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合格!

「おめでとうございます!!合格です!!」


その声が場所一杯に響いたかと思うと、

そのとき、空が裂けるように割れて、うちゅうから鳩が合格通知をくわえてさつきのところにやってきました。


「わあ!やったあ!」


パチパチパチ


かぎたろうも笑顔で拍手してくれています。


「おめでとう!

わし、実は試験官やってん。」


「えー!そうだったの!?

全然そんな風にはみえなかったけれど。

つきあってくれてありがとう!」




さて、これで晴れてさつきの合格が決まったわけです。


小学生の時から、ずっとずっと憧れていたうちゅうへの旅が決まったのです。


思えば、本当にいろんなことがありました。


嬉しいこともありましたが、辛いことも多かった。


大好きだったうちゅうじんのにいちゃんは、ちきゅうを素敵な星にするためにやってきたのにもかかわらず、誰からも理解してもらえず、みんなにいじめられて・・・


でも、最後にはみんな仲良くなることが出来て、にいちゃんは役目を果たしてうちゅうに帰っていった。


でも、にいちゃんがいなくなった、そのあと、ちきゅうでは大きな災害に戦争が起きた。

はるか先生もうちゅうじんだったけれど、いいうちゅうじんはみんなひどい仕方でころされていった。


さつき自身も、もう何もかもが信じられなくなって、人を傷つけ、にいちゃんを裏切り、いっぱい罪を犯した。


そして、病気になり、命を落としかけた時、にいちゃんに助けてもらった。


悪いうちゅうじんとつるんでちきゅうを支配しようとしていた人と戦って、地球を救った。



ひとりぼっちだったこと、

つらかったこと、

自分の心の醜さ、

許されてきたこと、

愛されてきたこと、

そして、今こうして生かされてここまでやってきたこと。



さつきは、そんなことを思い出しながら、ぽろぽろと涙をこぼすのでした。






さつき一人だけが、〈特別に〉選ばれてしまった・・・。


さつきは、頭もよくないし、スポーツもできるわけでないし、心が立派かというとそうでもないし、何か特別な才能があるわけでもない。

かといって、努力をしなかったわけではない。けれど、さつき以上に努力した人はいっぱいいます。

自分でもわからない、宝くじに当たったような、説明できないような多くの偶然によってここまで流されてきたとしか言いようがないのです。



試験に落ちた、何億の人びとは・・・無意味だったのかなあ。


やっぱり、選ばれる特別な人と、選ばれない多くの人がいて・・・


「それは違うねんな。」


かぎたろうが言いました。


かぎたろうはひたひたとさつきの方に近づいてきて、軽やかなステップでさつきの肩に飛び乗りました。

それにしても、猫の後頭部から背中にかけての曲線はなんて美しいのでしょう。


「誰だって、特別に選ばれとんねんで。

それぞれの仕方で。

さつきはさつきだけの方法で。

誰とも違うんや。」


かぎたろうは、そのかぎしっぽでさつきの頭をぽんぽん叩きながら言いました。


「うん。」

さつきは、微笑みながらうなづきました。


「大切なことは、そのことに気が付くこと。

自分の中だけにある特別な贈り物を大切にした人だけがその力を一番素敵に生かせる。


他人と比べて、自分にはあれがない、これがないと言い始めたら、

それは、自分の服の裾にひっついてる宝石に気が付かないのと同じ。

もったいないことや。


ええか。

これは、多くの人が言うてること、聞き飽きた話かもしれへんけれど・・・。」


さつきは、この猫のいうすべてのことを知っていました。

だけれども、この猫のいうすべてのことはすべてが初めて聞く言葉のようにうれしいほどに新鮮だったのです。



「うちゅうは、あんたが、夢をもってそれを叶えるために行動する時、

全てを傾けて、あんたの夢が実現することを助けてくれるんやっていうこと。」


「わかった。

知っている。

これまでも、いままでも、そうだった。

うちゅうすべては、さつきのために協力してくれた。いつもいつも。

不思議な力で。

だから、今、さつきはここにいる。


そして、今からも・・・。」



・・・・






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