表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
35/42

第35殺 殺害

 

 ゴミの山をなぎ倒しできた氷塊の山から出てきたのは、満身創痍の姿のカレンであった。

 逆に、それだけの傷で死んでいないことの方が驚きだった。


 カレンの四肢は変な方向を向いており、メリケンサックや弓矢を持つどころか、立ち上がって手を挙げることだってできないだろうし、手を出すことなんてことも無理だろう。

 そして、体の側面には歯型のような痕があり、体の前面は、背面と続くような穴が空いていた。もちろん歯型は何かが噛まれたのではなく氷塊が体を通り過ぎてできた痕であった。


 その他に、カレンの喉はもう既に潰れて破れており声が出るような状態ではなかった。カレンの口から出るのは声ではなく血だけであった。もううめき声も出すことのできないカレン。

 その顔面は、血や脳漿などの体液に塗れて非常に汚いものだった。いや、その体液の全てを除去しても顔面が抉れているので綺麗だとは言えなかっただろう。


 そんな状態でも、氷塊の山の外に這い出てきたカレン。そのまま、滑るようにしてカレンは落下した。

「そんなに、醜い状態になって俺様は残念だ。もう、死んだ方がいいんじゃないか?」

 そんな言葉を聞くも、カレンは反論する喉を壊されてしまったのでただ睨むことしかできない。だが、その睨みもどこか無力で滑稽なものだった。


「俺様が楽にしてやんよ。仲間の介抱は、これで初めてだぜ...」

 メルセデスはそう呟いた。そして───


「【銀河渦巻く魂の波動を網羅し、

 氷の結晶の奥深くに宿る恒久の冷気を呼び覚まし、

 空虚な次元を彷徨う精神の螺旋を辿りながら、

 氷雪の領域を切り拓く闇の魔力を解き放つ!

 寒気を放ちし剣となり、敵を凍てつかせ絶望に陥れよ!

 『フロストブレード』】」


 メルセデスは『フロストブレード』で氷の剣を作り出した。そのまま、その氷の剣を優しく振り下ろして、カレンの首をバッサリと切り落とす。


「俺様の勝利だ。レクイエムと冥土の土産代わりに、少し話でも聞いていけや。タイトルは...無限-1ってのはどうだ?」

 メルセデスは、カレンやアルピナも行っていた弔いの話を開始する。


「奇数から1を引いたら偶数だ。そして、偶数から1を引いたら奇数だ。

 では、無限から1を引けば偶数か奇数か、どちらだろうか。

 無限を自然数だと仮定して考える。

 2で割っても、2をかけても無限なのは変わらない。無限とは一体───、」


 カレンの死という形で、メルセデスvsカレンの悲しき勝負は幕を閉じる。メルセデスは、『フロストブレード』を溶かして消した。


「───さて、アルピナはステラが殺してたしアジトに戻って残りの2人を殺せば解決だな」

 そう言って、メルセデスは『ジェネシス』のアジトに戻ろうとする。彼は、半分操られているが半分操られていない状態だった。


 だから、カレンを殺してもおかしいと思わないが、自分が『ジェネシス』に反逆を起こしているということも気付いていない。だから、やましい気持ちを持ってアジトに帰り誰かに心を読まれて疑われることもない。


「おい、メルセデス。お前が...殺したのか?」

「───んぁ」

 そこに現れたのは、『アビス・オブ・アビス』のアジトに向かっていたシトロンであった。


「違う...俺様じゃ───」

「否定はさせねぇよ。ここに来るまでに倒れていたのは2人。魔法使いの人物と砕かれた刀を持った外人だけ。砕かれた刀じゃ、これほどまでの切れ味は出ないだろうよ」

「それはそうだが、俺様は───」


「───首を斬った武器は無いって?『フロストブレード』があるじゃねぇか。俺がアジトで寝てるだけの役立たずだと思っていたら大違いだぜ?」

 シトロンは、驚くこともなくすぐにメルセデスを疑った。


「俺様じゃねぇ!来たときはこうなっていたんだ!」

「そうかよ...んじゃ、俺の勘が間違ってたってことか?」

「そ、そうだ。そもそも俺様がカレンを殺す理由がねぇだろ!『アビス・オブ・アビス』に寝返ることだって、この状況じゃ圧倒的不利だろ!最早、壊滅寸前のこの状態でそんな選択をすると思うか?俺様は仲間を売るなんてことはできねぇ!」

「はいはい、そうかそうか。なら俺が悪かった。申し訳ねぇな。それじゃ、先を急ぐぞ」

「お、おう」


 アルピナがステラと戦って死んでいる───という情報は、メルセデスしか───いや、正確にはメルセデスのことを操っている人物しか知らなかったのでメルセデスは何も言わずにシトロンに付いていくことにした。あわよくば、そのまま背後を狙って先制攻撃をできたら───などと考えていた。そして、攻撃チャンスはやってきて───


「【極より冷えた謙虚なる弾丸を呈す永劫の魔法よ、顕現せよ!

 『ブラックホワイト』】」

 直後、シトロンに向けて放たれる氷塊。シトロンは、振り返ってその行動を確認し───


「やっぱり、お前だったのかよ」

「───ッ!」

 小粒の氷塊を全て持っていたトンファーで跳ね返してメルセデスの腹に1発入れたのであった。



「お前、カレンを殺しやがって...赦さねぇよ!」


 ───『ジェネシス』シトロンvs『ジェネシス』メルセデス・カルガンの戦いが、始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ