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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
36/42

第36殺 男の戦い

 

 カレンの死体が放置されて倒れている場所から、数十メートルほど離れたところで、連戦に次ぐ連戦で満身創痍であるメルセデスと、アジトで毒に侵され死にかけていたトワイライトを殺害して、『アビス・オブ・アビス』のアジトに向かってきたシトロンの勝負が始まる。


 ───と、この書き方をしてしまえばシトロンの方が悪者に捉えられてしまうだろうか。


 だが、『ジェネシス』を裏切った───正確には、裏切らさせられていたのはメルセデスであった。

「【銀河渦巻く魂の波動を網羅し、

 氷の結晶の奥深くに宿る恒久の冷気を呼び覚まし、

 空虚な次元を彷徨う精神の螺旋を辿りながら、

 氷雪の領域を切り拓く闇の魔力を解き放つ!

 極より冷えた謙虚なる弾丸を呈す永劫の魔法よ、顕現せよ!

 『ブラックホワイト』】」


 メルセデスは、一番長い詠唱を行い、最大数・最大限の大きさの氷塊を顕現させた。そして、カレンに行い大ダメージを与えた時のようにシトロンを囲うよう球状に設置した。

「───死ねや、木偶の坊」


 そして、シトロンの四方八方に設置された氷塊は一斉にシトロンに向けて発射される。シトロンに逃げ場などなかった。

「この程度で勝てると思うとは、傲慢だな」


 シトロンは自分の武器であるトンファーで氷塊を叩き壊し、躱し、避け、ぶつけあって、粉砕し、弾き返し。

 そのまま、シトロンに氷塊が当たることはなく全てを避けたり返したりして凌いだ。


「全盛期の俺なら、もっと綺麗に避けられたな。俺も弱くなったってことか」

「何終わった気になってんだぁ!」


 そう言って、シトロンの死角から迫ってくるメルセデス。その手には、氷で作られた剣───フロストブレードがあった。

 シトロンが、氷塊の対応に追われている間に魔法で再度作り出したのだろう。


「───ッ!」

 メルセデスが狙ったのは、シトロンの首。だが、その剣が首筋に当たることはなかった。


「バレバレなんだよ。お前、本当にこれまで暗殺者として活動してたんか?」

 フロストブレードは、シトロンの持つトンファーに止められていた。


「トンファーなんぞに...」

 そう言って、メルセデスはシトロンと距離を取った。


「剣みたいな尖った武器は若者が使うだけで十分だ。歳を取って丸くなった俺には、ただの棒切れのトンファーがお似合いなんだよ。まぁ、最初っからトンファーを使っていたがな」

 直後、シトロンがメルセデスに接近する。両手でフロストブレードを握り、それに対応しようとしたメルセデス。


 ───だが、両手剣とトンファーの一番の違いは、本数であった。


 両手剣は1本しか持てないが、トンファーは左右の手に1本ずつ───合計2本の鉄の棒があった。


 シトロンの右手のトンファーを、メルセデスは剣で受け止める。だが、左手のトンファーは避ける術がなかった。だから、メルセデスの右の胴にトンファーが炸裂する。

「───がっ!」


 トンファーがぶつかるが、シトロンに人を殴打した際特有の手応えはやってこなかった。

「お前...氷を纏ってんのか...」

「もちろんだ。敵前に無防備に突っ込む馬鹿がいるか?」

 カレンの手によって、一度は砕かれたに氷の鎧。だが、メルセデスは再度作り出していたのだ。


「んじゃ、もう1発当てねぇとな」

 そう言って、右手のトンファーを拮抗していた剣から外して1発メルセデスに食らわせる。


 アジトのソファでずっとダラダラと怠惰に過ごしていたとは思えないほどのスピードであった。

「クソ、早え!」

「残念だが、まだまだだ!」


 メルセデスの後方に周ったシトロンは、メルセデスに向けて強烈な蹴りを行う。その蹴りは、メルセデスに見事炸裂して、そのままメルセデスは空中で半回転して背中から倒れた。

 そして、接近しようとしてくるシトロンを氷の剣を使用して止めた。


 ───が、その氷の剣にトンファーがぶち当たり粉々に破壊された。


 最早、鈍器としても使用できないくらいの大きさになって氷の剣を無視して、シトロンはメルセデスの顔面に鋼鉄のトンファーを食らわせる。

 そして、シトロンはメルセデスに馬乗りして、氷の鎧を砕くことを目的に何度もメルセデスの体にトンファーをぶち当てた。


「───あ、が...」

 抜刀剣でも、銃でもない以上、鞘や銃筒を凍らせて相手の動きを止めさせる───などの作戦を取れず、ここで氷の密室を作っても意味がなく氷塊を生み出しても自分に当たるであろうことが予想できたメルセデスは、シトロンに対し何も反撃することができなかった。


 そのまま、メルセデスはシトロンにトンファーで殴打され続け───。



「やっとくたばったかよ...このクソガキが...」

 シトロンの目から涙が溢れ出る同時に、メルセデスは絶命した。


 シトロンだって、無闇に仲間を傷付けたかった訳ではないのだ。とにかく、『アビス・オブ・アビス』のメンバーは全滅したために『ジェネシス』vs『アビス・オブ・アビス』の戦いは、『ジェネシス』に勝利ということで幕を閉じる




 ───はずだった。


「───」

 メルセデスは、その場を回転して何者かからの巨大な鎌の攻撃を避ける。そして、攻撃が飛んできた方向を見ると───。



「いやぁ...避けられちったか。失敗失敗」


 そこにいたのは、今から4年ほど前にカレンの元となる人物───カリファ・マクローレンを殺害した人物である黒いローブを被り、アノニマスのような仮面を付けた人物───通称死神であった。

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