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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
19/42

第19殺 最終決戦

 

 ───ジェヘナが自殺して、敵の奇襲があっけらかんとしていたら終わってしまった。


 きっと、ジェヘナが自殺しなければカレンもメルセデスも負けて殺されていただろう。2人が殺されてしまえば、部屋の奥にいた3人も犠牲になっていたかもしれない。


 彼女の、インフェルノ()を思う気持ちに心底驚きながらも、その慕う気持ちに感謝をした。

 理由は、先述の通り、彼女が生半可なシスコンであれば、カレン達は死んでいたからであった。


「戦闘は終わったようですわね」

 そうして、アジトの奥の部屋へ続く扉から顔を覗かせるのはアルピナであった。


「あぁ、ボスとアルピナは怪我はねぇか?」

「あら、お優しいこと。ワタクシもボスもお怪我はなさいませんでしたわ。そちらは?」

「カレンの顔を少し。別に、任務に支障はねぇよ」

「あら、そうですか。あなた達に大した被害もないということは、敵はそれほど強くなかった───いや、敵は驚くほど強かったというわけですかね?」


「───まぁ、そう言うこった。一言間違えてりゃ、俺様もカレンも死んでたぜ」

「それほどに、ですか...」

 アルピナは、少し遠くを見るような表情をする。


「───と、これはボスからの言伝です。ボスは、これ以降敵の奇襲のことを考えて部屋には出ないようです。ワタクシとカレンさん、メルセデスの3人は明日の早朝にでも『アビス・オブ・アビス』のアジトに攻めに行け───とのことですわ」

「了解しました」

「わかったぜ。ついに、『アビス・オブ・アビス』との最終決戦とやらか?」

「まぁ、普通ならそうなるでしょう。ですが、突き止めたアジトから一人を残し逃げている可能性もあります。もし、そうであるならば最終決戦では無くなると思いますわ」


 カレンとメルセデスは、アルピナからボスの伝言を聞いた。アジトには、シトロンとボス以外残らないようだった。敵に攻められるより先に決着をつけたいのだろう。


「それでは、3人の中では最も古参のワタクシが、明日は指揮を任されていますので。本日は、今度こそ就寝とします。明日も早いですのでしっかりと休んでください」

 アルピナはそう言った。


 ───タイソン・バイソンとの戦いからジェヘナの強襲まで。


 長い長い一日が終わり、次の長い長い一日が始まろうとしていた。今判明している『アビス・オブ・アビス』の生存メンバーは計5人であった。


 ───そして、翌日の早朝。


 カレン・メルセデス・アルピナの3人は『ジェネシス』のアジトを出発して、『アビス・オブ・アビス』のアジトに向かおうとしていた。すると───


「はぁぁぁ...こんな朝っぱらから殺し合いなんざ、随分と物騒な世の中だな...」

 そう言って、起きてきたのはオレンジ色の髪をした人物───シトロンであった。カレンは、彼をアジトのリビングのソファでずっと眠っている、失敗すると嫌味を言ってくる人だとしか思っていなかった。


 だから、今日も嫌味を言ってくるのかと睨むようにして見ていた。


「難しいことは言わないし、長々と語ることもしない。勝てよ。んま、俺は寝てるけど」

 そう言って、シトロンは大きな欠伸をした。


「シトロンさん、おはようございます。激励ありがとうございます」

 アルピナは、彼女の着ている真紅のワンピースの裾を両手で掴み一礼する。カレンは、どうしてこんな男に礼なんかするのか、と失礼ながらに思ってしまった。


「そうだ、カレン。お前に一言だ」

「───なんですか?」

 急に、名前を呼ばれたカレンは少し驚いたように肩を動かしてシトロンに返事をする。


「仲間を見捨てるのは、別に悪いことじゃねぇ。俺達は冷酷無比な暗殺者なんだからな」

「───」


 カレンは、何も返事をしなかった。シトロンの伝えたい真意がわからなかったからだ。


「───と、長話が過ぎるかもな。でも、もう一つだけ。タイトルは原因と理由だ」

 そして、シトロンは一息おいてこう話し始めた。


「『原因』と『理由』の言葉には、大きな違いが存在する。

 それは私情を挟むか挟まないか、だ。

『原因』は私情を挟まないが、『理由』は私情を挟む。

 ───この話が存在する『理由』は何か。この話が存在する『原因』は何か。」


 シトロンはそう言うと、どこか満足そうな顔をする。

「んじゃ」


 そう言うと、シトロンはアジトの奥に戻って行ってしまった。


「なんなんだ、あの人は...」

「ゴロゴロしているだけなのに。偉そうで嫌いです」

「カレンさん、そんなことを言ってはいけません」

「───はい。ごめんなさい」


 カレンは、アルピナに咎められてしまう。シトロンは、あれだけだらけていてもカレンの上司に当たる。いくらアルピナでも、上司への悪口は許せなかったのだろう。


 ───そして、3人は『アビス・オブ・アビス』のアジトに移動する。


 その時、アルピナもメルセデスも一言も口を開かなかった。だから、カレンも口を開くことはなかった。


「ここ、ですわね」

 3人が到着したのは、彼女達が生活の拠点にしている街「アイザロンス」の中心にある時計台から西に数キロ離れた広い建物であった。


 貴族の豪邸のような広さだが、そこはスクラップのようになっており人の近付くような様子はない。


「ここに、『アビス・オブ・アビス』のメンバーがいんのか...」

「そうですわ。最終決戦、始めましょう」

 メルセデスの言葉に、アルピナが返す。


 ───『ジェネシス』カレン・マクローレン&アルピナ・フェニー&メルセデス・カルガンの『アビス・オブ・アビス』のアジト侵略が、始まる。

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