特別
みどりがお礼をしたいということで今回のイベントが決まった。
及川みどり18歳、今月19になるハルの友達であり後輩でもある。
天真爛漫という言葉が当てはまる子でもあるが、ハルはみどりのことを可愛がっている。
こないだの喫茶店でのお礼ということで、レンに話したが、「そんなたいしたことはしてないよ」とさらりと返された。
が、ハルはみどりかどうしてもっていってるから‥とコマンド、たたかうを選びレンに迫る。
「わかった、ハルがそこまでいうならいいよ」と、レンはハルの攻撃を受けた感じになった。
みどり主催のレンへの感謝のイベントは、街のショッピングモールで買い物し、そのあと食事、そして自由時間というスケジュールだった。
「ホント、たいしたことしてないから、みどりちゃん」と、困った顔をしているレン。
それをみて笑うハル。
そんなハルの笑顔を眩しそうにレンがみていることにハルは気づくわけもなかった。
結局、色々なお店をまわったのだか、みどりちゃんが、コレどうですか?と選ぶ、レンが、いやいや大丈夫っす、の繰り返しが続いた。
2人とも、それを楽しんでいるのかと思うくらいだ。
「みどりとレンさん、いい雰囲気ですなぁ」と、顎に手を当てながら話す蘭。
「どう思いますかな?ハルさん」と蘭が振ってきた。
「ど、どうって、みどりがお礼したいんだから、誠意に対してレンちゃんがちゃんとこたえてるんじゃないかな?」と言ったものの、内心穏やかではないハル。
みどりの笑顔が眩しくみえた。
ハル19歳の時、よくレンにお礼していたことを思い出した。
その時は、ハル、ハルの友達、レン、レンの友達という組み合わせだった。
もちろん、2人の時もあったが、普段からその4人でいつもいたからだ。
ショッピングモール、ハルとその友達が少し前を歩いている。
レンとその友達はハルたちを追う形だ。
みんなで並んで歩いたら、通路を塞ぐし、迷惑になるからだ。
何かある時は止まってみんなで話していた。
そんな風にレンが雰囲気で導いていたのもあるかもしれない。
レンの友達が突然口を開く。
「レン、なんでハルちゃんなんだ?」
レンは友達の目を見る。
そして再び前を向き口を開く。
「ん?別にオレのハルではないぞ」
「わ、わかっててわざと言ってるな!レン!」
レンが笑いだす。
「ごめんごめん、ついな‥」
「笑って誤魔化すな、オレらだって、同級生だって19歳組だぞ?なのになんでハルだけなんだ?」
レンの友達は真剣だ。
「んー‥、そうだなぁ、強いて言えば、ハルは特別だからかなぁ」
そう言ったレンの顔は、なんの曇りもない眩い笑顔を友達に浴びせていた。
「特別って‥」レンの友達は理解出来なかった。
「特別⁈」
少し前を行くハルとその友達も、レンとハルの関係が気になり聞いていた。
ハルはレンに言われたことをそのまま伝えた。
「それって!」と友達が食いつく。
「違う違う、そんなんじゃないと思う」そう言ったハルは、なんだか寂しそうにみえた。
「幼馴染みみたいな感じだから?それで特別なの?」友達の食いつきは加速する。
「ほ、放っておけないんじゃないかな‥あたし、ほら、ふらふらしてるし」そういいながら笑顔がぎこちないハル。
友達はニヤリとする。
「九十九くんの事はよくわからないとして、ハルは九十九くんが好きなのは、よーくわかりました!」
「ちょっ!なんでそうなるの!」慌てるハル。
「それが証拠じゃないか、ハル君」といい、友達はハルの額を人差し指でトンとする。
ハルの顔が染まっていく。
そんな2人を後ろから見ているレン。
(なにやってんだか‥ハルは)
そう思いながらも、顔は緩んでいるのは本人も気づかない。
「ハル!別にオレは欲しいものないぞ!」とハルたちが店の前で止まったので、すぐツッコむ。
「残念でしたー!これは、あたしたちのでーす!」と、こちらを向きちょこっとだけ舌をだして笑い出すハルとその友達。
レンはこの時、ハルを、19歳のハルの素晴らしさを噛み締めていた。
(19歳の女性がこんな魅力的なんて‥)
レンからただならぬオーラが出ていることに、若干引いている友達がそこにはいた。




