チャレンジ
「ハルはどう思う」と急にレンが聞いてきた。
「ん?どしたレンちゃん」とゲームをプレイしながら聞くハル。
今2人は、レンのキャンプで荷物整理をしていた。
「バスケのことさ」
「バスケかぁ‥」
「ハルは、オレの立場だったらどうする?」
「あたしかぁ‥そうだねぇー、自分を選んでくれたことには素直に感謝するとして、なんであたしなのか?は聞くかな?」
「‥それは、ハルが有名な選手であってもか?」
「そうだね、その問いに対する答えで決めるかな‥」
「答え?」
「うん。あたしを本当に必要としているのか?それを知るために」
「入るだけの価値があるか、それを知るためでもありそうだな」
「そうだよ!さすがレンちゃん!もし、観点が違うならそれまでの話だと思うんだ」
「なるほどね‥オレみたいに日本のバスケは嫌いとか言ってるの恥ずかしいな」
「ううん、そんなことはないと思う。なんだろ、芯みたいなものは大事だと思うよ。レンちゃんは日本よりアメリカのバスケしか興味ない‥その芯がブレないのはすごいことだと思う」
「そんな大したものじゃないけどな」
「ううん、芯がない人もいるからね!レンちゃんは大したものです!」
「褒められてるのか?」
「そだよ!富や名声で動かない、立派な事だよ!」
「ありがとなハル、決心がついたわ」
「お!それはよかったよレンちゃん!」
「ハル、ボク、アメリカに行くわ」
「アメリカ⁉︎」
「ゲームしながら話す話じゃないな」
「そ、そんなことないよ!でも、ビックリしたよ」
この後、荷物整理をしている2人に、しばらくの沈黙が続いた。
喫茶店
「申し訳ありません」と頭を下げるレン。
何回目だろう、全日本の監督がここに来るのは。
何度来ても話しても、レンの心は変わらない。
「君は本当にすごいな。今回はダメでも、私は諦めないよ」
この監督もすごいと思ったのは、その場にいた誰しもが感じていた。
後日、レンからアメリカに行くと聞かされた面々。
壬生さん
かなえさん
ハル
朱馬
蘭
みどり
喫茶店の店員たち
それぞれ、リアクションは違えど驚いていた。
喫茶店はやめるわけではなく、休職扱いになった。
壬生さんの計らいだ。
かなえも寂しそうだ。
ハルは予期していたが、やはり寂さが押し寄せていた。
蘭も、自分がまだ何もしていないことを後悔していた。
みどりは、何をどうしたらいいかわからなかった。
それぞれの思いがあったが、レンがいなくなることは確かだった。
そして、レンはアメリカへと旅立った。
全日本代表は、監督がある選手に固執しているとか、なぜ彼なのか?、監督が惚れたのでは?付き合っているのか?とか色々言われていた。
ちなみに、監督は女性である。
さらに、朱馬はレンと仲がよく、コンビを組んでいたことで質問されまくっていた。
その度、「すみません!監督命令で何も言えなくて!」と、明るく対応していた。
ただ、「オレよりすごいやつですよ!」とだけは毎回言っていた。
(あいつがストバスのみにしてたのは、なんとなくわかったわ)
こうして、レンがいない生活が、それぞれはじまる。