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ダークバトル・オブ・バック  作者: キハ&花浅葱
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第1殺 カレン・マクローレンという女

どうもこんにちは、花浅葱です。

作中に記載されていませんが、地球ではなく異世界という設定です。

ですので、魔法などが出てきますのでご了承ください。


キャラクターやタイトル及びチーム名の原案はキハ。執筆は花浅葱となっております。

 

 人々が寝静まった夜。その少女は、家屋の屋根の上で、弓を構えていた。


「───」


 この世界に広がるのは、巨大な沈黙。深海のような静寂が、この世界には広がっていた。


 ”シュルシュル”


 針のような弦音が沈黙を穿つ。矢が進む先にいたのは、1人の男。それは───


 ───この街でも名高い暗殺者であった。


「後、2人...」

 その弓矢を持った、銀髪の少女は静かにそう呟いた。

 深い山の中で小さな虫が鳴いたような、そんなか細い声。


 その少女は、弓を構えるとともに、すぐに次の獲物の方へ向いた。

 その少女の目には、しっかりと次の獲物が映っていた。


「───」


 より深い静寂が、その少女の周りを支配する。もし仮に、音が鳴ったとしても彼女の底なしの集中力でかき消されそうなほどであった。


 ”シュルシュル”


 閃光のようなスピードで、相手に迫っていく矢。それは見事に、相手の脳天にぶち当たった。

「後一人───」


「おい、嬢ちゃん?随分と、俺たちのことを遊んでくれてるじゃねぇか?おかげで、こちとら大迷惑だぜ?」

「───」


 静寂を、噛み切るようにして現れたのは、一人の男───弓を構える少女の暗殺対象であった。


「カレン・マクローレン。それが、貴様の名だ。あってるか?」

 現れた男は、弓を構える少女に問う。少女は、それを無視して矢を放つ。


 ”シュルシュル”


「当たんねぇよ!」


 ”カッ”


 その男が、左腕につけていたのはランタン・シールド。


 ランタン・シールドは、剣と盾が一体化した攻守ともに優れた武器である。それを、身につけた男はニヤリとゲスな笑みを浮かべた。


「俺の仲間をよくもやってくれたなぁ!」

 敵が遠距離にいる場合、弓矢での攻撃は最適だ。弓矢は、時に銃をよりも強みを見せることがある。


 ───だが、敵が近距離にいて尚且つ防具を持っている場合は別だ。


「オラ、死ねやぁ!」

 ランタン・シールドは戦術とともに剣と盾が一体化している。故に、それを振るうだけで攻撃になる。


「───ッ!」

 先程、男にカレン・マクローレンと呼ばれていた少女は、背中にある矢筒から矢を取り出す───





 ───のではなく、弓を矢筒にしまった。そして───


「私が、遠距離専門だと思ったら大間違いよ」

 その言葉は、非情にも冷酷に、冷徹に、残酷に響いた。


 カレン・マクローレンと呼ばれていた少女の腕にあったのは、鉄でできたメリケンサックであった。


 メリケンサックは、男の顔面に激突する。男が振っていたランタン・シールドはいともたやすく避けられていたのだ。


「───あぁ!がぁ...」

 ランタン・シールドを持った男が、その場に倒れる。その時、カレン・マクローレンと呼ばれた少女に返り血が付いた。


「───返り血がこんなに...私が好きなカレーうどんを食べた時だってこんなに汚すことは無いというのに...」

 カレン・マクローレンと呼ばれた少女───いや、そろそろ断定をしよう。


 カレン・マクローレンは、そう呟いた。聞く人からしてみれば、まるでジョークのように聞こえるこの言葉だが、彼女は至って真剣に述べている。


 故に、彼女は無表情であり、彼女の持つ紅蓮の瞳はいつも通り、汚くて美しいという矛盾を抱えた街を映していた。


「一先ず、仕事は終わりね。アジトに帰らないと」

 彼女は、殺しのバックアップを他の仲間に任せて、自分が所属する暗殺者集団『ジェネシス』のアジトへと戻っていった。



 ───と、ここでカレン・マクローレンことカレンが所属する暗殺者集団『ジェネシス』の話をしておかなければならないだろう。


『ジェネシス』は暗殺者集団ともあるように、暗殺を稼業としている。

 だが、『ジェネシス』は世に溢れている暗殺者集団とは、少し違う。

 そう、彼らは暗殺者専門の暗殺者集団なのだ。


 一般人を殺したりはせず、暗殺者だけを狙って殺す。それが、『ジェネシス』の生業であった。

「殺し屋から自分の命を守ってほしい」などと依頼が『ジェネシス』の元にやってきて、それにより暗殺者の暗殺を実行しているのだ。




 ───カレンは『ジェネシス』のアジトに戻ってくる。


「ボス、ただ今戻りました」

 そう言うと、彼女は返り血を浴びた黒のスカートの裾を掴み、軽くスカートを持ち上げて礼をする。所謂、カーテシーだ。


 夜であり、今日は曇天であったことからも姿格好までも見えなかったが、カレンは黒の上品なスカートを履いていた。そして、スカートから伸びる足は黒いタイツに包まれていた。


「帰ったか。おかえり」


 カレンは、自分の愛弓の入った矢筒をいつも置いている場所に置くと、椅子に座っているボスの場所に移動する。

 アジトは、実に狭く一目で見渡せるほどの情報量しか無い。


 部屋の壁は、木の色が濃く浮かび上がっている木造であり、部屋の真ん中には1つの長方形の形をしたテーブル (長机と呼ぶには少し小さい)と、そのテーブルを囲うように置いてある数人がけのソファと、1人用の椅子が2つずつ。


 そして、ボスだけが座ることのできる書斎に置いてあるような少し大きな机と椅子が1つずつあった。

 壁には、戸棚がありそこにはガラス細工などが飾られてあるが、一つ一つを見ていくときりが無いので割愛しよう。


 現在、部屋にいるのはカレンとボスを含めた3人であり、カレン以外の全員が男であった。

 未だ紹介されていない、数人がけのソファで横になっている人物の名はシトロンであった。カレンが知る限りでは、シトロンはいつだってソファで横になって仕事をしている素振りはなかった。


「ボス、今日もしっかりと仕留めてきました」

「お疲れ様。大変だっただろう、シャワーを浴びてくるといい」

「わかりました」


 カレンは、アジトの奥に用意されているシャワー室でシャワーを浴びると、返り血のついた黒いスカートではなく、アジトで着ている水色のワンピースに着替えた。

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