ハルのこころ
ハルは、全てを知っている。
みんな、レンが好きだと。
かなえさんも、蘭も、みどりちゃんも、フローラさんも、エリーちやんも、常連さんも、従業員も、みんなみんな、レンが好きだと。
壬生さんも‥壬生さんはいいか!‥
だけど、あたしがいちばんレンが好き!
そういい聞かせている。
そうでもしないと、自分が立っていられないようだからだ。
レンと付き合いが長いからといって、有利になるとは限らない。
レンが特別と言ってくれるからといって、それがあたしのことを好きだということでもない。
多分好きなはず‥いや、好きだと思う‥。
だけど、自信がない。
ただ単に、人として好きなのかもしれないし、ホントわからない。
そんなレンだけど、みんな好きなんだよね。
そして、これだけは分かっている。
レンもみんなのことを好きだということを‥
だから、あたしが困っちゃうんだけどね!
レンの恋愛対象の好きが、いつ発動するかわからないけど、それがあたしであってほしいと思う。
19歳の時のあたしに、夢中というか、虜というか、呪われているのか?というほどだったレン。
憧れや偶像のような意味合いなら、あたしは少し寂しくなる。
-ちゃんとあたしをみて!-
と、いいたいくらいに‥
でも、レンが悪いわけではないのはわかっている。
少し鈍感なところがあるけど‥いや、かなり鈍感かな?
とにかく、色々考えることはあるけど、それに囚われないようにしないと‥自分を見失いそうになりそう。
レンはそう思っていなくても、都合のいい女みたいな立場になりたくない。
ホント、レンはそう思ってないけどね。
なんだろ、好きではなく愛してほしいのかもしれない。
レンの好きが恋愛の好きとは違うこともわかる。
好きとは何回、何十回以上言われてるしピンとこないからだ。
誰がレンに愛してると言わせるのか‥
あたしは、見守る側ではなく、レンと向き合う側でいたい‥。
そんなあたしでも、レンのお家でゲームして結果的にお泊りした時に、2人の間の時計の針が動きだしたと感じた。
幼馴染みの2人からの卒業。
そうあたしは捉えたし、思った。
今までの悩みが全て吹っ飛ぶ。
澄み切った青い空が広がるように。
心のよどみを浄化したような感じすらある。
レンがアメリカに行く前に分かってよかった‥。
言わなければ、行動にしなければ伝わらないこともある。
むしろ、そちらの方が多いと思う。
でも、アメリカは遠すぎる。
しかも、レンはモテるから心配。
ホント心配。
あっ、気付いた?あたしがレンって呼んでるの。
ふっふっふ!レンちゃんから卒業したのだよ!
レンちゃん‥も捨てがたいんだけどね!
レンは、アメリカ行く前と後、まったく変わらなかった。
寂しくないのかな?とか、あたしのこと心配しないのかな?と思った。
「ゲームで毎日会えるじゃん」
って言われた。
しかも、満面の笑みで。
これには、あたしも返す言葉はなかった。
ゲームとはいえ、レンと会い、話ができる。
これはすごいこと。
わかっている。
わがままだって。
でも‥
-一緒にいたいー
これが、本音。
だから、シーズンオフまでは我慢するんだ。
みんな、どんどん前をみて進んでいる。
あたしはどうなのかな?
なんか、大学生なのに恥ずかしい感じがしてくる。
自立?してないみたいな‥。
前進しているのかなぁ‥。
そんな思いを、渡米前のレンが解放してくれた。
「ハル、何かをやるのに優劣はつけるんじゃないぞ!あと周りに惑わされるんじゃないぞ!」
そう言って、あたしの頭にポンと手を乗せ、サワサワしてから旅立っていった‥。
レンのそういうところが素敵なんだよね!
自分の信じたことを突き進む。
できそうで、難しいことだよ。
あたしは大学をがんばるしかない。
あとは、レンとたくさんゲームしてリフレッシュさせてあげなきゃ!
バスケの活躍で毎日目にすることが多いけど、あたしはやっぱり‥
‥レンの側にいたい‥
自宅ベランダから星空を見上げるハル。
流れ星が一筋のラインを描く。
まるで、ハルの願いを聞き届けたかのように、そのまま星空に吸い込まれていった‥。




