表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/37

32 それぞれの一歩


 カンッ、カンッと、ダンジョン横に設置されている訓練場にて武器同士がぶつかる音がする。

 訓練場で武器を振っている湊は、目の前の模擬戦相手の一挙手一投足を見逃さないように、真剣な表情をしていた。


 対する相手は、大学のダンジョンサークルに所属する黒瀬という先輩探索者。

 年は一つ上で、当然湊より探索者歴は長い。


 湊が踏み込み、鋭く木剣を振る。しかし黒瀬は大きく動くことなく受け止めた。


「……」


 ガンッ!と大きな音が鳴る。

 しかし衝撃はほとんど伝わっていないようで、黒瀬の足は一歩も動かない。


「うん。いい感じだ。」


 軽く、しかし評価するような声。


 黒瀬はそこから反撃に出ることもなく、湊の実力を確かめるように間合いを調整するだけだった。


 その様子を訓練場の外から数人の学生が見ている。

 同じダンジョンサークルのメンバーだ。


「思ったよりいい動きだな」

「でも、少し力んでるか?」


 小声で交わされる評価。

 あくまで観察者として、冷静に。


 湊は一度距離を取り、息を整える。

 そしてすぐに次の一歩を踏み出した。


 黒瀬はその動きを見て、少し笑顔を見せる。


「焦らなくていい。模擬戦だ」


 そのまましばらく模擬戦は続いた。


 探索者狩りの事件から、一週間が経っていた。

 ポーションと病院での治療を終え、ようやく活動できるほど回復したところ。二人は黒瀬から声をかけられた。


『事件のことは聞いたよ。大変だったな。もしよければうちのサークルに来ないか?時間が合えば合同で探索をしたりしてるし、情報交換やアイテム・装備のやり取りなんかもしてる。2人で探索を続けるよりは危険が減ると思うんだ。』


 その言葉を受け、二人はサークルへの加入を決めた。

 そして最初に始めたのがこの模擬戦だ。黒瀬の提案と湊のお願い、お互いの意見が一致したものだった。


「うん。一対一なら問題ないな。これを続けていって、慣れてきたら人数を増やしたり、結ちゃんと一緒に二対四とかの模擬戦もやってみよう。」

「はい。ありがとうございます。」


 模擬戦とは言っても初回なので、どちらかが倒れるまでやる、ということはなく、数分間打ち合ったところで一区切りをつける。

 とはいえ、内容としてはあまり良いものではなかった。黒瀬は問題ないと言っているが、終始余裕を保っていた。まともに戦えば負けていただろう。

 そんな雰囲気を感じ取ったのか、黒瀬は笑いながら声をかける。


「大丈夫だ、俺が初心者の頃はもっとひどかった。それに比べたら湊くんの実力は相当高いよ。」

「そうなんですか?」

「ああ。自信を持っていい。じゃあ次は結ちゃんだな。」

「は、はい。」


 声をかけられ、緊張した様子で結が出てくる。


「結ちゃんは力はないけど攻撃の早さがあるから。それを武器にしていこう。」

「はい。」

「魔物もそうだけど、人は特に『浅くても傷がつく』と焦る。だからデカい攻撃は狙わずに、少しでいいから傷をつけていくことを考えよう。」

「は、はい。」


 湊も結も、黒瀬からアドバイスをもらいながら模擬戦を続けていく。

 探索者狩りは滅多に遭遇するものではない。だが二人はその『滅多に起こるものではない』ことを経験してしまい、危険な目にあった。

 なのでもしも次に同じことがあった時に切り抜けられるように。そういう考えの元での模擬戦だ。


「よし、こんなもんかな。じゃあ改めて。今日からダンジョンサークルに来てくれることになった、春野湊くんと若葉結ちゃんだ。みんな仲良くしてくれな。」


 そして模擬戦が終わるとサークルメンバーの7人が集まり、湊と結が紹介された。


「今日来てるのは7人だけど、メンバー自体はもっとたくさんいるんだ。ただまあ、サークルだからさ。来たり来なかったりバラバラさ。だから湊くんと結ちゃんも、そんな気負わずに来れるときだけ来てくれたらいいよ。」


 そんな説明を受けた後、二人はサークルメンバーとたくさん会話をし親睦を深めていった。

 探索者狩りの話題になったとしても、二人に怯えや恐怖の顔はなかった。

 事件を乗り越え、精神的にも一歩進んだ湊と結。二人はまだまだ歩みを進めるつもりだ。



 そしてその頃、別の場所では。

 一人の探索者が、再び深層への歩みを開始しようとしていた。


─────────────────────────────────────


 大学も、そろそろ長期休みに入る。

 探索者狩りの事件に関する聞き取りや、休み前の試験。それらがあったため、この1週間は60階層台の解説配信しかできなかった。

 表だった接触は抑える、という話だったが、さすがに事件の聞き取り調査を免除とはならなかった。仕方ない。


 だが、ようやくそれらも一息ついた。解説も65階層まで終わったし、大学の試験もすべて終えた。


 そういえば春野と若葉、二人は試験大丈夫だったのだろうか。直前であんな事件に巻き込まれてしまったし、いくつか単位を落としているかもしれないな。まあその時は励ましてやろう。


 ちなみに東雲は関西へ帰って行った。『そろそろおかんが心配しとるわ』と言っていたが、あいつ実家住みだったのか。


 「さてと...」


 まあ春野たちや東雲のことはいいとして、今は自分のことだ。

 俺は久しぶりに深層に潜る準備をし、ダンジョンの入り口までやってきた。今回は88階層、そして89階層の探索だ。

 86、87階層のアイテムがリポップするかは気になるところだが、ひとまず一通り探索を終えてから、もう一度戻って確かめてみようと思う。




 ダンジョン88階層


 これまでと同じく薄暗い森に、点在する遺跡。

 出現する魔物も同じで蛇やリザードマンだが、やはり81階層の個体と比べると手ごわくなっている。


 だが歩みを止めるほどではない。大きな傷を負うこともなく問題なく倒していき、森を歩き回ったところで。


「...やっぱりここにもあったな。」


 86、87階層と同じく、中に入れる大きな遺跡を発見した。


:この分だと89階層にもありそう

:それぞれ違うアイテムが置いてある感じか?

:今回は何があるんだろうな


 コメント欄も慣れてきたのか、最初に遺跡を見た時ほど大騒ぎはせずに、中になにがあるのかを考察している。

 そして中に入ってみるが、やはり構造は同じようで奥に進むと小ボスらしき魔物がいた。今回はデカいワニだ。


:ワニか

:40階層主と被るな

:なんか特殊能力あるのか?


 40階層主のボスワニを彷彿とさせる見た目。特殊能力らしいものと言えば、思った以上に動きが素早くて、壁や天井を駆け回ることができる点だろうか。ワニなのにトカゲみたいな性能をしている。

 そして天井に張り付いたまま口から魔法を出してきたり、壁を跳ねてのしかかりをしてきたりと、なかなか厄介な動きをしてきた。だが特に大きな被弾をすることもなく撃破。


:アクロバティックなワニだったな

:ワニと言えば、力は強いが動きは遅い、っていうのが相場だろうに

:よく対応できたな。


 そしてそのまま奥に進むと、これまたアイテムが置いてある部屋だった。今度は庭園ではなく棚が設置されていて、そこに液体が入った瓶が置いてあった。鑑定結果はこうだ。


─────────────────────────────────────

身体能力向上の薬

一定時間、身体能力を上昇させる薬。

増幅率は使用者のレベルによって変わる。

連続使用は身体に深刻な負荷を与える危険性あり。

─────────────────────────────────────


 86階層で見つけた、魔力増幅草と同じようなものか。あれはポーションと混ぜる必要があったが、この薬は直接飲むだけでいいんだな。楽でいい。

 そしてやはりこの遺跡にはほかに何もなかったので、このまま89階層へと進む。


:お?続けていくのか

:探索慣れてきてまだ時間余裕あるもんね

:さっきの液体、効果わかったら教えてくれよ


 ダンジョン89階層


 当然と言うべきか、この階層にも遺跡があった。

 中に入り奥に進むと、今度の小ボスはデカい亀だった。


 こいつは、とにかく硬かった。剣では相性が悪く、魔法も通りが悪い。火、水、雷など試してみたが、特に有効属性も見当たらない。鑑定してみたが分かったのは名前くらいで、特に弱点も書いていなかった。

 手足や首なら攻撃が通るだろうと思ったが、そこも普通に硬い。


:全然効いてる感じしないな

:無視できそうではあるけど

:でも無視して奥に進むのもちょっと怖くね?魔物倒さないと何か罠が発動、とかもあるかもしれんし


 そして時間をかけていると、亀は魔力をためて周囲全体を攻撃する衝撃波を放ってきた。これがなかなか厄介で、全体攻撃なので盾を構えても食らってしまう。吹き飛ばされてしまう。


 結局、普段使うことはない打撃武器、ハンマーを使って倒し切った。打撃が有効な感じはしたが、ハンマーなんて40階層台くらいでしか使わなくて慣れていないから、ひたすら力任せに振るだけになってしまった。

 40階層台のゴーレム相手ならそれだけで倒せたんだけどな。さすがにこの階層の魔物となると、それだけで倒すのは時間がかかった。


 それにハンマーは打撃用のスキルも創らなくてはいけないので、剣から持ち変えるとスキル枠が圧迫される。使いにくい武器だ。


:結構厄介な敵だったな

:見ててちょっとハラハラした。やられるかと思った

:さすがに全武器に精通してるってわけじゃないんだな


 時間をかけて倒し、なんとか奥へと進む。そしてその先の部屋にあったのは庭園でも棚でもなく、宝箱だった。


:え、宝箱?

:確定で置いてある感じか?

:中身次第だよな。さすがに良いものが入っていると思うけど。


 一応鑑定してみたが罠はないようなので、そのまま近づいて開封する。

 そして中に入っていたのは、オーブとはまた少し違う、きれいな青色の玉だった。


:オーブ?

:またオーブか?

:いや、ちょっと違う感じもする


 そして鑑定してみたところ、その効果は驚くべきものだった。


─────────────────────────────────────

帰還の宝玉

89階層以降で使用可能。使用すると瞬時にダンジョン外へ脱出できる。一度使用するとなくなる。

─────────────────────────────────────


 ……即時起動。


 転移石のように、30秒待つ必要はない。


(なるほどな...)


 思わず小さく息を吐く。

 やはり、90階層以降はこの86~89階層のアイテムがある前提だったのだ。前の階層で準備をし、一時的に強化をして、それでも勝てなければ瞬時に逃げ帰る。それを想定した難易度。


 リポップするのかについてだが、90階層以降の準備だと考えると、おそらくまた手に入るはずだ。

 いくつも手に入るのならば…。再びあいつに挑んでいいかもしれない。


 一度突破しているが、あいつのドロップアイテムは無視できないものだった。それが毎回手に入るのか、たまたまだったのか。たしかめたい。そしてできることなら、数を集めておきたい。


 行ってみるか。9()0()()()()



次回は3月2日(月)更新です。

ちなみに亀の名前は衝殻亀【しょうかくき】です。

あと一応、これまで判明してる階層主

10階層ボスゴブリン 20階層ボス狼 40階層ボスワニ 50階層ボスゴーレム 60階層デカカマキリ 80階層ブルーオーガ

30、70、90、100階層主がまだ出ていません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
主さん・・・ 最下層暴露していいんすか? (もう出てたらごめんなさい)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ