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Games.  作者: 鬼灯稀有
第一章 第一次迷宮攻略《ラビリンス》編
5/5

第四話 第一層ボス攻略 前哨戦

 階層のボスは、ミノタウロス、その異形。

角の形が多少違うことから、異形とわかる。


 この場にいる誰もがLv.1なのに対し、ミノタウロスのレベルは26。

果たして勝機はあるのだろうか? Lv.1を幾つぶつけても、所詮はLv.1でしかない。防御力でノーダメになるかもしれない。そう考えると、勝機は薄いどころか、絶望的だ。


「オイオイ、まずはステータスから自分らのスキルを確認しろよ。そんなこともわかんねーのかァ?」

「数十秒は持たせますので、その間に」

「はあ、これだから雑魚は……」


 その三人へと振り下ろされた戦斧が、瞬時に消える。正確には、その中で最もひ弱そうに見えた少女に、触れる寸前で……。

微細断絶(ミクロフラクチャー)』という超能力を持っていた、「チーム」に所属する、世界でも三番以内に入る超危険人物、『第一位』。そんな少女が、ミノタウロスの持つ武器を、片っ端から破裂させ、断絶させていた。


 他の二人は知らないが、『第一位』相当の実力者に見える。

この二人がやっているうちに、と。周りの人たちは急いでステータス画面を開いて、スキルを見ていた。


 ボクもそうする。


〈スキル〉

所持していません。


〈ユニークスキル〉

所持していません。



はい? 後1枠だけ。そこに、最大限の、今まで感じたことのないほどの、期待を込めて、見た。


原点能力(オリジンスキル)

覚醒

 スキル概要説明

  このスキルの発動率は現在、10%です。

 このスキルが発動した場合、Lv.に関係なく、絶大な力を得ます。その効果はシステム外のため、関与していません、そのため、上昇率は不明です。一度使用すると、次の戦闘か、三十分の時間経過以外では再発不可になります。


 発動確率が10%。十分の一の確率でしか発動しないスキルがただ一つ。

それがボクの力だった。それだけがボクの力だった。


 だが、試す価値はある。

三十分というクールタイムがあるが、それでも今賭けずしていつかけるんだという話なのだ。


「〈覚醒〉発動」


 効果は、なかった。

何も変わりはしなかった。ただ、ボクがそう唱えて終わっただけだった。


 不発。

そして焦り。


 この場でボクは足手纏いか〈増悪値収集(ヘイト集め)〉にしかならない。

囮職が似合っていると言われても、文句は言わない。


 さあ、できうる限り、ヘイトを集めようじゃないか!



 §



 狂乱に躍る道化は、その様子を見て、ああ、やはりな、と呟いた。

やはり、塚原闇夜は、覚醒していない、と。


 転移した瞬間にこのボスが実は倒されているのでは、と思ったほどだ。


 彼は、昔、VR の対戦ゲームで、彼と戦った。

全力で、だ。冗談抜きで、全力で戦った。


 結果は惨敗。

手出しは愚か、回復も回避すらも出来なかった。


 しかし、その後、もう一回どうだろうと戦い、結果は何故か圧勝。手を抜かれたのかと、かなり憤ったものだ。

が、後で知った。塚原闇夜は強すぎる時と弱すぎる時がある、と。


 彼は、それを『覚醒』とよんだ。

彼だけが、そう呼んだ。覚醒したこいつに勝てるやつはいない、という意味合いを込めて……。


 そして今、スキルとして獲得したのか、「〈覚醒〉発動」と呟いていた。

だが、結果としては、何も変わらなかった。もしかすると、確率制なのかもしれない、と即座に判断し、彼に頼るのは諦めた。


 そして、彼は向き直る。

この、途方もない、あの時のような化物と戦うという恐怖に……。



§



 そう決意を固めた時であった。


『「純粋な憎悪」への耐性・覚悟を確認。パッシブスキル「憎悪上昇」を獲得しました』


 という機械的に流れるような声が頭に響いた。

が、今はそんなこと、どうだっていい。ボクが囮になれればそれで、それでまずはいい。


『囮への憧れを確認。スキル「囮」を獲得しました』


 何か二つのスキルを獲得したみたいだ。片方はパッシブだから、もう片方を発動させてみるか……。


「『囮』発動」


 その瞬間、ミノタウロスの注意、そのヘイトがボクに対し、完全にむいた。

 

 そう、それでいいの。あれ? どうしたの? 動きが鈍いじゃん。君はもっと速いでしょ? ちゃんと動きなよ。ほらほら、鬼さんがきてるよ。

 うん、そうだね。やってやるよ。


『一定以上の覚悟、想定外の覚悟を確認。原典能力「覚醒」のレベルが1から3に上がりました。これにより、発動率が15%に、クールタイムが25分になりました』


 ボクの中の、何かが囁いた。

それがボクに勇気を、それを超える覚悟が芽生えた。


 さあ、精一杯逃げ回ってやろうじゃないか。



§



 突如、ヘイトが誰かに向いた。

ヤバイっ! そう思っていたのは、ヘイトが変わって、それが誰かを特定する前までだった。自分が弱いと思い切っていた、塚原闇夜が、ヘイトを受けていた。自分から……。


 何が起きた?

そういうスキル? そんなスキルはないはずだ。ヘイトを変えるなんて……。『囮』スキル? それならあり得るけど、私だって使ってる。それを超える『増悪値』を持っている? 戦ってもいない彼が? なんで?


 全部どうだっていい。今は目の前のこれを壊すだけだ。

おかげで、チャージに時間が取れる。私の現実世界からの能力、ユニークスキル『微細断絶(ミクロフラクチャー)』は、素粒子以上の大きさの全てを自在に操ることができる能力だ。メインは破裂と切断、断絶だが、構築と分解もできるわけだ。二人の人間を半々にして混ぜることだってできる。


 それが危険人物トップと言われた理由だ。

だが、今はこうして頼られている。さあ、頼って。



§



 『第一位』のミクロフラクチャーの断絶か破裂のチャージまで逃げる、それが最低よ。

さあ、走って。私の■■■■■。

走れ。死ぬまで。

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