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「とりあえず魚だよな…」
例の如くぶつぶつと独り言を呟きながらやってきたのは滝から100メートルも離れていない水場だ
「上から見えてる魚は釣れないとか聞いたことあるけど…そもそも釣竿がないんだよなぁ」
一通りないモノねだりをした後
「ゴブリンの血がついた竹槍は使いたくないから素手でいってみるか」
『バシャバシャ』
「冷てぇ!!」
今の気温は日本では春、20度前後だと思われる
この時期の川は冷たいのは当たり前だが
「しかし、食わなきゃヤバいからな!」
川の中ほど膝から腰の間の水深のところまで気合いで行ったところでじっと待つ…
魚が来るまでじっと待つ
(きたっ!)
(おりゃあ!!)
『バシャバシャバシャッ』
「無理だぁあ」
結果ズボンをびしょびしょにしただけで終わった
「はぁ、仕事着だからつなぎなんだよなぁ」
ようやく服装のくだりがきました!
上はつなぎで中は紺のTシャツとボクサーパンツ、靴下、安全靴である
「脱いで乾かすしかないよなぁ
その前に魚を捕まえる為の槍を作らなきゃな…
裸で森に入りたくないし…」
1時間後…
「つなぎは岩の上で乾かしてるし
細い魚用のモリ?槍も出来たし!返しは付いてないけど…
まぁ、気を取り直してやるか!」
時は経ち…
「よっしゃー!!!獲ったどぉぉお!!!」
(やべっ!あんまり叫んだらゴブリンなどがくるかもしれん)
「なにはともかく、後は火だな!」
ヤマメのような川魚を手に入れた!
「何とか火魔法でも使えないかなぁ」
いきなりないモノねだりである…
「火起こしするしかないか…小学生の頃のキャンプ学習が役に立つのか…?
まずは…………」
30分後
「おかしいなぁ…よく乾いた板に木の棒を擦り合わせて木屑なんかを擦れば火が付くはずなのに…はぁ」
煙は燻ってるようなので後一息である
「そこまで間違ってはいないはずだ
火種を付ける準備も出来てるし粘ってやるしかないな」
さらに1時間後
「よし!ついた!
後は木屑に火種を移して息を吹き掛ければ…
やったぜ!」
そこには立派な?焚き火が出来ていた
『パチッパチッ』
木が燃える音が洞窟の入り口近くを流れる
「よーし、腑と鱗は石を割って尖らした石器でなんとか取れたし
後は焼くだけだ」
母親が死んでからの意外に長い自炊能力をいかんなく発揮している
15分後
「うまーい!川魚なのに水が澄んでいるからか意外にクセがなくて…なにより空腹がながかったか
ら・・・・・」
頬を涙が伝う
「腹が満たされて気が緩んじゃったかな…
でもこれで食と住処はなんとかなるな!」
ここで生きていける…そう声にもならない呟きを残し夕暮れ時の初めての食事を終えるのだった
はじめてのごはんは涙の味がした




