それぞれの環境
レンと付き合いたい!
と、それぞれ思っている。
かなえ
ハル
蘭
みどり
オーナー
‥?オーナー?
オーナーは除き、4人の思いは確かだ。
レンのシーズンはオフに入ったが、彼女たちのシーズンはこれから始まる。
シーズンMVP、新人王、プレイオフMVPと得点王、チャンピオンのタイトルを取ったレン。
(他にもタイトルを取っているのだが、ここでは省略する。次回機会があれば‥)
日本に帰ってきても忙しい日々を送っていた。
壬生さんのアドバイスで、レンはマスコミ対応もちゃんとしていた。
「色々あるだろうけど、まず応援してくれたファンのため、またこれからも支えてくれる人たちのために、ここは忍耐し、謙ってくださいね」と壬生に言われては仕方ない。
(壬生さんの言うことは間違いないからなぁ‥)と、思い出すレン。
日本でも、時の人となっていた。
‥と、言うことは、レンが働いていた喫茶店も知れ渡り人気となる。
レンに会えるのでは?と来る人もいるくらいだ。
そんな中、彼女たちはどうしているのか?
ハル‥ハルは、レンが帰って来てからも、ゲームをする日々はかわらない。
以前のようにどちらかの家に行き一緒にやる時もあれば、会わないで普通にネットを通して遊んだりしていた。
レンとの親密度80%くらいだろうか。
穂崎かなえ‥かなえは店長として日々を頑張っていた。
レンとは、LINEでのやり取りが主になる。
仕事のことはわかるのだが、あえてレンに聞いたりしていた。
レンに帰ってきて欲しい気持ちもあるが、それ以上に応援したい気持ちが強い。
例の飲みの一件より、関係は進展はしていない。
レンとの親密度70%くらいだろうか。
一之瀬蘭‥ハルと一緒に行動することによって、レンと接触している。
蘭は、レンへの思いが日々膨らんでいくのを感じていた。
しかし、何もできない。
ハルやかなえさんがレンのことを好きなのも知っている。
でも、自分も好きなのだ。
そんな気持ちの狭間に悩まされて、
日々を送る。
一緒に少しだけでもいられることに幸せを感じている。
レンとの親密度15%くらいだろうか。
及川みどり‥みどりは、あの時以来レンに好意を抱く。
ただ、内に秘めたままだった。
自分ではどうすることもできない。
先輩たちがレンのことを好きなのもわかっている。
それでも、レンが好きだし、好きになることは仕方ないと思っている。
でも、一方通行は嫌だと思っている。
レンとの親密度3%くらいだろうか。
こんな彼女たち。
誰がレンの心を射止めるのか?
わたしたちは、見守ることしかできない。
確率は不思議なものだ。
決していい方、多い方を引くわけではない。
レンとの親密度3%のみどりが、残りの97%に勝つこととなる。
まさに、少なくていい方を引いた形だ。
日本滞在中のレンのサポート役に選ばれたのだ。
ハル、かなえ、蘭たちではなく、みどりが。
3人が時間を取れないこともあったのだが、これは奇跡にも近かった。
レンが「19の子がいいです」と言わなければ今回のことはなかっただろう。
レンも知っている子で安心していた。
顔合わせの時の、「よろしくね!みどりちゃん!」と言った時のレンの顔をみどりは一生忘れないと思ったくらいだ。
一緒に行動していて思ったことがある。
「なんて不思議な人なんだろう‥」と。
バスケ界、NBA界注目の選手なのに、そういう感じがしないのである。
喫茶店であった時のままのレンなのだ。
実はみどりも変わった。あの件以来、大胆な服は着なくなった。
嫌いになったわけでも、興味がないわけでもない。
ただ、レン以外に見られたくないという気持ちが先に出たのだ。
それは、レンのサポート役としてもいい方面に向かっていた。
レンが、時間でのスケジュールにしているので、余裕がある。
とにかく一日中レンと一緒にいるので、みどりにしては天職にしたいくらいだ。
今日も無事一日が終わった。
意外に早く終わったので、レン自身がみどりを送ってくれることになった。
レンの白いスポーツカーの助手席に乗るみどり。
その車内で、みどりは今後を左右する選択にせまられる。
「一緒にアメリカに来てくれないかな?」とレンに言われたのである。
みどりのサポート能力を評価してのことだった。
あと、「アメリカに日本人の19歳の素晴らしさを知らしめてあげたい」とも言われた。
レンに通訳はいらないが、サポート役は必要なのは、みどりも理解していた。
とても重要なこと‥
すぐには返事をせず、考える時間をもらった。
喫茶店
「‥ということなんです」と、みどりが説明する。
みどりを囲む側は、返事に困っていた。
「及川さんはどうしたいですか?」と先陣をきったのはオーナーの壬生だ。
その場にいたみなが、やはり頼りになるなっと思った。
「レンさんは、わたしの仕事を評価してくれました」
その言葉にみな頷く。
「その期待に応えたいと思っています」
みどりが逞しくみえる。
「よくわかりました。九十九くんがこれからさらに活躍するには、サポート役は重要になります。意味はわかりますか?」
「はい。わたしだけではダメなのはわかっています。でも、わたしでなければいけないのも理解しているつもりです」
壬生はその言葉を聞いて微笑む。
「及川さん、大丈夫そうですね!」
みどりもその言葉に微笑みで返した。
ハル、かなえ、蘭は静かに見守っていた。
数日後
今日は喫茶店はお休みの日。
‥なのに、店内は騒がしい。
かなえが指揮を振るっている。
しばらくすると、カランカランと音が鳴りながらドアが開く。
「ただいま!」そう言って入って来たのはレンだった。
かなえはレンをハグしたまま、オイオイ泣いている。
レンも笑いながらかなえのハグを受け止める。
「オレはお邪魔でしたかね?」とレンの隣の男性がかなえとレンに向かって言った。
「あっ!すみません!」といいかなえがその声の主をみると‥
「朱馬くん⁈」
そうなのだ。今回はレンと朱馬が喫茶店に呼ばれていたのだ。
(オーナー!‥)と、かなえは思った。
久々の再会はやはり嬉しいもの。
この日は、かなえは酔っ払ってしまった。
本当に久しぶりだ。
レンがいるから大丈夫という安易な考えのかなえ。
従業員の手前もあり、そこまで崩れることはなかった。
「かなえさん、色々すみません」と、レンが呟いた。
そんな言葉に、かなえは何も言わずハグをする。
「困りましたね、かなえちゃんが弱体化してますね」そういいながら、壬生はニコニコして2人をみている。
「オーナー‥」といいレンも笑う。
「彼女は、がんばっていましたからね!がんばってって表現でいいのかわからないくらいに」
静かにジントニックを飲みながら語る壬生。
「だからといって‥」とレンがいいだしたら、壬生が首を横に振った。
「九十九くん、それくらいのご褒美はいいんじゃないですか?」
壬生さんにそう言われて、素直に受け止めるレン。
2人を見つめる壬生。
(かなえちゃんの、年上とか気にしない所いいですね)
美味しそうにジントニックを飲む壬生は、満たされてるようだった。