一人夜風に
「ちょっと、トイレに行ってくる。」
そう、さつきは言って、部屋の外に出ました。
「はーい。」
二人は快く返事をしてくれました。
本当は少し、一人にさせてほしかったのです。
どこかで風に当たりたい、そう思いました。
宇宙船なので、そんな場所があるかどうかはわかりません。
ただ、人と一緒にいても、
どこか、何もしたくなく、憂鬱になる時というものがあるのです。
訳が分からないけれど、少し、理由もなく泣きたくなる時というものがあるのです。
さつきは、ちきゅうにいたときも、
たとえ、周りにどんなにたくさん人がいても、
たとえ、どんなに楽しくおじゃべりをして一緒にいても、
本当は誰ともつながっていないんじゃないか、つながることはできないんじゃないか、
そう感じて、ふと虚しく感じることがありました。
原因は、単なる寝不足でしょうか、それとも、単なる疲れでしょうか。
そういえば、こちらに来てから、何時間たったのか、何日経ったのか分かりませんが、
まだ、寝てない気がします。
まだ、やってきて数時間という気もしますし、数日、数か月がたったという気もします。
とにかく、自分がどうしたらいいのか、なにをすればいいのか分からなくなって、
窓の外の星を見ながら、ゆっくり散歩をします。
本当は、すべての状況だけでなく、自分自身からもから離れてしまいたかったのでしょうか。
しかし、誰も誰一人として、別の誰かに変わることなんてできやしないのです。
そう思うと、あらゆる他の人たちはみんな、神秘で、ひとつの知り尽くすことのできないうちゅうのようにも感じられます。
また、さつきは、自分自身のことについても、知っているようでいて、何も知っていないに等しいのです。
二人の話を聞いていて・・・まるっきりレベルが違うと思いました。
なぜ、さつきはこんな場違いなところにいるんだろう。
どれだけ努力精進しても、この人たちみたいになれることは少なくとも、一生かけてもありえないと感じました。
こっそり、逃げようとするのですが、めったにないチャンスにえらばれたこともあってなんとかしがみつきます。
本当は・・・そうしたことは大切でないのに、と思うのですが。
うちゅうにも、太陽と同じような星がいくつもあり、
その近くを通る時は、昼のようになりますし、
そこから離れていたり、星の影に隠れているときは、夜のようになります。
この場所は、すべてを離れて超え出ていながら、
すべてと離れておらず、近い場所にありました。
なので、さつきは、夕暮れの涼しい風の当たる場所を選んで、
なるべく、落ち着くことが出来るように、
自分が自分のところに戻ってこれるようにゆっくりと歩き回ることにしたのです。




