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ナンバー

最近、ニュースでNBAに挑戦している日本人として取り上げられるようになっていたレン。


ニュースでレンの活躍をみるハルたち。


近いようで遠い存在になりそうだ。



喫茶店

オーナーがカウンターでコーヒーを飲んでいた。

ハルはその隣に座る。

「ハルちゃん、どうしました?」とオーナーは聞いてきた。


(相変わらずすごい人だと悟るハル)

「壬生さん、一つ聞いていいですか?」

という問いに、笑顔と「どうぞ」と優しい声でこたえてくれた。


「レンちゃんをなぜ休職扱いにしたんですか?」

ハルはストレート勝負にでた。

「気になりますか?」と、その球を上手くカットされた。

「はい!壬生さんの考えを知りたいです!」

二投目もストレート勝負だ。


「そうですねぇ‥、九十九くんには家が必要だと思ったんですよ」

「家ですか?」

「ごめんなさいね、少し分かりにくいですよね!‥家とは実際の家ではなく、帰ってこれるところって意味ですね」ニコリとする壬生。


「帰ってこれるところ‥ですか‥」

「そうです!これは人によっては逃げ場があるという意味にもなるので、諸刃の剣になりますかね」


「逃げ場‥」

「はい。普通の人なら逃げ場になります。ですが、九十九くんは違います。彼はNBAで成功しようがしまいが、日本でのプレイは考えていないでしょう。ダメだったから日本で‥は、彼の頭の中にはありませんね」

「レンちゃんらしいですね!」

「まったくです。ですから、わたしは休職扱いにしたわけです」

「レンちゃんが成功してもしなくても、安心できる場所を提供したんですね!」

「安心かはわかりませんね!ただ、帰れる場所があることは、九十九くんにとってはプラスになると思います」

「壬生さんすごいですね!」

「いえいえ、九十九くんに比べたら全然ですよ?彼は、代表を蹴ったという悪いレッテルを貼られていますからね」

「確かに、レンちゃんを悪者みたくいう所もありますもんね」

「心配ですか?」という壬生の問いに首を横にすぐ振るハル。

「レンちゃんはそんなに弱くありません!」といい、2人顔を見合わせたニコリとした。




数ヶ月後、背番号19の選手か画面に映る。


レンは、コートの中にいた。




この事態に、日本の各メディアは手のひらを返す。


当然、あの監督も脚光を浴びる。


しかし、監督も本人であるレンも至って冷静である。


レンが唯一コメントを残したのが「ボクはここに立つ事が目標ではありません」だ。


この言葉を後日聞いた監督は、大層喜んだらしい。


監督も一言だけ述べた。

「九十九レンは全てを理解し見ているんだよ」と。


この言葉を聞いた朱馬は笑みが止まらなかった。



喫茶店

「大分有名になりましたね」と壬生さんが、かなえの煎れたコーヒーを飲みながら言った。

「もう会えないのかしら」とかなえは手元は止めず呟く。


「そうですねー、オフには帰ってくるんじゃないですか?」という壬生の周りの空気感はまったりしている。

「オーナーは、レンくんのことよくわかりますよね?」

それを聞いた壬生は笑出す。

「すみません、かなえちゃん。よくはわかりませんよ!ただ、わたしの感ですかね」


(その感が凄すぎるのよね‥)と思うかなえであった。

「オフには‥ってことは、レンくんは成功すると?そう言うことですよね」と、かなえは質問ばかりしている自分を内心責めた。


「九十九くんは、わたしたちの予想を遥かに超えるでしょうね!逆にオフじゃなくなるかもしれませんね」

その言葉を聞いて、整理していたカップを落としそうになった穂崎。

(あぶなかった‥オーナーの言葉は怖いからびっくりするよ)

かなえは、冷静に作業を続ける。


シーズン後、壬生の恐ろしさがわかるのはこの時のかなえは知らない。







背番号はなんで19なんですか?

「好きだから‥じゃダメなんですか?」とレンの対応がネットニュースに載っていた。


スマホを蘭にみせ、頬を膨らませるハル。

「レンちゃん、バカだよね?」といいプンプンしている。

そんなハルをみて蘭は笑っている。

「まあまあ、ついたからさ」と蘭が指を差した。


いつもの喫茶店


「みなさん揃いましたので、配りますね!」と壬生オーナーが指揮をとる。


それぞれ手に取るハルたち。


背番号19のレンのユニフォームだ。


今日はNBAのオールスターの日。

なんと、レンは選ばれたのだ。

みんなで集まって観ようとなった。



レンの前半の活躍が評価された瞬間でもある。


得点20点台、アシスト12本台、スティール3本台のアベレージがオールスター選出のラベルとなっている。


チームのヘッドコーチは、レンについてこう言った。

「彼は得点を取ろうと思えばたくさん取れるんだ、30くらいいつも余裕だろう。だがそこまでしないし、こだわらない。彼はチームの中で一番自分の仕事を理解しているよ」


チームメイトの言葉はこうだ。

「信じられるかい?彼の周りだけスペースができるのさ!やりたい放題だろ?」


明らかにチーム全体の得点力が上がっていた。


朱馬もオールスターをみていた。

(レン、先にチームを優先したか‥)

朱馬は少しでも見逃さないよう集中してみていた。


朱馬も来年、NBAに行くと決めたからだ。




ハル自宅

何やら話し声がする。

「いるいる!こっちだよ!レンちゃん!」

そう、ハルはゲームをやっている。


しかも、オールスター後のレンと。

レンのゲーム生活はかわらない。


ハルと定期的にゲームをしていた。

離れているけど、側にいる変な感じだ。


「ねぇ、レンちゃん」

「ん?どうしたハル」


「オールスターさ、バンバン点取りに行かなかったじゃん」

「ああ、それな」


「アレって意味あるの?」

「ハル‥」と言って笑うレン。


「あ、悪い。意味か、そうだな‥マスコミに対して、世間に対してやった感じかな」

「そうなの?でも、全てのシュートにフリースローついての得点で2桁ってすごいよね?」


「あれはオマケさ、監督やチームはオレの意図を理解してくれたよ」

「すごいね!NBAって」


「すごいさ、オールスターはもっとね!だからやってみたんだよ。厳密には点を取りに行くけど、行くだけで取らないかな‥」

「ガンガン取ったほうが注目集めるのに‥」頬を膨らませるハル。

当然レンには見えない。

「ほっぺ膨らませるなよ」とレンが言った。

「なんでわかったのー?」とはしゃぐハル。




これで付き合ってないなんて冗談でしょ?

‥と、みなさまも思うはず。

続きをみましょう。





「レンちゃんも有名人だね!」

「ああ、そのことか。NBAに興味がない日本が悪いんだよ」


「それ、関係あるの?」

「あるよ、なんかさ、別の世界みたいに取り上げるだろ?」

2人は話しながら、ハルのキャンプで荷物整理をしている。


「最高峰ではあるが、特別ではないだよ‥」

「レンちゃんらしいね!」そういい、クスっと笑うハル。

ハルは話を変えることをチョイスする。


「そうだ!レンちゃん、こないだ地元でも、アメリカでも人気って、若い女の子と映ってたよ!」

「人気?注目されてるだけだろ?若い女の子って、19じゃなかったしな‥」


「レンちゃんの病気は治らずですか‥」

「ハルさん?どなたのせいですか?」

すかさずツッコむレン。


「あたしは何にも悪くありませーん」

そういって、ハルのキャラがキャンプから消えた。

「おいおい、ハルさーん!」

2人の笑い声がおどりあっていた。




野球やサッカーの方が有名だし、注目も浴びる日本。

バスケも一時はブームがきたりと注目を集める。

しかし、一時なのだ。


点を多く取れば注目される。

そんな世の中だ。


そんな世の中でも、レンのプレイは人々を魅了する。


この話は、また機会があればすることにしよう。



シーズンが終わり、レンが日本に帰ってくる。


そして、それぞれの思いが交差する。


違う意味でのシーズンの始まりである。




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