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いのちの続きを、この地下で ~地下1,000mの大阪万博で出会った君は、アンドロイドの体で僕に微笑んだ~  作者: 春凪一
第三部

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第46話:三つの点と、一つの線

長い長い夜が明け、そして再び陽が傾き始めたDay5の午後。


迎賓館の一室で、要は深い眠りの底からゆっくりと浮上した。昨夜、というより今朝と言うべきか、ベッドに倒れ込んでからの記憶がない。体にずっしりと残る心地よい疲労感と、それ以上に強烈な空腹感が、自分がどれだけ眠っていたかを物語っていた。


(シミュレーション……結果は、どうなったんだろう)


期待と不安が胸をよぎる。だが、まずは腹ごしらえだ。要はベッドから起き上がると顔を洗い、レストランのある8階へと向かった。


ランチタイムの喧騒が去った後のレストランは、客もまばらで静かな空気が流れていた。席を探して歩いていると、不意に聞き慣れた声が鼓膜を揺らす。


「要くん!」


声のしたほうへ視線を向けると、同じく空腹に負けてやってきたのだろう、璃奈が少し照れくさそうに手を振っていた。彼女のテーブルへと向かい、向かいの席に腰を下ろした、その時だった。


「やっぱり、二人ともここに来ると思ったわ」


ひょっこりと、まるで最初からそこにいたかのように、アイラが隣の席に現れる。


こうして、三人の天才たちは、偶然を装った必然のように、再び一つのテーブルに集った。


豪華な、しかし時間的には「遅い昼食」と呼ぶべき食事を前に、三人の会話が弾む。話題は自然と、昨夜の大冒険の振り返りになった。


「それにしても、まさかミャクミャクの尻尾が落とし穴になってるなんてね!びっくりした!」


「あの滑り台、結構長かったよね。着地した時、ちょっと足くじいちゃったよ」


「私はアルスラーンが受け止めてくれたから問題なかったけれど、本当に助かったわ」


興奮気味に語り合う三人の話題は、やがて主催者側へと移っていく。


「結局、あの管制室には星影さん一人しかいなかったけど、一人で全部管理してるのかな?」


「だとしたら、すごいよね。あの膨大なシステムを一人で……」


その流れで、アイラが「そういえば」と、思い出したように切り出した。


「私のアルスラーンは、100%春凪共和国製なのよ」


その言葉に、璃奈がぱっと顔を輝かせる。


「えっ、そうなの!?すごい偶然!この義体のソフトウェアの一部も、春凪製なのよ」


二人の告白を聞いていた要が、驚いたように、そして少し照れくさそうに口を開いた。


「実は……僕が今住んでいる国も、春凪共和国なんだ。ちょっと前までは日本だったんだけど……」


三人は、顔を見合わせた。


アンドロイド、義体のソフトウェア、そして国そのもの。全く違う形で、三人が不思議な「春凪共和国」というキーワードで繋がっていたことに、運命的な何かを感じずにはいられなかった。


しかし、その賑やかな会話の合間にも、三人は無意識に何度も手元のスマホに目をやってしまう。まだ来ない「結果」を、誰もが待ちわびていた。


その、瞬間だった。


テーブルの上に置かれた三台のスマホが、全く同じタイミングで、ぶぶっ、と静かに震えた。


三人は弾かれたようにそれぞれの画面に視線を落とす。差出人は「星影燈」。件名は「特別なご夕食へのご招待」。


本文には、三人の健闘を称えるための特別なディナーを用意したこと、そして、本日19時、迎賓館**一階のダイニングルーム『天の川』**にて待っている、という旨が、丁寧な言葉で記されていた。


三人はメッセージを読み終え、顔を見合わせる。安堵、緊張、そして決意。様々な感情が、それぞれの瞳に宿っていた。


「……じゃあ、また後で」


「うん、19時に一階ね」


「私もシャワーを浴びて、準備をするわ」


三人は一度解散し、それぞれディナーへの準備を始めることにした。いよいよ告げられる審判の時を前に、三者三様の決意を胸に秘めて――。


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