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時間、再び

どれくらい時間がたったでしょうか。


うちゅうの中では、一年は一瞬のようで、一瞬も一年のようなのです。


さつきは、その「知恵のアプリ」の前ですっかり時間を忘れて、立ち尽くしていました。


いいえ、自分がうちゅうせんに今いることも、そして、このアプリの前に立っていることも忘れているくらい深く眠りこけていたみたいです。


「・・・戻ってきた。

戻ってきたよ。


ただいま。」


さつきがそうつぶやくと、それまでのさつきの人生の思い出や旅をしていたことがうっすらとよみがえってきました。


「・・・また、つむいでいかないと、ね。

だって、りゅうがくの旅はまだ始まったばかりなんだから。」


このアプリを起動すると、どうなるのか。

さつきには分かりませんでした。


ですが、〈知恵のアプリ〉だけには接続しないでください、するなと言われるとやりたくなるのが人間というものなのです。


「この船のなかのエンターテイメントは素晴らしいけれども、飽きちゃったと言えば飽きちゃったのよね。

なんとなく、どことなく退屈でさ・・・。


そう、それが原因なのよ。

何年もボケっとしたようになっていたのは。


そう、もっと、危険で刺激的な遊びが欲しいものね。」


〈知恵のアプリ〉は、見るからにドキドキする色を放っていました。

とにかく、ドキドキして体験してみたくてたまらないのです。


「・・・絶対、これが一番面白いとっておきアプリだから、誰も触らないようにいってるってだけでしょ・・・

ちょっとだけ・・・ちょっとだけならいいよね。」


さつきは、一瞬だけタブレットの先を〈知恵のアプリ〉に接続しました。


そして、触れただけですぐにまた戻しました。


「・・・・なんとも・・・ないよね。」


そうしたことを何回も繰り返した後、

「ほら・・・だいじょうぶ、だいじょうぶ。」

と行為はエスカレートしていきました。


「ちょっとだけ接続しても何ともなかったんだから、もうちょっとだけ接続しても何ともないよね。」


さつきは、タブレットを〈知恵のアプリ〉にもいちょっと長い間接続してみました。


ワクワクとドキドキでさつきはちょっとだけおトイレにいきたくなってくるみたいでした。



しばらく、無音でタブレットはちかちかとしています。



どれくらい経ったでしょうか。


タブレットのチカチカが終わり、〈知恵のアプリ〉がインストールされたという案内がでました。


「・・・やっちゃった。」


さつきは不思議な高揚感に包まれながら、その光景を眺めています。


「何か・・・変わったことはないよね。」



あたりを見回してみても、特に何か異変が起こったという様子もありません。


「なーんだ。

結局そんなことだったんだ。」


とさつきは安心して、戻ろうとしました。



ヘビは手のないくせに拍手をして言いました。


「おめでとう。

特別に選ばれた人。

あなたは、うちゅうの隠された真実を知ることができるよ。


悪い奴らが、この大切な秘密を隠して、善良な人々には教えないでいる極秘の真実を君は読み解くことが出来るようになる。」


その言葉を聞くと、さつきはなんだか自分の身体が重くなったような気がしました。

そして、視界もどことなく、今までぼんやりとしていたものが、くっきりしてくるかわりに、

逆にいままで感じ取ることのできたものが感じ取れなくなっていくような気がしたのでした。

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