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時と三姉妹

「本当に、3人の中から選ばなくてはいけないんですか?」

レンは改めて聞いた。


3人とも頷く。


頭をサワサワしようとして止めるレン。


空白の時間があるとはいえ、いきなりこのミッションは重荷といえる。


「レンちゃん、彼女いないよね?」と真琴がズバっと斬り込んでくる。


(痛いな‥)と思いつつ、頷くレン。


「レン、好きな人はいるの?」と歌恋に聞かれる。


(好きな人‥)


「その感じ‥いないわね」と希空にツッコまれる。


「だったら、あたしが彼女になる!」とレンの腕にくっつく真琴。


歌恋と希空は頭を抱えてる。



「わたしたちと向き合ってもらえるかしら?」歌恋の眼差しから思いが伝わる。



嫌いなわけはない。

むしろ好きだ。

ただ、その好きが、恋愛の好きなのかは別だ。



「レンくんも罪な男ね」歌恋が呟く。



レンを好きな人は確かに多い。


あれだけ話題になっても、逆に人気になってしまったくらいだ。


希空はレンの瞳をみる。

(その瞳‥それがあなたを‥)


真琴は相変わらず、レンにくっついたままだ。



色々思いが交錯する。

ただ、一つのことにおいては共通したいた。




「時間がない‥」






後日の喫茶店‥

「壬生さんは、三姉妹の記憶ありますよね?」

カウンターでレンに聞かれる壬生。

コップを手入れする手が止まる。


「えぇ。九十九くんほどではないですが‥」


「うーん‥」

「どうしました?」


「壬生さん、オレ、彼女たちとの中学の思い出がないんです」

壬生は手入れをやめ、コーヒーを煎れだす。


「どういうことですか?」

「うまく伝わるかわかりませんが、そこだけ抜けているというか‥」


「なるほど、記憶にないんですね」

「ええ、まるっきりないんです‥あれ?いや、まてよ‥小学4年生からの思い出も記憶もない⁈」


「つまり、小4から中3までの彼女たちに関する記憶、思い出がないんですね?」

「そういうことになります」


「高校はどうなんですか?」

「高校は‥彼女たちは違う高校だったんで、噂だけで実際には会ってないです‥」


「つまり、小4から、こないだ会った時まで接点がなかったんですね?」

「はい。ボクの記憶に間違いなければ‥」


壬生はその言葉を聞きながら、お茶を一口飲む。


「とても魅力的な方たちです。人気もありそうですしね。まして、九十九くんと仲がよかったとはいえ、ブランクあっていきなり‥ですものね」

壬生さんが真剣に分析してくれている。


「そうですよね‥ただ不思議なことというか、感じがしたんです」

「ほう、それはなんですか?」


「壬生さんがいうように、ブランクがあるはずなのに、そう感じなかったんです」

「確かに‥変な感じですね」


壬生はレンの隣に座った。

コップを両手で挟みながら、いったん深呼吸をする。

そして、お茶を一口飲む。

それから、ゆっくり話し出した。


「彼女たちは本当にいたんですか?」

レンは驚いた。

壬生さんが突拍子もないことを言うわけないのだが、さすがにびっくりした。


「‥壬生さんにそう言われて、改めて考えてみると‥居たは居ました‥記憶にありますし‥」

「記憶‥」壬生が何やら考えている。


ふと、後ろを向きテーブル席に座っている客に声をかける。

「ハルちゃん、ちょっといいですか?」

友達と話していたハルと呼ばれた子がこちらを向く。

「壬生さんどうしたんですか?」

「聞きたいことがありまして、お時間よろしいですか?」


壬生の言葉をすぐ理解し、ハルは壬生の側にくる。

「あ、こんにちは!」と、レンに挨拶をするハル。


レンは、とても明るくていい子だな‥と思った。


「ハルちゃん、昨日お店来てて綺麗な3人の女性かたがいたの覚えてます?」

レンは壬生の質問に、なぜそんなとを聞くのか?と思った。

その答えはすぐにわかる。


「昨日?壬生さんが九十九さんといたのは覚えているけど‥3人?女性?」


(え?ハルさんには見えてないってこと?いやいやまさか‥)


「ハルちゃんにまで認知されている九十九くん‥すごいですね‥それより、やはり見えてませんでしたか‥」


「壬生さん、これは?」

「まってくださいね!こう言う時は慌てないのが一番です」


「あのー、写真いいですか?」と、ハルとその友達がレンの所に来た。

「はい、協力してもらったし、いいですよ!」

一瞬和やかなムードになる。


「九十九くん、ハルちゃんとは歳変わらないはずです。これから仲良くしてあげてくださいね」

壬生さんに言われては断れない。

「はい、わかりました」


そんな会話を聞いていたハルたちは、すごく喜んでいた。


「さて、本題に入りますかね」と壬生に誘導されカウンターに戻る。


「壬生さん、ハルさんたちに記憶がないって言うのは?‥」


「そうですね、わたしは3つ浮かんだんですが、あくまでも仮説となります。それでもいいですか?」

レンは頷く。


「わかりました。一つは簡単なんで、後にしましょう。まず一つは、ちょっと信じられないでしょうが‥認識されない‥ということです」

「認識されない?」


「ええ、わかりやすく言えば、いるかいないかわからない‥ですかね」

「いるかいないかわからない‥あの三姉妹ですよ?」


「ふふっ、それがダメなんですよ九十九くん。目立つからそんなはずはない‥と思うでしょう?でも、強すぎる光は周りにどんな影響を及ぼしますか?」

「強すぎる光‥あっ、逆に見えなくなりますね!」


「そうです。少し意味は違いますが灯台下暗しなんて言葉もありますよね!とにかく、強い光を利用したのではないでしょうか?」

「強い光って‥」


「何をいってるんですか、九十九くんですよ!」

「ボクですか⁈」


「ご冗談を?時の人ではないですか!」壬生が笑う。

「否定はしませんが‥自分の行動の結果ですし」


「とにかく、九十九くんの光は間違いないですね!そして、喫茶店ここではもう一つあります」

「もしかして‥」


ニヤリとしてから「わたしです」と壬生は言った。

確かに、ここでは光にあたるだろう。


「つまり、ダブルの光に隠れていたからってことですか?」

「そうですね!まあ、あくまで仮説ではありますけどね」


あれだけ目立ちそうなのにそんなことできるのか?‥と思いつつも、もしそうなら、すごいけど、怖いとも思った。


「もう一つは、記憶がキーワードになります」

「記憶ですか?」


「そうです。わたしと九十九くんの記憶だけにインプットされている感じですかね」

「壬生さんとボクだけ‥」


「よくわからないって顔してますね!」

「すみません」


「大丈夫ですよ!そうですね、わかりやすくいえば、3人がそもそも違うのかもしれません」

「え?」

壬生さんの観点にはいつも驚かされる。


「1人の人だったら?こないだ会ったのが3人ではなかったら?」

さすがに、レンは頭をサワサワした。


頭をサワサワ‥⁈


(まてまて、ボクのこの癖、小さい頃からだったか?)


「なにか気付きましたか?」

「まだまとまらないないですけど、少し‥」

思わずコーヒーを飲むレン。


「九十九くん、1人なら目立たないことも容易です」

その言葉を理解することができた。

「一人で三役ってことですか?」


壬生がゆっくり頷いた。




そんなことは可能なんだろうか?

壬生さんは、仮説といっていた。

最後のひとつは、最初からいない‥だったので、確かに説明はいらない。

いらないけれど、それはそれでなんか怖い気がした。

 

とにかく、後の2つが問題になる。


あれだけ目立つのに隠れる、消えることができる。


本当は一人、三人ではない。

これは壬生さんが言っていたんだけど、三人が一人になるパターンもあるらしい。


ボクには、壬生さんの頭の回転スピードと閃めきにはいつも驚かされているが、今回はいつもよりインパクトがありそうだ。



壬生はお茶を飲みながら、懸念していた。

(九十九くんの記憶がないのは、厄介ですね)


仮説とはいえ、レンに選択肢は提供した。

この後どうするか?である。


「壬生さん、もし、記憶が曖昧だとしての話なんですが‥」

「はい!いいですよ、どうぞ」


「記憶は曖昧だとしても、違うとは思えないんです。それで気付いたのが、記憶の上書きみたいのなんですが‥」

「ほう、上書きですか?九十九くんいい着眼点ですね!」


レンは壬生に褒められて素直に嬉しかった。




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