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18(2-13)

今回も、読んでくださってありがとうございます。

 アレクシス様の養子になる話は、秋のディートリント様の貴族学園卒業後、お二人のご成婚を待って進められることになった。結婚前に養子を迎えるのと、結婚後に養子を迎えるのとでは、対外的なイメージが変わってくる。


 アレクシス様とディートリント様は元々同級生の18歳。貴族学園中等部でトップを競い合う仲であったが、アレクシス様が飛び級に飛び級を重ねてあっという間に卒業、宮廷魔術師団に熱烈にスカウトされ、その後国境付近の小競り合いで軍功を重ね、あっという間に叙爵、からの伯爵まで登り詰めてしまった。


 一方ディートリント様は、アレクシス様無き後首席を守り通し、高等部、大学院まで進み、この度目出たく卒業。宮廷魔術師団への就職を打診されていたが、結婚を機に、非常勤として時折顔を出し、大学院から継続して研究を進めることとなった。


 余談だが、アレクシス様は侯爵家の三男。お目付け役には、寄り子の男爵家より、同い年の四男が任命されていたが、彼が飛び級に飛び級を重ねることで、その役割が男爵家の三男、次男と繰り上がって行った。そのバッハシュタイン男爵家の次男が、ベルント様である。ベルント様は男爵家の長男を支えて家を盛り立てて行く為に、地道に内政や事務仕事に就いて力を付けていたが、急遽寄り親の神童三男の補佐として王都に送り込まれることとなった。元々生真面目な性格だったため、優秀ではあるが型破りなアレクシスのフォローに頭を痛めることになる。地元を離れるにあたって婚約の話も立ち消え、目下アルブレヒト邸と宮廷魔術師団との往復で忙殺されている。親同士が取り決め、会ったこともない元婚約者に対して思うところはないが、主たるアレクシスがどんどんと出世して行っているため、釣り合う婚約者候補が定まらず、未定である。目下婚期を逃し中。


 なお、アレクシス様とディートリント様の結婚式は、派手に執り行われる予定である。侯爵家三男、自身も伯爵位を持つアレクシス様ではあるが、ディートリント様はデルブリュック公爵家の次女である。本人たちが地味婚を望んでも、周りが許さないらしい。政略結婚とはいえ学園時代からのライバルであり学友、何だかんだと息の合ったパートナー同士となるだろう。




 そんな折、やっと手に入ったものがある。やしきに持ち込まれた植物の中に、砂糖大根があったのだ。自前で甜菜糖てんさいとうを生産できるようになったのは大きい。砂糖が手に入れば甘味だ。料理長と散々試作に試作を重ねて、スポンジケーキが焼けるようになった。生憎、前世のウェディングケーキのような立体的なケーキを作るまでには至らなかったが、結婚式にクリームたっぷり、ふわふわのフルーツケーキの製作が間に合って良かった。これを俺と邸のみんなからの贈り物とさせてもらった。


 間もなく、彼らの結婚式は華やかに執り行われ、方々から盛大に祝われた。対立派閥や、アレクシス様の出世を妬む貴族も多くいたが、王家に連なる公爵家との婚姻により、彼らの後ろ盾は盤石となった。めでたいことである。


 式の後しばらくして、こっそりと養子になる手続きが取られ、俺は晴れてアルブレヒト伯爵家の養子となった。3歳の秋にスキルのことを思い出して、実に1年。辺境の寒村に生まれた俺は、4歳半の秋、成り行きで貴族の仲間入りとなった。

今回も、読んでくださってありがとうございます。

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