者。

 チーム故の足並みの揃えなどの問題もあるだろうが、安全面や精神面などを考えてもチームの方がいいのだろう。


(でも、俺は俺の道を行くしかない)


 もし誰かと組めば、と考えるときはある。だが今更ソロをやめても自分が困るだけだろう。がむしゃらに突き進んで周りを見る余裕がなかったとはいえ、一人でやっていくと決めたのは昔の俺自身だ。


 しかしチームは組まないまでも、ダンジョンについて少しくらい話し合う関係の人がいてもいいかもしれない。相手は選ぶ必要はあるだろうが...


(あー、そういえば大学の課題。今週中だったな、やらなきゃ。)


 思考がどんどんずれていく、ついにはダンジョン以外のことも考え出してしまった。

 だがこの階層でこんなことが考えられるというのは、余裕が出てきたということだろう。

 俺はそう前向きにとらえることにした。


─────────────────────────────────────


【新人探索者 3度目の探索 二階層に潜ります!】


「あ!ゴブリンそっち行ったよ!」

「うお!ちょっと待って!まだこのスライムやりきれてないから!」


 第二階層で、2人の男女が魔物と戦いを繰り広げる。

 近くを飛んでいるドローンが、その不慣れな戦いの様子を映しだす。


:焦らないでー

:初見

:お!初見さんこんにちは~


 配信を見ているのは数人。コメントの流れも緩やかである。


「あ!ねえねえ初見さん来たよ!ここでかっこよくゴブリン倒さないと!」

「無理無理!手一杯だって!」


 スライムは女の子が剣で倒し、ゴブリンは男の子が何度も斬りつけることでようやく粒子化していった。


:お疲れ様~

:さあドロップ品と装備チェックだぞ

:2人チームですか?


「あーーーー焦った。複数匹で来られると立ち回り難しいなー」

「初見さんいらっしゃい!そう、2人チームだよー。ねえねえ、装備に傷ついてない?」

「うわほんとだ。これレンタル品なのに。追加料金取られちゃうなぁ。」


:初々しいですね

:レンタル品なあたり初心者感出てる


「感っていうか、ほんとに初心者だからね。」

「まだ自前の装備も集まってないもんねー。あー、宝箱とか出てほしいなー。低階層は出やすいんだよね?」


:出やすいけど、1、2階層はそこまでかも

:4、5階層が特に出やすいって言うよね。

:3階層までで戦いに慣れて、4、5階層で装備集め。6階層から本格的に探索。これが基本の流れだね


「あーやっぱりそうなんだ。できれば早く装備集めたいよねー」

「今はドロップ品の稼ぎも結局レンタル料で消えてるからなー。」


:そう考えて急いで5層に行って大怪我する人が大勢いるんだよな

:まだこの階層でいいと思うよ


「それ探索者講習でも、初回の配信のコメントでも言われたね。急がば回れって。」

「実際僕が対処しきれる気しないからな。もう少し慣れさせてほしい。」

「そりゃ無理言うつもりはないよ。私だってまだ人型と戦うのは苦手だし...」


:1~3階層は慣れの場だもんな。留まる人は長くとどまる

:逆に言えば慣れたらみんなこの階層には来なくなる

:初心者がいない時の1階層とかマジで寂しいらしいもんな。


「今も僕ら以外いないもんね、この1、2階層。」

「そうそう...あ、でも最初の探索の時、ちょっとだけ見かけなかった?あの変な人」


:変な人?

:この前言ってたやつか

:あー、あの少しだけ映ってたやつか


「うん。ゴブリンが目の前にいるのに、目もくれずに装備の手入れ?みたいなのしてたんだよね。」

「僕は付与してるように見えたな。動画で見た付与の動きと似ていた。」

「でもここで付与する意味わかんなくない?まぁ装備の手入れだとしても、ゴブリンが目の前にいるのにやるのは謎だけどさ。」


:アーカイブあるの?

:あるよ。俺もこの前見た。でも遠くてあんまりわからなかった。


「アーカイブはあるけど、やっぱり実際に見たときと映像とでは違うね。」

「え、私自分のアーカイブ見てないや。コメントしか見てない。」

「僕も自分の配信全部見たわけじゃないけど、その部分だけ気になってね。変な素材を手に持ってたと思うんだよね。僕でもわかるくらいすごい魔力を放ってる素材を。」


:あー、素材の魔力とかは映像越しじゃ伝わりにくいよな

:ちょっと見てくるわ

:近くで見て、すごそうかすごくなさそうかくらいしかわからない


「だよねー。レベルが上がるとその辺も感じ取れるようになるらしいんだけどね。」

「レベルって結構大雑把よね。確認するのも一々鑑定屋さんに行かないといけないし。」


:初心者は節約したいから、鑑定料金そんなポンポン払いたくないもんな。

:それでレベルの確認を怠って、レベルに見合わない階層に行って大怪我する探索者も多い


「初心者のやらかす事例多いなぁ」

「私たちは大丈夫だと思うけどね。みんなも私たちの判断が危なそうだと思ったら言ってね!」


:はーい

:任せとけ

:見てきた。たしかにすごい魔力が手元にあった。

:え、わかるの?


「すごい。画面超しにわかったんですか?」

「先輩探索者かな?」


:一応自分は30階層台の探索者。んで見たところ、多分手に持ってるのはかなりすごい素材。それで何か作業してるっぽい。ゴブリンの攻撃は防御の魔法で防いでいる。

:その作業とは?なんでゴブリンの目の前でやってるんですか?

:30層って中堅~ベテランじゃん

:何をしてるかまではわからない。主の言う通り付与っぽくも見える。なんでゴブリンの目の前でやってるのかはもっとわからん。


「30階層台!すご!」

「そんな人が私たちの配信見に来てくれるんですね!」


:初心者を応援するのが趣味なだけだから気にしないで

:初々しいのが好きって人も多いもんね

:30階層台の人から見ても謎の人物ってことね。


「やっぱ謎かー。何してたんだろうね。」


:噂のソロ探索者じゃね?

:噂ってかほとんど都市伝説だろ。

:56階層の中ボスをソロで倒した映像は残ってるから、都市伝説ではないぞ


「え?なんの話?知ってる?」

「えーと、ネットニュースの見出しで見たことあるような...?」


:56階層の中ボスをソロで撃破した探索者

:41階層の変異体も倒したらしい

:そのことから、到達層は70層行ってるんじゃないかともいわれてる

:70層は日本記録更新なんよw


「今って最高階層は天譚九曜が65階層って言われてるよね?」

「ソロで中ボス撃破って、その天譚九曜より上になるの?」


:わからんw噂が盛り上がって天譚九曜より上って言われてるw

:天譚九曜なら、メンバーによってはソロで56階層中ボス行けそうな気もするけどな。

:まあさすがに実証はしないだろ。危なすぎる。


「そんなソロの人がいるんだ...」

「いや、噂でしょ?そんな人いたら絶対話題になってるし。」


:まぁ実在したとしても、1階層で作業してるのとは何の結びつきもないね。

:最近は謎の事例があれば、その人ってことにしとけみたいな風潮あるからな。

:話しかけはしなかったの?


「あー、うん。不思議に思いはしたけど、変なことしてるし、ちょっと危ないかなって。」

「装備やアイテムを狙った初心者狩りも時々いるって聞いたもんね」


:最近は滅多に聞かないけどな。

:1~5階層は露骨すぎるから逆にやらないらしいぞ。装備もレンタルとか安いのばっかだからリスクの方が大きいらしい。

:あるとすれば6~20階層あたりだってさ。ネットでそんな情報見た。


「え、そうなんだ。その辺の数字は講習じゃ教えてくれなかったな。」

「具体的な数字を言っちゃうと、それ以外で襲われたときに文句が出てくるからじゃない?」


:あー、ありそう

:まだまだ学ぶことだらけだな。ダンジョンは危険がいっぱいだぞ

:さすがに1桁台の階層の情報は出そろってるけど。まだ見つかってない要素がないとは言い切れないからな


「そうだよねー。普通の戦闘でさえまだ苦戦することがあるんだから。」

「やっぱりしばらくはこの階層か、行っても3階層までね。」

「だね!視聴者のみんなも、しばらくはすごい見せ場とかないかもだけど、時間があれば見に来てほしいな!」


:おっけー

:応援してるぞ

:宝箱開封するときは告知とかしてほしい!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ