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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
3/42

第3殺 喫茶店

 

 ───翌日。


 場所は喫茶店のテラス席にて。

 そこに座っていたのは2人の男女───『ジェネシス』に所属するカレン・マクローレンとメルセデス・カルガンであった。


 2人は、アジトにいた時とは違い、一般人が街に出るような───男女がデートに行くような格好をしていた。


 カレンは、クリーム色のスカートと、白くて胸元が開いているブラウスを、メルセデスは、インディゴブルーのジーンズに、黒いTシャツを着ていた。


 カレン2人は、喫茶店のテラス席の丸いテーブルを、対面のような感じで座って、サンドイッチを嗜んでいた。


「ったく、俺様とデートできることを感謝しろよ?」

 メルセデスはそんなことをカレンに向けている。カレンは、無表情を崩さずにサンドイッチを口に運んでいた。


「俺様のことを無視しやがって...先輩だぞ!」

「別に話は聞いています。いつ、『アビス・オブ・アビス』の方がやってくるのかわからないので、警戒していただけです」

 そう、2人は『アビス・オブ・アビス』に所属する暗殺者が、よく通る大通りの見張りをするために、喫茶店のテラス席で食事をしていたのだ。しかも、監視だとバレないようにデートを装って。


 敵もプロの暗殺者集団であり、一瞬の隙だって見せることはできない。カレンは、メルセデスと2人きりで食事することなど興味はなく、ただ任務に集中していたのだ。


 ちなみに、彼女の矢筒は街中で持っているとかなり目立つので、ヴァイオリンケースを模したものにしていた。近接戦闘用のメリケンサックは、スカートに一つだけあるポケットの中であった。

 メルセデスは、氷魔法を使用するので武器という武器は持っていない。


 ───と、この世界の魔法についてを少し話さなければならないだろうか。


 魔法とは、空気中にまるで窒素のようにある魔素を利用して物質に変化をもたらす現象の総称だ。

 例えば、物質に火をつけたり。なにもない所───正確には、魔素があるところに───だけれど、真水を作り出したり。風を吹かせたり、光を屈折させたり、深淵に物質を突き落としたり……などと、できることは様々だ。



 ───だが、全ての人間が全ての魔法を使えることはできない。


 属性が分けられているのだ。例えば、炎属性や水属性など。

 身近なもので例えるとするのならば、血液型に近いだろうか。

 その人物が使える魔法は、血筋として決まっているのだ。


 属性は全部で7種類あり全て羅列すると以下の通りだ。


 炎属性

 水属性

 風属性

 氷属性

 土属性

 光属性

 闇属性



 もちろん、魔法を得意とする人物も苦手とする人物もいるのは当たり前だ。子供の頃から魔法を使用していれば、魔法を得意とすることが可能だ。

 例えるとするのならば、幼い頃から絵を描いていれば絵が上手く描けるようなものと一緒だ。


 ───と、まぁここまで長々と説明してしまったが「魔法」という概念があるとわかってくれれば問題ないだろう。


「んで、俺様は座して待つなんてことは望んでないんだが...」

「殺しはしたいけど、その殺しをするまでの準備はしたくないだなんて...随分と我儘ね」

「んだとっ!」

 メルセデスは、カレンに「我儘」と言われたことで、怒りを表す。


「待てば来るんですから、そのくらい待ちましょうよ」

「───しょうがねぇな、そんなこと言われなくたってわかってるっちゅうの」

 そう言うと、メルセデスは自分のサンドイッチに齧り付いた。


 今回の任務の方法は、いつもとは違う。

 従来ならば、依頼主が殺されそうになったところを行動するのだが、依頼主は命を狙われておらず、依頼主の敵対組織がよく使用している暗殺者集団を潰してほしい───という依頼であるために、自分から探し出すしかないのだ。

 一人さえ殺してしまえば、相手から姿を現してくれるので楽になるのだが、最初は自分達から探し出さなければならない。そこが、面倒なところであった。


「んで、俺様からの個人的な質問なんだが、カレンは殺しについてどう思うんだ?」

「どう思うって...別に、何も思わないのですが...」

 カレンは、メルセデスからの質問に無表情で答える。カレンの銀髪が、風で揺れる。


 カレンの銀髪は胸の辺りまで伸びており、それはとてもキレイだった。

 街の中を歩いていたら、見惚れてしまうような髪をしている。


「そうかよ。なら、別に構わないんだが...」

 メルセデスは、カレンの「何も思わない」という返事で、会話を広げることができずに少し戸惑ってしまう。


 格好はカップルなのに、何も会話をしないのはおかしく思われてしまうからの会話なのだが、怪しさを払拭するために「殺し」の話をしてしまうのはどこか本末転倒であるところを感じる。


「てか、このサンドイッチかなり美味いな。俺様がこの店を選んだが、俺様の目に狂いはなかったって訳か」

「適当に店を選んだだけなのに何を言って───」


 直後、2人は大通りの方を凝視する。2人の目が釘付けになったその方向にいたのは、茶髪で目鼻立ちのいい男性。その男性の背中には、何か細長いものが入っているようなリュックがあった。


 ───まるで、太刀を隠しているかのような。



「いくぞ、カレン!」

「はい」

 カレンとメルセデスは、その人物がすぐに写真で見た人物だと判断する。そして、2人は店のテラス席を飛び出して大通りに出た。


「よぉ、兄ちゃん。俺様と戦争しようやぁ?」

「失礼ながら、あなた様の命を頂戴しようと思う所存です」

 暗殺者であるにも関わらず、2人は敵の目の前に姿を現した。相手も暗殺者なのだから、戦況の優劣としては人数の多い『ジェネシス』の方が有利だろうか。


Chi sei?(誰だ?)

 その男は、目の前に現れたカレンとメルセデスの姿を見てそう呟く。


 だが、すぐに相手も自分と同業である暗殺者であることに気が付いたのか、背中のリュックに入っていた太刀の鞘を腰に巻き付けた。



 ───『ジェネシス』カレン・マクローレン&メルセデス・カルガンvs『アビス・オブ・アビス』バイブルの戦いが、始まる。

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