6
(草原とコボルトの死体とのコントラストがすごいなぁ)
現実逃避な思考が逆に現実を呼び戻す
(どうしたもんかなぁ)
コボルトに追いかけられていたあの少女は茫然自失な状態でこちらを見ている
「怪我はないか?」
ショートパンツの染みには気づかないフリをして無難な言葉を紡いだ
「えっ?あっ、えっ?」
赤毛の少女は未だ現実に帰れないようだ
「安心しろ。もうコボルトはこの辺にはいない」
どうにか会話をしようと少ない語彙で頑張るアキラ
「えっどうやったの?」
少女が初めて意味のわかる言葉を発した
「ん?ただ殴ったり、蹴ったりしたが…」
スキルやステータスの事は言えないので濁した言葉になったが…
「えっ?…確かに何も持ってないけど…」ぶつぶつ
少女の表情は訝しげだ…
「そんな事よりも怪我はないか?」
無理矢理話しをすり替えた
「…え?怪我はない…ケド…」
アキラは地雷を踏んだ
「ならいいんだ。後はコイツらをどうするかだな」
また話題をすり替えた
頑張れアキラ!少女の名誉の為に!
「あ!解体なら得意だから任せて!」
少女は食い付いた!アキラの作戦勝ちか!?
「解体もそうだが、コボルトの所有権はアンタにあるから俺はこれで」
冒険者のルールで獲物は約束事が無ければ基本的には最初に戦闘に入っていたものに所有権が発生する
「いやいや、待って!」
少女は即座に反応した
「?」
「助けてもらった上に所有権なんて主張しないから!むしろお礼に解体を手伝わせて!お金ないからお礼はこれくらいしか出来ないけど…」
「……わかった。じゃあ解体を手伝ってくれ」
今度はアキラが負ける番だった
解体後
「俺よりも上手じゃないか」
「解体は前からしていたから得意なんだ」
「半分やるよ。解体の手本見せてくれた礼だ。牙は貰うけどな」
「いやいや、何言ってんの!?お礼のお礼なんて聞いた事ないんだけど!」
「金ないんだろ?貰っとけよ。年上の見栄だよ」
アキラがカゴに素材をいれるのを羨ましそうに見つめる少女に『捨てられた仔犬』を連想してしまった
「でも・・・」
「俺は昨日、冒険者になったばかりだからわからない事があれば素材の礼にまた教えてくれよ先輩」
「あっ!昨日の…
ありがと。何でも聞いてよ!」
少女は手ぶらだったので両手いっぱいに素材を抱えて
抱えれない分をアキラが抱えて帰路につく
途中、仲良くなった門番に揶揄われた時は危なかった…色んな意味で
こんにちはつんでれ、カゴはいつも持っとけよ




