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(初戦闘がゴブリン3匹はリスク高いよなぁ…
出来たら一対一……それも不意打ちが仕掛けられるのが理想だよな)
そうこう思考している間にもゴブリン達は正面を過ぎ右手の沢の方に向かっていっている
(今なら初撃は奇襲になるしアイツらの進む方は岩場で足元が悪い・・・条件は悪くないしなにより…)
(自由に生きたい!!簡単な道や言い訳に逃げたくない!!)
アキラは覚悟を新たにゴブリンの背に近づいて行く
(森と岩場の境目で奇襲を仕掛けるぞ…
1匹づつ倒すんだ…その為にも初撃で倒すぞ…
一撃で倒せなかったら全力で逃げるぞ…)
思いの外、冷静なアキラは
息を呑み集中力を高め、気配隠蔽のスキルを強く意識しながらその時が近づく
『ヒュッ』 グサッ
朝の静かな森に鋭利なもので何かが貫かれる音がした
『グギョ』 ドサッ
貫かれた何かは間抜けな断末魔を残してその場で倒れた
『『ギッ?』』
(まずは1匹!)
ゴブリンが倒れた拍子に、貫いた首から抜けた竹槍を近くにいるもう1匹の背中から胴体に向けて放った
ザシュッ 『ガギッ』
すかさずポケットから取り出した竹を加工する時に使った尖った石を無傷のもう1匹の顔に向けて投げつける
ヒュン 『ギョ』
無傷のヤツには石は躱されたがその隙に背中を刺されたゴブリンから竹槍を抜いた
(これで一対一…)「ハァハァ」
(真正面からだがヤレるか?…いやヤル)
さらに決意を固めたところで無傷のゴブリンが予想外の行動に出た
『ギギッ』
「あっ…」
森に向かい背を向けて走り去ってしまった…
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呆然と森を見つめるアキラの耳に自然のモノではない音が聞こえる
『ギギギィ』
(背中を刺したヤツはまだ生きてる…)
前世を含めて初めての戦いで興奮しているアキラの思考から導き出された答えは至極真っ当なものだった
(トドメをささなきゃ)
「さよなら」
ザシュッ・・・・
何故この時にさよならと言ったのかはこの後も理由はわからないままだった
はじめてのせんとうは気付いたら終わっていた