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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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17/17

17 初配信で80階層

本日2話目です。少し長いかもです。0時に前話を投稿しているので、まだの方はそちらを先にご覧ください。


 次の日の朝、俺は佐藤さんに連絡をすることにした。


 昨日一日、ベッドの上で考えてみた。国がどこまで信用できるかは正直わからない。

 だが、手を組まずにいた場合に降りかかってくる面倒ごとが山のようにあることだけは、嫌でも予想できる。


(……なら、選択肢は一つだ)


 相手が国であろうと企業であろうと、こちらの意思をはっきり示した上で、対等に付き合う。

 それができないなら、最初から関わらない。そう決めて、連絡先にメッセージを送った。


 そしてメッセージを送った後、午前中は病院で一通りの検査を受けた。

 過剰駆動の反動による筋肉損傷、魔力循環の乱れ、内臓へのダメージ。

 どれも軽視できるものではないが、致命的な異常はないらしい。


「無茶しすぎですよ」

「……自覚はあります」


 医者にそう言われて、苦笑いで返す。


 結局、昼前には退院が決まった。入院を続けるほどではないが、しばらくは安静。

 探索は、当然禁止。


(あの大技をくらったのが痛かったな...。過剰駆動だけならここまで深刻にはならなかったのに)


 過剰駆動は何度も使っているが、毎回こんな状態になっているわけではない。普段は1日2日あれば復帰できるが、今回は大技を食らったのもあってこんな事態になってしまった。仕方ないことだ。


 そして昼過ぎに病院を出ると、空気がやけに澄んでて太陽が眩しく感じた。


「お加減はいかがですか」


 声をかけられて振り向く。そこにいたのは、昨日と同じスーツ姿の男だった。


「……早いですね」

「あなたから連絡が来た時点で、ここに向かっていました」


 待ち構えていたのかたまたまタイミングがあったのかはわからないが、素早く合流できたならそれでいいだろう。


「結論は出ましたか」

「ええ」


 俺は、はっきりと言う。


「もし、探索活動を縛るようなことがあれば――その時は、こちらから一方的に関係を切らせてもらいます。それでもいいというのなら、交渉成立でいきましょう」


 一瞬、佐藤の視線が鋭くなる。

 だが、すぐに小さく息を吐いた。


「……承知しました」


 この判断が吉と出るか凶と出るかはわからない。だがなんとなく、悪い結果にはならないだろうという予感はしている。


「では、情報提供の方法ですが」

「配信、ですよね」

「はい」


 佐藤はタブレットを取り出す。


「チャンネルはこちらで用意します。名前やアイコンなどは、後から変更も可能です」

「……今作るんですか」

「今です」


 数分もしないうちに、すべてが整った。


「告知はこちらで行います」

「告知内容は?」

「“深層ダンジョンの情報提供に協力してくださる個人探索者のチャンネルが開設された”とだけ」


 佐藤は淡々と続ける。


「ダンジョン省が直接雇用しているわけではないこと。配信頻度や内容には深く関与しないこと。その点も明記します」


 囲っているわけではないというアピールだな。周りがどう捉えるかはわからないが、少なくともそういう形にはするということだ。


「配信にはこちらのドローンをお使いください。あなたも見たことがあるものです。」


 そう言って佐藤はカバンからドローンを取り出し渡してきた。たしかに以前花歌さんぽを助け出した時にみたタイプのものだ。

 どうでもいいが、あのカバンの中にマジックバッグが入ってるんだろうな。さすがにカバンに直接ドローンは入れないだろう。


「初期設定は済ましていますので、電源を入れてからここのボタンを押せば配信開始です。終わるときにはこのボタンを押してください。」

「...それだけですか?」

「それだけです。最新のAIにより自律的に動いて映像を撮ってくれます。また、動力は魔石となりますので電源が切れかけた際には魔石交換をお願いします。」


 魔石が動力か。魔石は新たなエネルギー源として注目されていて~というのが話題になって何年も経つが、とうとう実用化まで来ているんだな。


「さて、基本的な説明は以上になります。以前も言いましたが、配信の際に階層だけは教えてもらうようにお願いします。それ以外は自由です。何か気になる点はございますか?」

「...今のところは、特に何も思い浮かびませんね。」


 ドローンのボタンを押して、階層を言って、探索する。言ってしまえばそれだけだ。


「あ、ドローンが壊れた場合はどうしますか?」

「探索していると当然そういう場面もあるでしょうね。その場合はまたこちらから同じ設定のものを支給します。ただし、無いとは思いますが明らかに故意的な破壊だった場合はその限りではございません。」


 まぁ当然だろうな。わざと壊すつもりはないからそれはいいだろう。


「わかりました。あとは大丈夫です。」

「もし気になったことがあればいつでもご連絡ください。出れなかったとしても、最低でも半日以内に折り返しはしますので。」


 そう言って佐藤は頭を下げてきた。

 その後別れ際に、俺は一週間後を目途に探索をすることを伝えた。



 それから一週間、俺は自分でポーションを作ったり大学の課題をやったりなど大人しくしていた。

 大学の授業や課題も、探索をしないなら『創造』スキルで『記憶力強化』など勉強に使えるスキルをつくりだしてしまえばいいので、それほど苦にはならなかった。


 そしてその間にダンジョン省は宣伝をしていたようだ。ダンジョンアプリのニュースにも少しだけ見出しが載っていたし、SNSでも発信していたらしい。


  そして一週間後。

 体調も万全になり、俺はようやくダンジョンに潜れるようになった。

 

 いつものように準備をして家を出て

 いつものようにダンジョンの入り口に立ち

 いつものように最終確認をする


 そしていつもの違うのは一つだけ。手元にあるドローン。


  俺は一つ深呼吸をし、配信開始のボタンを押す。

 ドローンのランプが変わったのを確認し、俺はマジックバッグから転移石を取り出す。


 投影していないので、視聴数やコメントはドローンについている小さな画面にしか映されていない。

 そのためしっかりとは見えないが、それでも何人かは来ているようだ。俺自身は何も知らせていないし、急に配信を始めたのによく来たもんだと思う。


 そして画面に見えるように転移石を映し、階層を口にする。

 85階層では切り札を使い、安定した探索はできなかった。

 一週間ぶりの探索で、安定して探索ができて自分の調子を確かめられる階層。


「80階層」


 その階層を口にし、いつも通り転移石は起動し、俺は光に包まれてダンジョン深層へと転移をした。


─────────────────────────────────────


 ダンジョン80階層


 81階層以降に比べると、周りの圧も小さく感じる。

 何度も訪れたこの階層、見慣れたと言ってもいい地形、景色。

 そして遠くから感じる、この階層で最も強い圧。


 少し懐かしむようにしながら、俺はその圧の方角、ブルーオーガのいる場所へと向かっていく。


 道中に出現する魔物は鬼がモチーフとされたものだ。人型が多いので戦いやすく、久しぶりの探索ということで何匹か戦っていく。


 一匹目、まずは武器技を使わずに戦っていく。攻撃を剣で受け流し、盾で受け止め、時には回避する。

 いつも通りの動きだ、問題ない。


 二匹目、今度は武器技を使って戦っていく。タイミングが重要な盾技のシールドバッシュ、そして相手がよろめいた隙に、目にもとまらぬ斬撃を繰り出す剣技の瞬迅斬(しゅんじんざん)を繰り出す。あっという間に鬼は粒子化していった。


 その後何戦かしたところで、体調確認は終了。1週間ぶりでも異常なし。いつも通り戦うことができる。


 そしてボスの間の前に到着した俺は、一休みしている間に一応ドローンにブルーオーガを映すように指示してみた。

 情報提供に協力しているので、休憩中くらいは多少指示を出してみていいだろう。探索中はそこまで配慮するつもりはないけど。


 水分補給を済まし戦略の再確認を終えた俺は、そのままボスの間へと入っていく。

 何度も戦って慣れたものだ。適度な緊張感はあるが、同時にリラックスもしている。ちょうどいい力の抜け具合、入り具合だ。


 いつも通りブルーオーガも剣を構えて近づいてくる。

 そしていつも通りお互いの射程圏内に入ったところで、


 ガキィン!

 

 と、お互いの剣がぶつかり合う音がする。

 以前までは鍔迫り合いは押され気味か互角だった。

 だが81階層以降を探索して中ボスも倒したことによりレベルが上がった今は、少し余裕を持って相手の剣を受け止められている。

 同じ敵と戦っていると、自分の成長を確認できていいな。


 そしてブルーオーガは剣を引き、別角度から斬りつけてくると同時に下の二本の腕で拳も繰り出してくる。

 いつも通りの攻撃を、剣で止め盾で弾き体を逸らして躱す。


 そしてここからはあらゆる武器や技を使い、相手に対応させずに傷をつけていく...というのがいつものやり方。しかし今回は別の方法を使うつもりだ。


 まずは『創造』スキルで、一瞬で装備を切り替えられる『瞬間装備』をつくりだす。


 そして相手の攻撃をシールドバッシュで弾いた後、ナックルを装備して全力でブルーオーガを殴る。

 ブルーオーガが後ろに下がる隙を見計らい杖を装備して、強力だが遅くて当てるのが難しい拘束魔法の『雷獄縛鎖(らいごくばくさ)』を発動。鬼系は雷属性が弱点なので、雷の拘束魔法だ。


 弱点属性で強力な拘束魔法と言っても、80階層のボスなので拘束できるのは数秒だろう。だが戦闘において数秒というのはあまりにもでかい。

 

 俺は剣を装備して、タメの動作に入る。

 以前81階層のレア付与素材で付与した技、『極鋭刃(ごくえいじん)』。

 あらゆるモノを斬ることができる切れ味を生み出し、その威力はタメるほどに増していく。

 

 戦闘において致命的といえる数秒のタメ、その条件を満たした俺は、その斬撃をブルーオーガに向けて放った。


 危機を感じたブルーオーガは、寸前で拘束を振りほどき盾を構える。

 だが『創造』スキルで作り出した『幻影』によりその防御は失敗し、さらに攻撃スキルも複数作り出し威力を上乗せしたその一撃は。


 ヒュッと。ブルーオーガの首を斬り飛ばした。


 少し遅れてブルーオーガの首が落ちる音と、続いて体が倒れる音が聞こえた。

 そして静寂のあと、粒子化していくのを確認した俺は剣をしまいながら考えた。


(やっぱり、この階層は安定して探索できるな。)


 今回はかなり攻撃寄りであったが、もし失敗して通じなくても他に手はあった。そういった対処の多さも『安定した探索』に繋がるだろう。


(そのためには情報が必要、でも情報のためには自分で潜るしかないんだよなぁ。危険を乗り越えて自分で安定方法を探すしかないか...)


 そう再確認したところで、ブルーオーガのドロップアイテムを確認しにいく。


 一方ドローンの小さい画面には、小さいコメントが忙しなく動いているのが表示されていた。


:えええええええええ!?終わり!?

:は?終わり?

:80階層だよな?瞬殺じゃん

:俺らがボスに興奮して感想言い合ってる間に終わってたんだが

:解説!解説してくれ!

:コメント見ないの?見てくれよ!!


次回は1月22日更新予定です。

本日、日間ローファンタジーの62位にランクインしてました。ありがとうございます。

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