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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
38/42

第38殺 頭蓋骨

 

 死神の付けているアノニマスのような仮面にヒビが入り、そのまま仮面が真っ二つに割れる。そして、明らかになるのは死神の顔───ではなく、死神の頭蓋であった。


「───んな、骨ッ!?」

 シトロンは、驚きのあまり動きを硬直させてしまう。人間らしい顔どころか皮膚・筋肉・眼球なんてものもなかった。そこにあったのは、頭蓋骨。


「私の頭蓋を見ましたね!」

 そう言って、死神はシトロンに向けて鎌を振るう。シトロンは、その行為を一瞬で視認して、我に返り後ろに飛んで避けた。

「お前...人じゃないのかよ...」


 死神が4年前に言っていた{嬉しいことに死んでいますよ。あなたにとっては悲しいことでしょうが}というジョークは、もしかしたら嘘ではなかったのかもしれない。

 本当、死神は死亡していて尚ゾンビのように現世を生きて這いずり回っていたのかもしれない。


「───ならば、急所はどこだよ...」

 きっと、骨だけであるのであれば首を斬ろうが頭蓋を砕こうが死亡しないはず───もう、死んでしまっているのでそもそも急所なんてものは無いのかもしれない。


「粉々に砕いて殺す...それしか、ねぇのか!」

 シトロンは、一瞬でそう判断して再度トンファーを握りしめた。シトロンの数メートル先にいる死神は、仮面を破壊されても、怒り狂いもすることなく何事もなかったように戦闘を続行する。

 感情の起伏がないのも、死んだことと同義だろうか。


 シトロンは、死神にトンファーを回しながら迫る。そして、死神の胴を狙う。明らかになった頭蓋よりも、未だに黒いローブに包まれてその全貌が明らかになっていない胴を攻撃したほうが確率はある───と思案したのだ。


 もちろん、攻撃に食らわないようにするために死神は持ち前の鎌を使用して防御の体制に入る。鎌のカーブしている部分で、トンファーから守るようにして自分の腹の前に持ってくる。が、シトロンはそんな鎌を見て見ぬふりをするかのように、鎌を無視して死神の腹に攻撃を食らわせた。


「───ッ?!」

「反撃、してみろや」

 このまま、鎌を動かせばシトロンの腹はバッサリと切られてしまうだろう。だが、シトロンはそんな危険を無視して死神に1発食らわせた。


 死神は、シトロンが反撃に対して何か対策を持っているのかと考え反撃を中断した。そして、死神は後ろに下がったのであった。


 ───シトロンは、反撃に対抗する策など持っていなかったが、ハッタリであたかも策があるかのように見せていたのであった。


「おいおい、逃げんのかよ。死神の癖に人を殺すことにビビってんのか?」

「そんなに死にたいんですか?人間の癖に生き続けることにビビってるんですか?」

「挑発が弱いぜ、も少し俺と遊ぼうや」


 そして、再度死神に迫るシトロン。死神は、後ろに下がろうとするがシトロンのトンファーによる攻撃で妨げられてしまう。

「───面倒ですね...こっちは遊びではなく仕事なんですよ。まぁ、遊びみたいな仕事なのですが」


 その瞬間、フワッとシトロンが宙に浮く。まるで、糸を付けられたかのように。操り人形にでもなったかのように。シトロンは、受け身を取り着地をした後地面を一回転する。

「何が───」


 直後、シトロンに迫ってくる死神。シトロンが空中に浮いた理由を、死神は解説する気が無いようだ。

「───ッチ、一発で使い物にならなくなりましたか...」

 死神はそんなことを呟きながらシトロンに接近する。シトロンは、トンファーを握りしめて全力の一撃を加えようと画策する。が───


「───あ?」

 シトロンが、トンファーで目の前に迫ってきている死神を殴ってやろうかと思ったその刹那。シトロンの視界から死神が消えたのだ。

「どこに───」

「後ろ───に見せかけた右───に見せかけた上───に見せかけた目の前ですよ」


 再度、シトロンの目と鼻の先に現れたのは死神。シトロンは、トンファーで殴ろうとしたが、もう既に殴れる範囲にはいない───シトロンの懐に死神が入っていたのだ。


 死神がシトロンの視界から一瞬外れた理由───それは、自分の足を切除していたところに理由があった。

 死神は、自分の足である腓骨や膝靭帯など───要するに、膝から下を自分から切除して背を低くしたのであった。それにより、シトロンの視界の範囲からは姿を消したのであった。


「まず───」

「残念でしたね」

 そして、死神は鎌を振るう。シトロンは、殴るという思考を放棄して横から迫ってくる鎌をトンファーで耐え凌ごうとした。が───


 ───鎌は、シトロンの目と鼻の先で止まり、その代わりに死神がタックルをしてシトロンを仰向けに倒したのであった。


 倒れたシトロンは、すぐに死神に馬乗りにさる。そして、首に鎌を突き立てられた。シトロンに馬乗りになり鎌を突き立てている現状を傍から見ると、まさに死神が人間の命を奪おうとしている瞬間であった。


「シトロン───と言いましたかね?言い残すことはありますか?」

「そうだな...なんでもいいのか?」

「私の心の奥底にしまっておきますので、恨み言でもなんでも仰って下さい」

「そうか...そうだな...じゃあ、こういうのはどうだ?」


 シトロンは、何かを思いついたのかニヤリと笑う。そして、こう述べた。


「───死んでも動けるのはお前だけじゃねぇ。お前が殺したカリファも、今じゃカレンとして生きてんだよ」

「───」


 直後、死神に急接近して強烈な蹴りを食らわせたのは、メルセデスとの戦いで死亡したはずのカレンだった。

 カレンの蹴りは、見事に死神に直撃して、シトロンから離れる。そして、胴と頭蓋骨が別々になった。


「───死んだのに、死んでいない...何が起こったんだ?まぁ、いい。シトロン、増援に来て負けるとは恥ずかしいぞ?」

「おいおい、俺はお前の味方なのにどうしてそんなことを言われなきゃならんねぇんだよ...」


「ど、どうして...お前は確かにメルセデスが殺したはずじゃ...」

「俺達のボスが人造人間であるカレンに備えた、たった一度だけの全快プログラム───『唯一無二(ワンモアチャンス)』だよ。このことを知ってんのは、俺とボスとアルピナの3人だけだぜ」


 ───全快した、我らがカレンが到着する。


 頭蓋骨が胴から取れても尚、会話を続ける死神を殺そうと───否、黙らせようとカレンとシトロンはその胴に近付いた。

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