三杉三姉妹
第三部
三姉妹とレン
レンが、小学校の時、毎朝集団登校していた時の班にその子たちはいた。
三杉三姉妹‥。
長女 歌恋 5年生
次女 希空 4年生
三女 真琴 3年生
学校でも、話題の姉妹たちだった。
歌恋は綺麗系
希空はおっとりかわいい系
真琴はボーイッシュかわいい系
そんな感じで表現されて、みんなの注目を浴びる。
歌恋が、3年生の時にレンと初めて会うこととなる。
希空が2年生で、真琴は1年生。
歌恋は、3年生ではあったが、そのころから綺麗さの片鱗をみせていた。
妙に色気があるというか、艶っぽいというか‥
当然、同級生は男女問わず完敗せざるしかない状況であり、皆、頬を染めるばかり。
そんな歌恋に、レンは「歌恋お姉ちゃん、やさしいね!ボク、大好き!」と言った。
穢れなき眼差し。
(みんな、かわいいとかキレイとかしか言わないのに‥)
レンが、大した怪我ではないが傷を負った時にすぐ、歌恋がレンを心配し対処した。
レンにとって、歌恋=優しいお姉ちゃんなのだ。
そんなレンを歌恋は可愛がっていた。
次女の希空は、姉の歌恋と同様可愛いし、おっとりしてるが、しっかりしていて人気者だった。
レンの奔放な性格や行動をいつも、正しく導いてくれていた。
そんな希空をレンは慕っていた。
希空の言うことは素直に聞くレンがそこにはいた。
「レンくん!それはダメだよ」
おっとりしていながらも、言葉には力がある。
「うん、わかった!」
ドギマギしながらも、レンは従う。
「希空お姉ちゃんの言うことは、間違いないもんね!ボク、希空お姉ちゃん大好き!」
そんなレンの言葉は、不思議と嫌ではなかった。
(レンくんに言われるのは、嬉しいかな)
三女の真琴とは、同級生ということもあり、よく遊んだ。
三姉妹の中でも、アクティブで活発な子供だった。
歌恋が包み込むタイプ、希空が導き守るタイプなら、真琴は、共に歩き楽しむタイプになるだろうか。
ただ、活発なのは行動で、みためは可愛らしい女の子なので、みな騙される。
おとなしい子かと思いきや、レンと遊ぶ一面もあれば、みなびっくりするだろう。
そのギャップにやられる子も多かった。
「ボクたち、ずっと一緒だよ!友達だよ!まこちゃん大好き!」
「うん!わたしもレンちゃん大好き!」
と、満面の笑みを浮かべる真琴は、ひとりのかわいい少女である。
そんな三姉妹が今、レンに会いに来てる‥
「なんで今なんだ?」レンは考える。
大学も行かず、好きなことをやっている。
真琴とはよく遊んだ記憶が甦える。
モデルになったとか噂は聞いたことがあったが本当かどうかは知らない。
今、レンは壬生の喫茶店、ntの前にいる。
レンは、バスケの全日本代表を断ったことで、ある意味有名だ。
理由はそれくらいしか思いつかない。
覚悟を決めて店のドアを開ける。
身体を過ぎ去るコーヒーの香り。
視界には、3人の女性が立っていた。
「お久しぶり」
「お久しぶりね」
「久しぶりー!」
と、成長した三姉妹に挨拶される。
「歌恋さん、希空さん、真琴ちゃん、お久しぶりです!」
と返事はしたが、あまり直視出来なかった。
歌恋は、背も高くスラりとしているが出ている所はでている、ナイスなプロモーション。
髪もサラサラでロングをポニテにしていてもよくわかるくらいだ。
希空は、背は高くないほうだが、バランスが取れていて、実際よりは高く見える。
それ以上に、三姉妹一番の胸がなにより目立つ。
かわいいにさらに磨きがかかっているようだ。
ゆるふわな髪がいっそう華を添える。
真琴は、三姉妹で一番身長が高いだろうか?細めの体型だが、華奢ではなくバランスがいい身体になっていた。
胸が小さい(三姉妹の中で)が、ボディーラインは美しい。
ショートな髪はさらに真琴の魅力を引き出す。
三姉妹の情報を更新するレン‥
「みなさん、こちらへ」と壬生さんが奥の席に案内する。
大人数用の例の席だ。
「ごゆっくりどうぞ」と、壬生がいつもの会釈をしてカウンターの定位置に戻っていく。
一瞬、空気が凍ったように感じたが、それは一瞬で終わった。
「元気そうね!レンくん」
歌恋の言葉で一気に場が変わる。
(レンくん‥か‥懐かしいな)
なんというか、落ち着く声というか安心する声というか‥
「かなり大きくなったんじゃない?レン」と、希空が歌恋に続く。
ゆったり口調だが、弱さはなく芯がある話し方。
(希空さんのレン‥も久しぶりだな)
「ホント、会わない内にりっぱな男になって!元気してた⁉︎レンちゃん!」
歌恋、希空に続き真琴も口を開く。
(相変わらず、元気だな、まこは‥)
三姉妹を目の当たりにして、懐かしさと恥ずかしさが交わる。
「歌恋さん、希空さん、真琴ちゃん、みんな元気でなによりです!」
そうは言ったものの、テーブルに座る構図をみると、3対1。
面接と捉えることもできるし、何かの説明をしているとも捉えられる。
「なんか3対1って恥ずかしいですね」と、レンが苦笑いする。
さっと手をあげる真琴。
「じゃあ、あたしレンちゃんの隣に行くー!」
そういい移動する真琴。
「あ!」
「こら!」
歌恋と希空が止める間もなく、真琴はレンの隣に。
「まったく、ずるいわね」歌恋が呟く。
「真琴は、そういう事は行動力あって早いのよね」と希空が分析しながら呟く。
確かにそうだ。この行動力と元気にどれだけ勇気をもらったか。
「レンちゃん、大きくなったよねー」と真琴はレンとの距離を一気に詰めて、レンの腕や肩をサワサワする。
「真琴!!」歌恋と希空の声がユニゾンする。
呼ばれた真琴は、何がいけないの?みたいな顔をしている。
「すごい筋肉質な身体になったねー!」といいながら、まだサワサワしている。
「真琴!」希空の声がレンと真琴の間を通り抜ける。
真琴も動きが止まる。
これには流石希空さんだ‥とレンは思った。
「真琴、そんなことしてる場合じゃなくてよ」と、歌恋が少し低い声で諭す。
我にかえる真琴。
「そうだったね!」そういい前を向くが、レンとの距離は近い。
「真琴‥」頭を抱える歌恋。
「まぁ、いいんじゃない?それより話を進めましょう」と、希空がみんなを誘導していく。
「レンくん!」と歌恋に言われ「はい!」と返事をしてしまうレン。
内心ドキドキが止まらない。
「今日は、レンくんに頼みがあって会いに来ました」
「はい!」すぐ反応してしまうレン。
「希空‥」と歌恋が希空にバトンを託す。
「あ、はい!実はですね、レン。お願いというのは‥」
「あたしたち、3人の中で付き合って結婚してほしいの!」
そういいながら、真琴がレンの腕に抱きつく。
「真琴!!」
歌恋と希空の声がシンクロする。
「付き合う?‥結婚?」
レンは動揺を隠しきれない。
「真琴の説明が雑すぎるわね」歌恋が困った顔をしている。
「あ、レン、わたしが説明するね!」
希空に言われて素直に頷くレン。
ただ頷きながら思うことがあった。
この3人なら、ボクでなくても付き合うも結婚も不自由なさそうに思えると。
(何かが引っかかる)
「わたしたちね、時間が限られているの。その時間内に真の伴侶を見つけないといけないの。‥いきなりこんな話ししたら驚くよね。でも、本当なの」
(ホントにいきなりだ。あの希空さんでもテンパるのか)
「詳しく話せることですか?」レンがそう聞くと、歌恋が首を横に振る。
「レンくん、本当にごめんなさい」
「あ、いえ。謝らないでください。だけど、なんで僕なんですか?」
そう聞いた瞬間、3人の顔が紅くなる。
「それはねー!あたしたち三姉妹が同じ人を好きじゃなきゃ成立しないのだよ!」と、なにやら勝ち誇った態度をとる真琴。
「それがボクなんですか?」と聞いたレンも恥ずかしくなってきた。
「そうね。レンくん、わたしたちね、あなたと離れた時から、時が止まっているのよ」と歌恋に言われると、色々な意味でくるものがある。
希空も真琴も歌恋の言葉に頷いている。
(違和感はこれだったのか‥)
三姉妹は、体は成長しているのに、精神というのだろうか、心というのだろうか、レンと離れた時と変わらないのだ。
(なぜなんだろう‥)
姿は成長しているのに、彼女たちの核には、あの時の、小学生の三姉妹がそれぞれいるのだ。
まるで、大きな体を操るかのように。
それでも、彼女たちの必死さは伝わる。
「わたしたちは、わたしたちでいたいのよ‥」歌恋が呟く。
「ホント、そういうことなの」希空が続く。
「あたしはあたしだもん!」と真琴も‥。
(わけわからないな‥)頭をサワサワするレン。
「あら?その癖相変わらずなのね?」と歌恋がニコリとする。
「ふふっ、かわらないのね」希空も楽しそうにみている。
「レンちゃん、ハゲちゃうぞ」真琴が一応、心配してくれている。
いやいやそれはない!っと身振りで返すレン。
(とにかく、本題にうつらなければ‥)
「あのー」と、レンが口を開くと‥
「ん?」
「なにかな?」
「どした?」
と、レスポンスよく反応する三姉妹。
歌恋さん!
「はい」
希空さん!
「はぁい」
真琴ちゃん!
「はいはい!」
「真琴、はいは一回でしょ?」と歌恋にツッコミを受ける真琴。
「みなさんは、ボクのこと好きなんですか?」
‥レンよ、それは直球すぎるだろう。
レンらしいといえはレンらしいが、いきなり過ぎないだろうか‥
「⁈」
「‼︎」
「‥」
3人の反応が面白い。
赤面し、照れ、なにやらモジモジしている。
「す、好きよ」と歌恋。
「好きですよ」と希空。
「好き好き」と真琴。
三人も赤面しているが、それを聞いたレンも流石に普通ではいられない。
「あ、ありがとうございます」
三姉妹の気持ちを理解したレン。
この三姉妹とどう向き合うのか‥




