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友達のために

レンが日本に帰ってきた。


りんの心のリズムはロックになる。

駅を降りて街中を急ぐりん。


いつの間にか走っていた。

靡く髪。

揺らぐ衣服。

爽やかな空気を纏い、りんは走る。


ゴールは喫茶店South Wind。

もう目の前だ。

さらにスピードが上がる。


店前、この扉の向こうにレンがいる。

呼吸を整えてドアを開ける。

いつも薫るコーヒーのシャワーは、今のりんには感じられない。

「おはよーございます!」

りんが中に入るとカウンターに数名いる。

壬生とレンだろう‥

りんの意識は、そこに向かう。


レジには、みさきさんがいる。

「おはようございます!りんちゃん!いらっしゃいませ!」と、いつもと変わらぬ笑顔で対応してくれた。


軽く会釈してカウンターに向かう。


(レンに‥)


(レンにぃ!)


カウンターまでの数秒に募る想い。


脚が急げと動きだす。


レンはすぐそこだ。

「レンにぃ!!!おかえりなさい!」


りんは、振り返ってるレンにハグダイブする。

そんなりんを受け止めて笑顔で応えるレン。


「ただいま!りん!」

レンもやさしくハグをする。

そんな2人を優しく見守る壬生とみさき。


店内には、心地よいジャズピアノが流れている。





りんが人目をはばからずレンに甘えている。

レンも嫌がる素振りもない。

見かねた壬生が口を開く。


「楓ちゃんはいつくるんですか?」

その言葉に我にかえるりん。


「いけない!」と、慌ててスマホをとりLINEするりん。


レンに会えることにより、りんは暴走してたらしい。

連絡を待っていた楓は、怒ることもなく待ち合わせ場所に来てくれるとのことだった。


「オレも行こうか?」レンがそう言うと、りんは高速で顔を左右に振った。


壬生もみさきも、レンも、それをみて笑うのであった。


りんが、楓との待ち合わせ場所に向かった。


「りんちゃん、かなり、嬉しそうですね!」と、壬生がレンをみる。

「友達よりオレですか」といい笑うレン。


「実際に会うのは違いますからね」壬生の言葉は真理であり、核心をついている。



レンも楓と合流した。

あれだけ朱馬と言っていた楓でも、実際レンを目の当たりにすると、凄さがわかる。


(か、かっこいい‥)


そんな楓にレンはいつもとかわらない対応をする。


「こちらこそ、よろしくね!」

レンの笑顔が眩しい。

(あれ?なんか普通‥というか、なんかポカポカする)

楓は不思議な感じがしていた。


「かえでー!どう?レンにぃは!」と、りんが楓の肩に腕をまわし引き寄せる。

思わず「か、かっこいい!」と言ってしまう。


楓はゆっくりレンをみる。

ニッコリと笑うレン。


楓の頭は沸騰していた。


「レンにぃって、スーパースター感ないよね?」と突然りんがいいだす。

大きく頷く楓。


威圧感があるわけでもなく、有名人オーラがあるわけでもなく、逆に心配になるくらいだ。

「不思議な人だね‥」楓がポツリと呟く。


りんと楓は2人でレンを仲良く見ていた。




「じゃあ、行こうか!」とレンがしばらくていい出す。


楓も心臓の鼓動が早くなるのがわかる。



「少し時間かかるけど‥」とレンに言われて来たのは、30分程くらいの場所にある、バスケットコートだった。


中で誰かいる。

朱馬だ!

「おそい!」そういいながらバスケットボールをレンにパスした。

片手で軽くキャッチするレン。


「おいおい、片手かよ」といい笑う朱馬。


そんなやりとりの後ろで、楓は固まっていた。

(なに?今の‥ノーモーションパスの朱馬さんもすごいけど、あれを片手でキャッチするレンさんも凄すぎる)


りんは、そんな楓の隣でニヤニヤしている。


「朱馬、この子が例の‥」

「な、渚佐楓です!」楓が頭を深く下げる。


「渚佐さん、そんな、頭上げてね!」と朱馬がすぐフォローする。


「ここって、もしかしてしゅーさんの‥」りんが切り込む。

「そっ!元ホームだね!いやー懐かしいよ!よく、レンとプレイしてたわ!」


「2人の出会いはストバスですもんね」と楓は勇気を振り絞り会話に参加する。


両手の手のひらの中でボールを回し、フリースローをする朱馬。

弧を描きリングに吸い込まれる。

「アレがなかったら、今は無いかも」そういい朱馬はまたフリースローを放つ。


楓は感動しまくっている。


「じゃあ、本題だな!」とレンが場を切り替える。

「朱馬!」と手でこいこいと呼ぶレン。

ゆっくりとドリブルしながら朱馬が来る。


「それでは、今回は、この4人で2on2をやりたいと思います!」


「え?」りんは固まった。

「え、えー⁈」楓は崩れ落ちた。


レンと朱馬は顔を見合わせ笑っている。

会って話すとかは普通だし、バスケ好きなら、やっぱりバスケだろーってことを、試合後聞かされるりんと楓は、この時はそれどころではなかった。


1ゲーム目は、レン、りんチーム対朱馬、楓チーム。


普通に考えれば、朱馬、楓チームが圧倒的に有利になる。

りんは、バスケ選手でも経験者でもないからだ。


ところが、朱馬の頭にはその常識はない。

「渚佐さん、よろしくね!」

「は、はい!よろしくお願いします!」

朱馬がニコっとする。

「緊張するよね、ごめんね」

楓は慌てて返事をする。

「あ、謝らないでください!朱馬さんは何も悪くありません」


「じゃあ、楽しみますか!」

「はい!」


結果的に、朱馬、りんチーム対レン、楓チームもやったり、よくわからない3対1もやったりと、楽しい時間を過ごした。


楓は、この時間を一生の宝とすると心に決めた。



この日以降、楓の中では、朱馬のワントップではなく、朱馬とレンのツートップとなる。

厳密には、レンが上に上がっている。


同じチームの時に、朱馬に言われた。

「オレがきっかけで、バスケ始めたのか‥嬉しいね!それで、目標の選手はいる?」

楓は、「朱馬さんです!」と言った。


「ホントいい子だね!ありがと!でも、そしたらオレじゃなく、レンを目標にしないとダメかな‥」

楓は驚いた。

代表であり、NBAでプレイしてるのに、レンが目標だと言うとは思わなかった。


朱馬曰く、「オレが目標にしてるんだから、渚佐さんも目標にするということになるよね?オレきっかけだし、オレのファンでしょ?」眩しそうな笑顔で言われるものだから、楓も思わず笑ってしまった。


笑いながら「今日からレンさんのファンです!」と楓は言った。

「おいおい!話が違うぞ⁈またレンに取られたわー‥」

2人楽しそうに笑っていたが、それを見ていたレンは、またオレの話題か‥と思いつつ、朱馬の顔をみて安心していた。




楓は駅までの帰り道、2人のことで話が止まらなくなっていた。

そんな楓の話を、りんは嬉しそうに聞いていた。


レンと朱馬と会えたのだ。それは感情も昂ぶるだろう。

ましてバスケを一緒にできるなんて‥



楓の楽しそうな顔をみていると、りんは改めてレンと朱馬に感謝しつつ、2人の凄さを思い知った時間だったなぁーと感じていた。



一方、朱馬とレンはまだコートにいた。

厳密にはコートの控え室みたいな所だ。

更衣室もあるのだが、レンたちはいわばここのぬしだったのもあり、管理者がこの場所を使わせてくれたりした。


2人も話が盛り上がっていた。

「楽しかったな」と朱馬が呟く。

「あぁ、バスケって、スポーツって本来はこっちの方が幸せかもしれないな」意味深なことを言うレン。


「ホント、お前はひねくれてるな」

そう言って朱馬は笑う。


「いやいや、それは違うだろ?」


そんなレンをみて、朱馬はまた笑っていた。




バスケだけでない。

人も同じなのだ。


惰性で生きてないか?

毎日後悔していないか?

何か諦めたりしてないか?


レンは考える‥




‥ことはしない。


そういうものに囚われるのが好きではないからだ。


だから代表も辞退したのだろう。


誰もレンを縛れない。


ただ1人を除いては‥





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