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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
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第8殺 真夜中の作戦会議

 

 ───深夜。


「お疲れ様、カレン。よく『アビス・オブ・アビス』のインフェルノをよく倒したよ」


 カレンが勝利のカレーうどんを啜ったあとに、『ジェネシス』のアジトにて、インフェルノとの戦いを終えたカレンを褒め称えるのは『ジェネシス』のボスであった。

「流石はカレンさん、頑張りました。称賛に値しますの」


「ありがとうございます、ボス。アルピナ」

 カレンは称賛してくれた2人に感謝する。彼女の胸に刺さった針は、ボスによって治療されていた。


 もちろん、傷が完治したようなわけでは無い。針が刺さっただけなので縫合こそしなくてよかったが、傷口を塞ぐことは必要だった。


 現在『ジェネシス』のアジトにいるのはカレンとボス、そしてアルピナの3人だった。昼間はソファでずっと寝ているシトロンと、髪の毛が水色であるメルセデスの2人は、休眠を取っている。


 ───いや、昼夜構わず眠っているシトロンは「休眠」ではなく「惰眠」だろうか。


「───それで、今度こそ2人に任務を任せようと思うのだけれど...いいかい?」

「私は構いません」

「ワタクシも承諾しますわよ。本日は、任務で少し汚れてしまったから早急に風呂を入りたかっただけですから。カレンさんのことが嫌いなわけではないですわよ」

 アルピナはそう言うと、上品な笑みを浮かべた。


「じゃあ、明日は2人に任せようと思う」

 ボスはそう言うと、手元にあった書類を机に当てて整えた後、それを机に戻して立ち上がった。


「まず、今日の───いや、0時を過ぎていたら昨日かな?一先ず、昼間に出会った別言語を話す男(バイブル)を殺せなかったことで、『アビス・オブ・アビス』の面々に命を狙っていることがバレてしまった。この事から想像付くものは?」


「ワタクシ達を警戒して行動する回数を減らす───なんて答えは正解なのでしょうけれど、違うのでしょうね?」

 アルピナはそう言って少し首を傾げた。ここで、首を傾げたのは何かに疑問を抱いているのではなく、ボスの表情を窺うための行動だろう。


「あぁ、そうだ。インフェルノがこれからあげる行動予測の最たる例なのだろう」

 カレンも、アルピナよりも少し遅く何かに気付いたような表情をする。そして、カレンとアルピナはこう口にした。



「「───(ワタクシ)達に復讐するためにより活発に動き出(しますわ)」」


「正解だ」

 ボスは、2人の答えに頷いた。


「人を殺すのが仕事なのに、仲間が殺されそうになると怒って動き出す。グループの暗殺者あるあるだね」

「ワタクシ達も何も言えないような気がしますけれどね」

「ははは...()()が死んだ時は、シトロンも暴れ回ったからね。僕達もその行動については文句を言えないね」


「───彼女って?」

「カレンは知らなくて当然だよ。カレンの前任の立ち位置が、()()だったんだから」

「そうなんですか...」


「いつもシトロンが言っているカレンの前の野郎って言う人と一緒だよ」

 カレンの前の野郎は、どうやらカレンと同じ銀髪であり、暗殺が凄腕の人物だったらしい。だが、カレンは彼女には会ったことがなく一緒に仕事をしていたボスやシトロン・アルピナからの口伝えでしか知らない。


 メルセデスは、()()が死んでからカレンが『ジェネシス』に所属するまでの間に『ジェネシス』にやってきたので、カレンと同じく()()のことは知らないようだった。


「───と、少し話が横道にそれてしまったね。話を戻そう。えぇと、相手(アビス・オブ・アビス)が活発に動き出すってところまで話したっけ?」

「えぇ、そうですわ」


「それじゃ、相手はどう動くと思う?」

「ワタクシ達のことを探しに動き出す...ですかね?」

「あぁ、そうだね。それこそ、特徴的な髪色を持つメルセデスなんて調べれば過去の経歴とかすぐに出てくるだろう。それで、ここがバレる───と」

「私がしっかり殺せなかったからです、本当に申し訳ございません」


「いやいや、カレンを攻めているわけではないんだ」

「全てメルセデスの責任ですわ。彼は数日は拷問にかけられてもいいと思いますわ」

「では、私も数日ほど拷問にかけられなければ...」

「ふふふ、お嬢様ジョークですわよ」


「はいはい。それで、僕達がバレたらどうなる?」

「アジトを───そこまではいかなくても、そこのメンバーを殺すために動く気がしますわ」

「そうだ。業務以外での殺害をしに来るだろう。それに、ここ(アジト)がバレる危険性だって大いにある」


 アジトがバレるということは、暗殺業をするものにとって、最大の禁忌だ。それこそ、暗殺を依頼されるのは信頼できる業者を仲介してだろう。そうでないと、簡単に復讐されてしまう。


「アジトまで割れるとマズい。だから、早めに全滅にまで持っていかないと行けないんだ」

 ボスは、これまでの話を簡潔にまとめた。


「そうですわね。バレてしまっては引っ越しするしか無いですもの。ここは立地もよく気に入っていますので離れたくはありませんわ」

「あぁ、僕だって同意見だ」


「それで?」

「相手が、こっちを探っているなら、相手が探っていそうな場所にあえて行く。そして、そこで相手を倒してしまえば効率的だと思わないかい?」

「相手の罠に敢えてハマる...ということですわね?」


「あぁ、そういうことだ。とりあえず、相手がやってきそうな場所は絞ってある。明日は───いや、0時を回っていれば今日かな?───と、まぁいい。次の昼はこれから渡す地図の場所のどこかに2人で向かってくれ」

「わかりました」

「了解ですわ」


「それじゃ、地図を渡すよ」

「───と、少し気付いたことがあるのですけれど...」


 カレンが、口を開く。地図を渡そうとしていたボスの手が思わず止まった。

「なんだい?」


「どうして、インフェルノは私が追加任務で暗殺者を殺しに行くことがわかったんでしょうか?違う暗殺者に同じ依頼をしていて、たまたま『アビス・オブ・アビス』にもお願いしていたのでしょうか?」

「───そう...かもね」


 ボスは、カレンの質問に曖昧に答える。ボスだって、心のなかで迷いが生じていたのだろう。



 ───「『ジェネシス』の中に情報を『アビス・オブ・アビス』に流している裏切り者がいるかもしれない」と言うことに。

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