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にいちゃんとの再会


さつきの家の前に、空飛ぶリムジンからそういえばどこかで見たことのある紳士ふたりがおりてきました。


「こちらが、合格証と留学手続きの書類でございます。」


「わあ、お久しぶりです!」


「覚えていてくださいましたか。さつきさん。」


さつきが小学生の時に、にいちゃんのちきゅう留学担当だったのです。


あのときも、職務上、表情はあらわにしておらずずっとポーカーフェイスでクールに振る舞っていましたが、今も、同じです。


だけれども、きっとその表情の奥には、嬉しさと笑顔が潜んでいることはすぐにわかりました。



ママが目に涙をためながら言います。


「あの子は、死んだあの子は・・・どうしてますか?」


二人の紳士は少し間をおいて、

「良ければ、お会いになりますか?」

とリムジンの扉をあけました。


リムジンは音もたてず、ドライアイスが床を滑っていくように空に超高速で上がっていきます。


ものの数分であっという間に成層圏まで出ると、立派な宇宙船が待っていました。

リムジンは宇宙船にある穴に入り込みます。

まるで駅のようなホテルのような感じです。


さつきが、リムジンを降りて、宇宙船の中のロビーに入ると、

入り口で待っていてくれたのは、にいちゃんでした。


顔を見るなり、さつきとパパとママは一斉に抱きつきます。


にいちゃんは、あの頃と顔つきも背丈も一緒です。

もう、あれから十年。

だけれども、うちゅうでは時間の流れが違うのでしょう。

すっかりさつきの方が「おねえちゃん」になったみたいです。




「にいちゃん!にいちゃん・・・。死んだんじゃ、なかったの?


ううん・・・ううん・・・知ってる。


うちゅうの『ひみつのことば』は、『いのちのことば』なんだって。


そして、そのことばは決してほろびることもなければ、かわることもない。


だから・・・


・・・あ。


試験の時・・・助けてくれたのは、一緒に居てくれたのは、にいちゃんだったよね。知ってるよ。


ほんとーに完全に何もかもない場所だったね!


『場所もない場所』って面白いの。あはは。」





「うふふ。

これまでのことをお話しするね。



奇跡だ!奇跡が起こったんだ!


僕は確かに死んだ。


そして、『うちゅうの中心』に行ったんだ。


そこにはね、ぼくたちみんなの『親』がいるんだ。このひとが星もすべての生命をもうみだしたんだ。本当は・・・このうちゅうすべての存在が・・・そしてちきゅうじんすべても例外なくこの「親」につながっているんだよ。


大きな大きな光の海みたいなもの。もちろん、それは心を持っている。


そして、その「親」と「ひみつのことば」はひとつなんだ。おなじなんだ。


その「親」は、僕を抱きしめ、語り掛けてくれた。


『おまえは、大事な妹のために、大切なものを差し出した。


もう、二度と地球には身体をもって行くことはできないが、わたしの新しいいのちを与えよう。』


そう言って、その大きな光は、抱えきれないほど多くの・・・ひとつの海ほどもある光を分けてくれたんだ。


それは、思えば、富にもなるし、人を癒す力にもなるし、空を飛ぶ道具にだってなる。


そう、何でもできるんだ。望みさえすれば。


人は・・・自由になれる!


ちきゅうを天国にすることだってできる!」



「ちきゅうを・・・天国にすることだって・・・できる?


がんばる・・・にいちゃん、さつき、りゅうがくしてがんばってちきゅうを天国にしてみせるから!」




「さつき、留学決定、おめでとう。」





・・・「うちゅうの中心」?「みんなの親」?「なんにもない場所」?

・・・・さつきの小さな頭では、例えるなら大きなクジラをフライパンの上にのせて料理しなきゃいけないみたいに、小さな物差しで太陽の大きさを測るみたいに、

何が何だかわかりませんでしたが、

つまり、なんだか、そういうことなんだな、と思うことにしました。



まあ、どうあれ、うちゅうにいけると思うとワクワクします。


どんな世界が広がっているのでしょうか。





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