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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
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第4殺 街中での一戦

 

『お前らは何者だ』

「───何言ってんだ、コイツ?」

「お前らは何者だ───と言っています」

 カレンとメルセデスの相対する茶髪の目鼻立ちがよく白皙の男性。それは、カレンやメルセデスとは違った言語で話していた。

 言語が違うと、作品にも支障が出るので『』で、カレンとメルセデスが使用しているのと同じ言語で表そうと思う。


『俺に喧嘩を売るというのなら、やめた方がいい』

『残念ね。喧嘩は同レベルでしか起こらないから、これから行われるのは喧嘩じゃなくて一方的な暴力よ』

「おいおい、カレンまでよくわからない言語で話しやがる!」

 その場で、唯一言葉で理解できないのはメルセデスであった。


「大丈夫よ、ただ挑発しているだけだから。一応、油断しない方がいいわね」

「そうかよ。相手から攻撃させるつもりか?」

「一応。ここは、町中だしね。先手より後手のほうが、始末がし易いわ」

『そんなことなら、俺は攻撃しねぇぜ?』


 ───どうやら、対面する人物はカレン達が話す言語も理解できているらしい。


 まぁ、それは考えれば当たり前のことだろう。一人言語が違うならば、チーム全体でのまとまりが悪くなる。

 それこそ、彼一人でチーム崩壊の危機にまで陥れる可能性だって有り得るのだ。


『どうやら、貴方の頭の中には脳みそが入っているみたいね。驚きだわ』

『おっと、初対面のレディにそんなことを言われるだなんて...俺はそこまで馬鹿に見えるか?』

『生憎、私の隣にいる水色髪の先輩くらい馬鹿に見えていたわ』

「おい、今俺様の悪口を言ったんじゃないか?言語が違くても、ニュアンスでわかるからな?」


「───そんなこと言ってないわ、先輩のことは最強って言ったのよ」

「ノウナシヘンタイッテ、イッテタ」

「おいっ!貴様ッ!俺様は馬鹿じゃねぇ!」

 そう言って、怒りをあらわにするような言葉を言いつつも、メルセデスは冷静だった。


「やっぱり、待つってのは俺様の性に合わねぇ!くらいな!」


「【銀河渦巻く魂の波動を網羅し、

 氷の結晶の奥深くに宿る恒久の冷気を呼び覚まし、

 空虚な次元を彷徨う精神の螺旋を辿りながら、

 氷雪の領域を切り拓く闇の魔力を解き放つ!

 凍りつく風を纏い、氷の封印を刻み込む永劫の魔法よ、顕現せよ!

 『アブソリュート・ゼロ・オブ・ゼロ』】」

『───ックソ』


 メルセデスは、魔法を行使して相手の武器を凍らせようとする。暗殺者にとって、武器は命だ。

 故に、武器を一つ取り押さえるだけでも相手の命を削ったのと同等だ。


『アブソリュート・ゼロ・オブ・ゼロ』は、任意の物体を凍らせる能力であった。メルセデスは、その魔法で相手の───名前で言うとバイブルの保有する太刀を鞘ごと凍らせようとした。


『危ない危ない、後退しなければならないところだった...』

「クソッ、一瞬遅かったか...魔法の詠唱ってのはこういう時にカスだぜ...」

 バイブルは、自らの太刀を既に抜いていたのだ。凍らせる直前に鞘から抜いていたのだ。その抜刀も、早すぎて見えないほどに。


「メルセデス、行くわよ」

「俺様のことを呼び捨てにするのはいけ好かねぇな」

「メルセデスちゃん、行くわよ」

「呼び捨ては嫌だけど、ちゃんはもっと嫌だわ!ったく、無表情の癖に割りといい切り返し方をしてくれるじゃねぇか!」

 そんなことを言いながら、メルセデスは再度魔法の詠唱を開始する。


 カレンとメルセデスとバイブルの3人の周りには、もう多くの野次馬が押し寄せていた。治安を維持することを仕事にしている、地球で言う警察のような機関───保安隊が来るのも時間の問題だろうか。


「【銀河渦巻く魂の波動を網羅し、

 氷の結晶の奥深くに宿る恒久の冷気を呼び覚まし、

 空虚な次元を彷徨う精神の螺旋を辿りながら、

 氷雪の領域を切り拓く闇の魔力を解き放つ!

 極より冷えた謙虚なる弾丸を呈す永劫の魔法よ、顕現せよ!

 『ブラックホワイト』】」


 バイブルの周りをドーム状に囲むは、一つ一つの氷塊であった。

 鉄のように硬いため、どれか一つに当たったら体が抉られて致命傷になるだろう。


『詠唱を全て行うことで、量と氷塊の大きさを最大にまであげたのか...』

 バイブルは、そう呟く。その直後、空中で静止していた巨大な氷塊が全て、バイブルの方へ向かって飛んでいった。

 それはまるで、重力の中心がバイブルにあるかのように。


『当たったら一溜まりもないな...』

「カレン、援護する。俺でトドメは無理そうだ」

「わかったわ」


 ”キンッ”


 ”キンキンキンッ”


 氷塊の一つ一つを弾く音が聞こえる。氷塊の標的となったバイブルは、その一つ一つを乱雑かつ丁寧という矛盾を抱えるような───だが、どちらも真実であるやり方で氷塊を撃ち落としたのであった。

 氷塊は地面に落ちるのではなく、そのまま魔素に還元されるので太刀にぶつかれば、空気中に霧散していっていた。


「【極より冷えた謙虚なる弾丸を呈す永劫の魔法よ、顕現せよ!

 『ブラックホワイト』】」

 詠唱を半分以下に抑えたメルセデスの魔法。先程よりも、二回りほど小さな氷塊をメルセデスの方へぶつけていった。


『小さいのもあんのかよ、紛らわしい!』

 小さい氷塊は、当たらなくても致命傷にはならない。ただ、痣ができる程度だろう。だが、小さな氷塊にぶつかって体勢を崩すと、大きな氷塊にぶつかり致命傷を負ってしまう。


『全部弾き終わ───ッ』


 ”シュルシュル”


 針の穴に糸を通すような、一糸乱れぬ1本の矢がバイブルに向けて飛んでいく。


『女の!』

 バイブルは、飛んできた1本の弓を避けることはできず、脳天に弓がぶっ刺さる。


『クソ...』

 そして、そのままバイブルはその場に倒れたのであった。


「よっしゃ!よくやった、カレン!」

「別に、この程度いつものことよ」

「それじゃ、しっかり首を切り落して───」

「そこの水色髪の男と、銀髪の女!止まりなさい!」


 突如として、そんな声を出したのは保安隊を現す紋章を付けた帽子を被った人物であった。


「ヤッベ、逃げなきゃ!」

「そうね」


 ───こうして、カレンとメルセデスは保安隊から逃げていった。




 事件現場に残っていたのは、矢じりの部分に血がついた矢が1本だけであった。この矢が刺さった人物も、どこかにいなくなっていたという。

再登場の予感…。

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