レナとレンと
九十九レナ‥
その問題の姉が後ろにいたのである。
「レナいつの間に‥」
「レンちゃ、びっくりした?」そう言っている顔は小悪魔だが、なぜかかわいい。
「この人がレナさんですか‥」壬生がそういいながら、2人の側にくる。
「壬生さん!こんにちわ!」小悪魔スタイルはかわらない。
「こんにちは!レナさんとしては初対面ということですよね‥」
「さっすが壬生さん!」人差し指を天に向けてぐるぐるまわしている。
「レナ‥」レンが頭を抱える。
「しかし、驚きました。双子と聞いていましたが、まさか‥」壬生はレナをみている。
「かわいいでしょ?レンちゃと違って」
「そうですね、その可愛さで九十九くんになりきれるんですから‥すごいですね」
「壬生さん、素直な方ですね!まぁ、レンちゃは単純王だからね!」
「九十九くんがですか?わたしにはそうはみえませんが‥」
「ちょっ‥壬生さーん」レナがショックを受けている。
「ちゃんと、レンちゃみてないでしょ?」小悪魔ポーズを連発するレナに、壬生は洗脳されそうになる。
「かわ‥(いけないいけない)ちゃんとですか?みてますよ!」
「いいえ、ちゃんとみてません!」頬をリスのように膨らますレナ。
あの壬生でさえ、その可愛さに圧倒されそうになる。
「‥ちゃんとですか‥」
「そ!あたしみたいにみてないとダメだと思うな」
「‥」
「壬生さん、どうしました?」レンが心配で声をかける。
「‥いえ、すみません。ふと思ったんですが、レナさんが明るい所全部持っていってしまっているように感じまして‥だから九十九くんが‥」
「壬生さん!それ以上は‥」レンは止めにはいる。
どうやら、レン自身にも自覚があるようだ。
逆に、姉が明るすぎるから自分は落ち着いたともいえる。
(まあ、姉に比べれば暗いけど‥)
パンっと手を叩く音がした。
レナだ。
「さてと、このくらいにして本題にはいろうかな!」
3人の間の空気が変わる。
「壬生さんは、色々理解しているようだから、もっとも大切な点だけいいます!」
「それは助かります」壬生はお茶を一口飲む。
「わかった」レンはレナをみる。
レナの顔が赤くなる。
(真剣なレンちゃ、かっこいい!)
気を取り直し話し始めるレナ。
「あたし、九十九レナは‥なんと‥」
「‥」みつめるレン。
「‥」お茶を飲むのをやめる壬生。
「タイムトラベルできます!」
両手を腰に添え、勝ち誇ったポーズをするレナ。
頭をサワサワするレン。
お茶を飲む壬生。
「ちょっと、あなたたち、ここ‥驚く所でしょ⁉︎」
「だってね‥」
「そうですね」
さらにサワサワするレンと、お茶を飲む壬生。
「み、壬生さんはわかるけど、レンちゃは驚くべきよ!」
おいおい姉よ。弟をあまりにも低評価してないか?‥レンは寂しそうだ。
「落ち着いてくださいレナさん」壬生がカットインする。
「ある程度は予測はしていたんです。だからだと思いますが‥レナさん、訳を聞かせて欲しいのです。多分ですが、万能ではないですよね?」
それを聞いてレナの顔がみるみる晴れていく。
「さすが壬生さん!わかったわ!説明するわね!」
「19分だけ⁈」
レンは驚いた。
「そ、わたしがタイムトラベルできる時間はその時間のみなの!ちなみにこっちの時間で19分ね!」
「なんで19分だけなんだろ」とレンが呟く。
それを聞いてレナがレンのおでこに人差し指をトンっとする。
「あなたよ!レンちゃ!そのせいなのよ!」
「なるほど、九十九くんが19歳の女の子のことを‥」
「さすが壬生さんね!」レナは嬉しそうだ。
「つまり、あたしはレンちゃに関係していることでしか、タイムトラベルできないの。そして時間は19分。こっちの世界での19分で、行った先では19時間いられるけど、時間が来ると元の世界に強制的に戻らされるのよ」
レンは冷静に聞いてはいるが、実の姉からこんなことを聞いて、宇宙人か怪しい宗教に洗脳されたのではないかと、一瞬思うほど、ぶっ飛んだ話だと感じた。
「わかりました」壬生は素直に咀しゃくする。
レンは、壬生さんはすごいなっと思っていた。
「レナさん、あと気になるのですが、もう一つ能力っぽいのありませんか?」
「ん?レンちゃになれることのことかな?」首から45度身体を傾けるレナ。
「そうです。それは能力ではないんですか?」
壬生に言われて改めて考えているようだ。
「これはね‥特別かな?」といい満面の笑みを浮かべるレナ。
「レンちゃがあたしを守ってくれてるみたいなもんなんだよね」
「九十九くんが?」
「ボクが?」
「えっと、時間干渉者や次元を超えた人がいるとわかるんだよね‥そして、無意識にレンちゃの姿になっちゃう」
「タイムトラベルと変身は、別モノと考えた方がよさそうですね」
壬生がすぐ答えを導き出した。
「ホント壬生さんはすごいわ!どこの時間軸にいっても、変わらないし、素晴らしいのよね!」
レナはニコニコしている。
「褒めても何もでませんよ?」と壬生が言った。
「壬生さん」そう言って壬生の前に立つレナ。
「壬生さんも、そろそろじゃない?大丈夫?」
「れ、レナさん‥あなたは‥」
壬生が矢で射抜かれたように、動けなくなり衝撃が走った。
「あたしはわかるよ!信じてもらえるなら、奥さんに会いたいけどね」
レンには2人のやり取りが理解できないでいた。
「レナ‥」といいかけたら「シッ」といい唇に人差し指指を当てているレナがいた。
心地よいジャズが流れている。
壬生もレンもカウンターに座っている。
「今日帰ってくるんでしたっけ?お姉さん」と壬生が切り出す。
「そうなんですよ!本当に久しぶりで」嬉しそうなレン。
「喫茶店を待ち合わせ場所でいいんですか?」
「ここだからいいんですよ!」
嘘偽りのない笑顔のレン。
カランコロンといつもの音が鳴る。
コーヒー豆の香りが一気にドアの方へ向かう。
振り向くとひとりの女性のシルエットが見える。
「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」とみさきさんが接客してくれている。
「あっ、違います!レンちゃ‥九十九レンはいま‥す‥いたいた!すみません!」
「いえいえ、御気遣いできなくて申し訳ございませんでした。どうぞ、カウンターの方へ」
手を振りながらこちらへ来るレナ。
カウンター席から立ち、迎える2人。
レナはレンに飛びついた。
「ただいまー!レンちゃ」
「おかえり!レナ」
そんな2人を微笑ましく見守る壬生がいた。
充実した時間だった。
レナにも三姉妹のことを話した。
レンは丁寧に断ったことをレナに告げた。
「まあ、普通はそうなるよね」と、忖度なしに切り捨てる。
「絶対、レンちゃの人気目当てだと思うもん」と、またバサリと切る。
レナとしても、許せないのだろう。
「で、レンちゃ、好きな人できたの?」と、今度はレンに矛先が向く。
「バスケ」と言った途端、デコピンがレンの額に炸裂する。
「今度それ言ったら‥わかるわね?」
レンは素直に頷く。
壬生は、それをみて笑う。
そして思った。
このレナさんがメインストーリーのレナさんだと、間違いないと。
そして、壬生もこれが最後だと決めた。




