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落ちた世界は異世界で  作者: 蟻ノ巣 アリ
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17/22

1000年の魔女

魔女と呼ばれた…その人は…

第17話『1000年の魔女』

《フェンガルド王国 国境付近》

グレン「やったのか!戦争が終わるぞおお!」

兵士達「ぉぉおおおお!!!」

フドウ「しかし良くもまぁ…これは仲間割れかしら」

キリカ「いいえ、ただ私の記憶が戻っただけですのよ」

グレン「ノーツって事はヒョウカの妹だったのか!」

キリカ「ふふふ」

グレン「しかしよく知ってたなネックレスが

魔力を溜め込んでたなんて」

キリカ「このネックレスは魔力を溜め込むだけじゃないのですわ。寿命すらも貯めておけるのです。」

グレン「つまりこの年老いた姿になったのは」

キリカ「アネモ様は人の寿命より遥かに長い時を生きてきたと本人から聞いた事があります」

フドウ「本物の魔女だったってわけなのねぇ。でも、これで戦争が終わるのね。やっと可愛いテンマちゃんに会いに行けるわぁ」

アネモ「いや!ここで終わりなんて!

絶対にまた体制を建て直して今度こそ!」

ドオオォォォン

とても大きな音と共に巨大な戦艦が空中に出現した。

グレン「あれは!カジャラクタの!」

フドウ「なんて大きさなの…」

戦艦から光が降り注ぎとある男が現れた

マゼルマ王「アネモよ」

アネモ「あぁ、マゼルマ王私の為に来てくれたのねぇ」

「お願い…もう一度力を頂戴

魔力を蓄えるネックレスなんかより強大な力を!!」

マゼルマ王「失敗したらどうなるか忘れた訳ではあるまいな?」

アネモ「もう一度!もう一度だけ!」

マゼルマ王「1000年…ふはははは

1000年生きた魔女の最期がこれとはな!

滑稽だ…」

マゼルマ王はドス黒いこの世のものとは思えないオーラを纏った

アネモ「あぁ、死ぬのね…そっか1000年…

今思えば私の人生は不幸の連続だった」

《1000年の魔女 アネモの記憶》

アネモ「1000年前。私は暗い闇の中で目を覚ました。ここがどこなのか自分が何者なのかすら分からなかった。」

アネモ「少し時間が経って私は暗闇の中から光の方へと歩いてこの世界を見た。この世界はとても美しくて生まれたばかりの私を優しく歓迎してくれているようだった。」

アネモ「この世界で生きてみたいと思った私は闇から抜けてこの世界へと降り立った。」

アネモ「とある村に着いた私はその村で暮らすようになった。その村はとても貧しかったけど私にとっては周りの人が暖かくて居心地のいい環境だった。アネモという名前は村の長に付けてもらった」

アネモ「ある日私は花を見つけた。とても綺麗な花だった。数日後その花は簡単に踏みにじられた。盗賊だった…やつらは金目の物を奪い

村の人を残らず殺した。女、子供は慰め者にされ老若男女関係なく全てを等しく殺していった。」

アネモ「私はやつらを許せなかった私を受け入れてくれたこの村を、花を簡単に踏みにじるやつらを許さなかった。だから花を創造した。」

アネモ「私には村の人には無い魔力があった。

でもそれに頼りたくなくて魔法じゃなくて自分の力で生きていきたかった。」

アネモ「でも、やつらだけは許せなかった

気がついたらこの村に巨大な花が咲いていた

盗賊たちは花の茎に貫かれ。花はやつらを養分として綺麗に美しく咲いた。」

アネモ「私は泣いた。どうにもならない思いと共にこの世界の悪意に触れてしまった。

私は守るものであろうと思った。もう二度と大切なものを失わないために。」

《何十年後》

アネモ「その後私はとある国で魔法を教える指導者になっていた。」

アネモ「若い芽が育つ事をなによりの楽しみとしていた。ただ、私にはずっと悩みがあった

私には家族と呼べるものがいない。どうやら家族というものは信頼しあい無条件に相手を思いやってくれる人の事を言うらしい。」

アネモ「欲しい。そう思った。家族を知らなかった私はいつしか孤独を感じるようになっていった。」

アネモ「ある時この国で騒ぎが起きた。どうやら王様の部屋に賊が入ったらしい。私は急いで王の元に駆けつけた。そこに居たのは冷たくなった王と刃物を持った私の教え子だった。」

アネモ「何でこんなことをするのだと尋ねると彼はこう言った」

教え子…「だって先生が嫌いだから。どう頑張っても先生に追いつけないから。だから先生に王様を殺してもらって先生に死んでもらおうと思ってるんです」

アネモ「嫌いだから…そんな理由…子供ゆえの純粋な心だったのかもしれない。だとしても彼の劣等感に気づけず彼の本心に寄り添おうとしなかった。そう思った瞬間彼は刃物で首を切り自害してしまった。」

アネモ「私は王様殺害の罪で断罪される事になった。死刑囚となった私は死刑執行の日を静かに待った。」

アネモ「もう、絶望はしたくない。死のうと思った。やっと死ねると。死刑執行の日断頭台に登った私は首を切られた。」

アネモ「ただ、私の首は落ちなかったどういう訳か切られたところは簡単に再生してしまうのだ。」

アネモ「この処刑を見に来た観衆は口々にこういった《魔女》永遠の命を与えられた異界の魔女だと。」

アネモ「そこからの事はよく覚えていない。

何十年経ったのか何百年経ったのか…気づけばその国は滅び、長く長く放浪を続ける日々になっていった。」

アネモ「私が生まれた闇は異界だったのか…私は何者なんだ…生きてていいのだろうか…

孤独だ…誰か…殺して…。」

《500年後》

アネモ「私の寿命は尽きなかった。

それ所か日に日に魔力が増して来て制御するのが難しくなっていった。放浪を続けていたある日、とある街で私は恋に落ちた。」

アネモ「その男性はとても優しくて私の荒んだ心に咲いた綺麗な花のようだった。その男性と過ごす毎日は幸せでこの幸せがずっと続けばいいとおもった。」

でも、ダメだった…。

アネモ「流行病が蔓延して私の彼も例外では無かった。日に日に弱っていく彼を見るのはとても辛かったどうにかして治そうとした。どうにかして私の魔法で…。

でも、彼に触れた瞬間私の魔力がとめどなく溢れ彼は苦しみ出した。」

「なんで!なんで止まらないの!!」

アネモ「私は優しい彼をこの手で殺めた。」

アネモ「私の魔力は呪いだ。永遠の命も呪いだ。私は自ら命を絶つ事にした。ただ、どんなに自分を刺しても首を掻っ切っても燃え盛る業火に身を投じても生きてしまった。」

「どうして…死なせてくれないの…。」

アネモ「私は人生に絶望して深い森の奥で死ねるその日まで時を重ねた。」

《現在から30年前》

アネモ「とある人物に私は起こされた。その男はカジャラクタ王国という国の家臣を名乗っていた。」

アネモ「その男マゼルマは四大名家の1つスフィア家に後継者がいなくて困っているという。

心底どうでもよかったが、もう1000年生きてきた。寝てるのも辛くなってきたので私がスフィア家の跡継ぎになった。」

アネモ「なぜ私なのだと聞いたところによると

どうやら1000年前の文献から私に異界の魔力がある事そして私に永遠の命がある事を知ったらしい。」

アネモ「スフィア家の家に着いた時私は目を疑った。スフィア家は後継者が居なくて没落した訳では無い。何故なら目の前の光景はむごい地獄だった。むせかえるような血の臭い

横たわる死人…。後ろのマゼルマは静かにニヤけていた。私は全てを察した。」

アネモ「この男は悪魔だ…私を迎え入れるためにスフィア家を滅ぼした。ただ、私はここで抵抗する事も出来ずスフィア家当主になる事を承諾した。」

とある日マゼルマは私にこう言った。

お前の永遠の命を異界の魔力を取り除くことが出来るかもしれないぞ。

アネモ「私は本性を見せないマゼルマに縋る思いで喜んでしまった。ついに解放されるのかと…」

アネモ「マゼルマの研究で私の流れ出る異界の魔力と永遠の命その2つを少しずつ謎の機械に吸い取られている。

身体が痛い。引き裂かれ痛みだ。でも、やっと1000年の呪縛から開放される。」

アネモ「今にして思えばマゼルマは私の異界の魔力と永遠の命を自分の物にする為に私を使ったのだろう。だが、その時の私にはどうでもいい事だった。」

アネモ「私はしおれた老人のような姿になった。魔力が無くなったのだろう永遠の命も無くなった。後は老いるだけ。」

アネモ「ただ、マゼルマは私に魔力と寿命を溜めておけるネックレスを渡してきた。どうやら私の体は普通の人とは勝手が違うらしい。永遠の命は無くなったが私の時間はまだまだあるらしく体は徐々に若返るそうだ。

だからこのネックレスに若返った寿命と魔力を溜めておいていつか私が死んだ時にマゼルマが貰い受ける算段らしい。」

アネモ「どこまでも最悪な男だと思った。」

《現在から10年前》

アネモ「ある日カジャラクタに7歳の少女が連れてこられた。その子は傷だらけで命が危うい状況だった。話を聞く限り盗賊に襲われて死にかけていた所を発見されたらしい。」

アネモ「私がこの世界に来て初めて触れた人の悪意…その悪意と同じ物をこの子は7歳という年齢で触れてしまった。きっと心の傷は酷いだろう。私は洗脳に詳しいグモスという男にこの子の辛い記憶を消してあげるように頼んだ。

だが、洗脳は記憶は消せず書き換えるだけらしい。」

アネモ「私は決めた。この子の姉になろうとスフィア家当主としてこの子を育て上げると誓った。その後私の妹として洗脳が施された。」

アネモ「その子、キリカは魔法の才能がずば抜けていた。どうやらカジャラクタはキリカの魔力に気づき兵器にする為に連れてきたらしい。

この国は本当に腐っている。」

アネモ「だからこそこの子だけは私が守ると決めた。それからの日々は本当に幸せだった。

すくすくと育つキリカはお花を育てているようでよく笑う子で本当に可愛い妹だった。」

アネモ「私に家族ができた。1000年間探しても手に入らなかった幸せが私の孤独が埋まった瞬間だった。」

アネモ「なんて幸せなのかしら、ずっとこの幸せが続けばいいのにね」

キリカ「ずっと続きますわ!」

《フェンガルド王国 国境付近》

そして現在…

マゼルマ王がアネモの顔に手をかざした。

アネモ「あぁ、、死ぬのね…」

キリカ「っっ!!」

アネモの心の声(キリカ…なんて悲しい顔をしているの。貴方は本当の姉では無い私にそんな顔をしてくれるのね。)

アネモの心の声(あなたが悪い訳じゃないわ

あなたは自分のすべき事をしただけ。

悪いのはこの世界の悪意よ…あぁ、生まれた世界が違ければ私たち本物の姉妹になれたかしら…)

アネモの心の声(貴方と過ごした10年間は私が生きた1000年のどれよりも幸せな日々だったわ)

ただ1つ…最期にあの子に伝えられるなら

アネモ「キリカ!私の可愛い妹…

貴方を愛しているわ。」

アネモはキリカに笑顔でそう言い放った。

黒いオーラを即ち異界の魔力を纏ったマゼルマ王がただ一言。

マゼルマ王「死ね…。」

次の瞬間アネモの身体は木っ端微塵に消し飛び

残ったのは血溜まりだけだった。

キリカ「ああぁああ!!

アネモ…様…アネモお姉様…。」

ネックレスに宿っていたアネモの魔力と寿命がマゼルマ王に流れ込む。

マゼルマ王「ふはははは!これが異界の魔力!これが魔女の力!もう少しだ!もう少しで我の望みが叶う!!」

グレン「……なんてやつだ自分の仲間を…」

フドウ「…しかもこの魔力限りなくゴウカに近しいわね…」

キリカ「……」

キリカは深い悲しみで気を失ってしまった。

レスト「出てきてみたらどうなってんだこりゃあ!」

グレン「勝てるのか…俺達に」

フドウ「はっきり言って六闘志が束になっても勝てるかどうか…」

マゼルマ王「ふむ…ここにもう用はない。

我は客人を玉座で待たなければならないのでな。」

マゼルマ王は自らの戦艦に戻り姿を消した。

グレン「これはまずい事になったな…すぐに我が王に知らせなければ!」

フドウ「このままではこの世界は破滅へと向かってしまう予感がするわ…」

ミゾレ「みなさんど、どうしたの?」

グレン「どこに行ってたんだ!!」

ミゾレ「ちょっと戦ってて…で、でも逃がしちゃった…。」

フドウ「そんなに怒らないのグレンちゃん」

グレン「動ける兵士は動けない兵士の肩をもて!我らはこの戦争の顛末を国に持ち帰るのだ!」


そうして戦争は思いもよらぬ形で終局を迎えた。


《カジャラクタ王国 国王の間 玉座》

マゼルマ王「さて、もうそろそろあの無属性冒険者が来る頃だろう…いよいよだ。

あの者の異界の魔力を我が物に!

ふははは!ふははははは…!!!」

今回は1000年生きた魔女の話でした!

皆さんは永遠の命を与えられたら

どのように生きていきますか?


次回!少し時間は遡りテンマ達の戦いになります!

乞うご期待!

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