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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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46 挑む理由


:勝ったああああああああ

:抜けてったみんな戻ってこい!!!誰も死んでないぞ!!

:いやいやいや、ぽぽちゃん大丈夫!?


 過剰駆動を解除した瞬間、反動が体を襲う。

 疲労感、体の痛み、重み、眩暈。


 自分の体が自分のものではないみたいに言うことを聞かず、その場に倒れ込みそうになる。


 だがそれでもなんとか踏ん張り、大きく深呼吸をして意識を覚醒させる。

 腰のマジックバッグからポーションを2本取り出し、こぼしながらも一気に飲み干した。


(あの三人は、どうなった...?)


 頭がはっきりしたところで周りを確認する。


 三羽つばきはなんとか鬼の魔物を退けたようで、風雅れんげに肩を貸しながら歩いている。

 風雅れんげは怪我をしているようで、頭から血を流しふらふらとしているが、それでも意識はあるらしく何とか歩けている。


 そして花歌さんぽは...


 なくなった腕を押さえながら、その場に膝をついていた。


「ぽぽ!」

「ぽぽちゃん...」


 二人が花歌さんぽの元に行くのを見て、俺も近づいていく。


「終わったの...?」


 花歌さんぽは虚ろな目をしながら、掠れた声でそう言う。

 彼女の周りには血だまりができていて、一目で危険な状態だとわかった。


「ああ、終わったんだ。だから治療を...いや、まずは一階層に移動だ。」

「せめて止血だけでも...!ハイヒール...!」

「移動の前に、腕を拾わないと...!元の腕さえあれば治すことが...」


 そういって三羽つばきは花歌さんぽの腕を探す。

 だが、すぐにその表情が凍りついた。


「そんな...!」


 地に落ちていた花歌さんぽの腕は、ぐちゃぐちゃの肉塊となり飛び散っていった。


:ああああああああああ!!!!!

:変異体が踏みつけたせいだ

:早くなんとかして!!ぽぽちゃん失血死しちゃうって!!

:これ治せないだろ


 四肢が欠損したとしても、元の四肢さえあれば回復魔法や医療で繋げることができる。

 だが、完全になくなった状態から再生させることはできない。


 これだけ損傷してしまえば、元に戻すのは無理かもしれない...


「なんとか腕を復元できれば...。落ちた腕に回復魔法やポーションは効くのか?」

「わからない...。聞いたこともない。」

「とにかく、可能性を信じるしかないわ...!」


 三羽つばきはぐちゃぐちゃになった腕を拾い上げ、その腕にポーションをかける。

 だが、腕は損傷したまま戻らない。


「...!!回復の杖は持ってる!?」

「回復ならうちが...」

「ふーちゃんはそのままぽぽに回復魔法をかけ続けて!今中断すると、それこそ失血やショックで危険だわ!」

「...あった。これだ。」


 俺は回復魔法が使える杖を取り出し、損傷した腕に魔法をかける。


「エクスヒール」


 緑の気がぐちゃぐちゃになった腕を包み込む。


 ぐちゃぐちゃになった肉がわずかに脈打ったように見えた。

 だが、それだけだった。腕の形が戻ることはない。


「落ちた腕に回復は効かないの...!?」

「もっと出力を上げてみれば...」


 今のままで効かないなら、創造スキルで魔力増大や、回復効果増加を創ってもう一度試してみるしか...


 いや、ダメだ。過剰駆動の反動で、今はスキルが創れない。

 過剰駆動を重ね掛けしたにしては、思ったより反動が少ないと感じていた。だがさすがにスキルを続けて使えるほど軽い反動ではないらしい。


「...!まずい。遠くから、足音。」

「別の魔物が寄ってきたみたいね...」


 そうしているうちに、風雅れんげの索敵に反応があったらしい。

 変異体が暴れまわったことにより魔物の数は減っていたようだが、それでも音をききつけて、変異体がいなくなったのを感じ取って、通常の魔物が遠くからここに集まってきている。


「ひとまず一階層に戻ろう。このまま80階層の魔物を相手にするのは危険だ。」

「ぽぽちゃん。意識はある?転移石使える?」

「大丈夫...だよ。少し楽になってきたから。ありがとうふーちゃん。」

「よかった。ほら、早く使いなさい。」


 花歌さんぽは三羽つばきから1階層の転移石を受け取り、起動準備に入る。

 それを確認した俺たちも転移石を使用した。


 そして視界に鬼の魔物が複数体入ったところで転移石は起動し、俺たちは1階層へと転移をした。


─────────────────────────────────────


 その後、俺たちはダンジョン近くの病院で治療をすることとなった。

 配信を見ていたダンジョン職員が手続きをしていてくれたらしく、病院での受け入れはスムーズに済んだ。


 一番軽傷なのは三羽つばき。通常魔物とはいえ、70レベル程度で80階層の魔物を軽傷で倒せたのは、称賛されていいことだろう。

 風雅れんげは頭部に傷を負ったが、安静にしていれば問題ないとのこと。

 俺は...。まあ、それなりだ。風雅れんげと同じく安静にして、毎日ポーションを飲み続ければ数日である程度は回復する。


 そして花歌さんぽだが。


「残念ながら...だってさ。」


 病院のベッドで身を起こした体勢で、花歌さんぽは苦笑いしながらそう言った。


「あそこまで腕が潰されちゃったら、元に戻すのは難しいんだって。」

「...」


 その言葉を聞き、俺たちは何も言えなかった。


 胸に重いものがのしかかる。

 命があるだけよかった...と、口で言うのは簡単だ。だが、心情としてはそう簡単な話ではない。


「すまな...」

「あ、いいんですいいんです。謝らないでください。」


 せめてものと思い謝罪をしようとしたが、それは止められてしまった。


「それより、私から言いたいことがあるんです。」

「?」

「数か月前、56階層で、魔物に襲われているところを助けてくれてありがとうございました!」


 そう言って花歌さんぽは俺に向かって頭を下げてきた。


「...今回の件に比べたら、大したことじゃない。」

「いえいえ、大したことなんですよ。助けてくれなかったら、私は確実に死んでましたからね。」


 それを言うなら俺だってそうだ。この3人が来てくれなかったら、あのまま剣に引き裂かれていただろう。

 ...ああ、俺も大切なことを言っていなかった。


「...謝罪じゃなくて、俺からも一つ言わせてくれ。」

「?なんですか?」

「助けに来てくれてありがとう。おかげで生きて帰ることができた。」


 俺は花歌さんぽに向かって頭を下げる。そして、横にいた三羽つばきと風雅れんげの二人にも頭を下げた。

 それを見た花歌さんぽは楽しそうに笑った。


「恩返しみたいなものなので、気にしないでください。」

「それでもだ。というか君は恩返しだとしても、チームメイトには純粋に助けてもらったことになる。」

「私たちも恩返しよ。あなたのおかげで歌は助かって、彩風三花は存続できた。あなたは彩風三花にとっての恩人よ。」

「うん。歌ちゃんだけの恩人じゃなく、うちたち全員の恩人。」


 三羽つばきは素っ気なくそういった。

 ...恩返しとは言うが、大事なチームメイトが腕をなくしたことについては複雑な気持ちだろう。

 内心では、俺のせいで花歌さんぽは腕を失くしてしまった、と怒っているかもしれない。


「あーーーー、ようやくお礼を言えてすっきりした!いつ言えるんだろうってずっと思ってたから!」


 花歌さんぽはそう言って勢いよく布団に身を沈めた。ずいぶん嬉しそうに見えるが...どこか無理しているように見えるのは、俺の罪悪感のせいだろうか。


「それに、腕が治る可能性も全くないってわけじゃないんですよ。」


 その言葉に、俺たち全員が耳を向ける。


「つば姉が損傷した腕は持って帰ってきてくれたでしょ。それを何とか繋げて、繋げてから回復魔法やポーションを使う。そしたら元に戻るかもしれないってさ。」

「それは...」


 ...ほんとうにできるのか?

 落ちた腕には回復は効かなったが、繋げれば回復が効く、なんてことあるのだろうか。


「...できるの?」

「0ではない、くらいらしいよ。もしかしたら歪な形の腕になっちゃうかもしれないし、体によくない反応とか副作用もあるかもしれない。でも、可能性があるならやってみようかなって思ってる。」


 やはりあまり現実的ではないらしい。ただ失敗するだけならまだしも、無理に治そうとした副作用でさらに状況が悪化してしまうかもしれないのか...。


「花歌。」

「...その呼ばれ方されることないんで、なんか面白いですね。ぽぽって呼ぶか、それか歌でもいいですよ。」

「コメントはみんなぽぽだったよな。」

「つば姉もふーちゃんも、配信内ではぽぽですよ。単純に私の本名が花咲歌なんで、配信外だと名前で呼んでいいですよってことです。」


 花歌さんぽは、活動上の名前ってやつか。影山が言っていたように、みんなやっぱり活動用の名前があるんだな。


「歌...か。わかった。歌、腕の治療は少し待ってほしい。」

「何かあるんですか?」

「...深層なら、なくなった腕を治す薬があるかもしれない。」


 それを聞き、歌は目を見開く。

 横にいた三羽つばきは半信半疑と言った顔をこちらに向けてきた。


「アテはあるの?」

「ああ。90階層主の素材が、鑑定では『エリクサーの素材』と出たんだ。エリクサーなら、なくなった腕を治せるかもしれないし、90階層で素材が出たなら100階層にもエリクサーの素材、もしくは現物が手に入る可能性がある。」

「...仮定だらけじゃない?」


 確かにそのとおりだ。エリクサーは『あらゆる傷と万病を癒やし、死亡していない限り、いかなる状態からでも使用者を回復させる。』とあるが、『いかなる状態』が四肢欠損も対象なのかはわからない。

 それに100階層に素材、もしくは現物があるというのも予想だ。


 70、80階層台の隠し部屋や、90階層台のどこかに素材がある可能性もある。

 だが、一番可能性が高いのは100階層だろう。ならばそこに挑むのが最優先だ。

 隠し部屋もヤマタノオロチ対策も、一旦置いておく。


「恩返しと言われても、さすがに責任を感じるからな。ひとまずエリクサーを試してみて、それが無理なら治療を考えてくれ。」

「え、いやいや。エリクサーって名前的にすごいものですよね?そんなもの受け取るわけには...」

「いいんだよ。俺が好きでやるだけだから。」

「というか、100階層突破できるの?口ぶりからして、まだ突破できていないんでしょ?せっかく生きて帰ったのに、それで死なれでもしたら...」


 突破できていないどころか、まだ挑んですらいない。挑むことができなかったから当然だけどな。


「すぐに突破する。無理でも100階層なら即時帰還のアイテムが使えるから、今度は大丈夫だ。あんまり心配しないでくれ。」


 帰還の宝玉は89階層以降でしか使えない。なので80階層では使えずにピンチになったが、100階層でなら使用できる。

 だが帰還アイテムが使えるからといって、すぐに退散するつもりはない。歌の腕の責任のためにも、一発で突破してやるつもりだ。


 体が治って準備ができたら、すぐに挑んでやる。100階層のボスがどんなやつか分からないが、首を洗って待ってろよ。



次回は4月13日(月)更新です

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