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そらくんの自己紹介



そらくんのおうちは、なんとあの誰もが知っているあの大きな有名な会社だそうです。


だけど、お母さんはそら君を生んで間もなく病気で亡くなっています。

その寂しさはいかほどばかりでしょうか。


そんなそら君でしたが、

お父様や、お父様が呼び寄せた家庭教師たちのおかげで、

幼い時から学校の成績もいつもトップで、スポーツもなんでもできる超天才。


家は、軽く球場ほどもある大豪邸。

畳九畳ではありません。

庭に小さな遊園地を所有し、プール付き、高級車が一体何台あることでしょうか。


それに、春夏秋冬に合わせた四つの別荘があります。




それでも、そら君の心の中にはどこか寂しさや満たされなさがありました。

周りの普通の子どもたちと話が合わず、なかなか友達が出来なかったこともあるでしょう。


わずか五歳の時に、「ぼくはうちゅうのひみつを明かすんだ!」と決意したことがあったんですって。


「もし、それが叶わなかったら・・・この場で死にます!」とマンションの屋上から飛び降りたら、円盤がそら君を助けて無事に地上に降りることができたそうです。




お父さんは決して愛情のない人ではなかったのですが、大企業の社長二代目を担う人と期待をかけられ、ありとあらゆる英才教育を施しました。


それらの英才教育を超えて、そらくんは、「一を聞いて億を知る」ほどの千年に一人の大きな才能を持っていました。

小学校入学前にして、学問、芸術、スポーツありとあらゆる分野でプロレベルの能力を発揮しました。

8歳のときには、数学の新しい定理を発見しています。

高校までで教わるすべての内容はおろか、大学生でもうなってしまう学問を身につけ、

すでに、十か国語を自由自在に操れたといいます。


ちきゅうを代表する学者も、スポーツのコーチも、申し出てきました。


「すみません、この子を教えることは無理です。

私がむしろ、この子に教わるべきなのです。」

と。


十歳の時に書いた詩集と物理学の参考書がバカ売れしたそうです。

スポーツも全国大会の常連で、サッカー、陸上の短距離、長距離、サッカー、空手、ボクシング、テニス、、、何でもこなしました。

ピアノ、ヴァイオリンも何度も国際的に高い評価を受けることになりました。


ちきゅうの大スターです。



「・・・か、神ってる・・・」


「いやあ、でも学校では不良少年というレッテルを貼られていたねえ」

と笑いながら言うそら君。


ちょっと言ってることがわけわからないですね。


次の社長として大きな期待をかけられていました。

ちきゅうの官僚や偉いお医者さんになることもできました。


元アイドルで、国で一番かわいいと言われた美少女が彼女になりました。

性格は、明るく、優しく、愛情にも満ち溢れていました。


何人もの男の人が、彼女の笑顔を見ただけで、もうその子の事しか考えられないくらい

誰もが恋に落ちてしまうほどの美しく可愛い理想的な女の子でした。


全ての男性が憧れても憧れても絶対に手に出来ないような高嶺すぎる花を、

そら君は、何もせず、あっさりと手にしてしまったのです。



完全無欠なるなる勝ち組というか、リア充というか、

美貌、頭脳、体力、地位、名誉・・・

おそらく、すべての一般ピーポーの持つ願望のすべてを一ミリも余すところなく手にし、

おそらく、誰がそれを聞いてもうらやみ、幸福だと思うに違いありません。




そんな完璧かつ天才なそら君。

しかし、よく空を見上げてため息ばかりついて、寂しそうな眼をするのでした。



一体何が不満で不幸なのか理解不能です。








「でもね・・・僕はずっと悩みを抱えていた。」

「そら君、あなたみたいな人でも悩みなんてあるの?ぜいたくね。」


そのころから、そら君の憂鬱はますます絶望的になっていきました。



「さつきちゃん、幸せとは何だと思う?」

「うーん、願いが何でも叶うこと?」

「何でも言ってみて」

「好きな人と一緒に居られること、

自分の生きたいように生きることが出来ること、

健康でいられること、

あと、そうだ!

なによりも、さつきのことに世界中のみんなが『いいね』をして、『すごいね』って感動してくれること。数はできるだけ多い方がいい。

そして、それが、ずっとずっとずっと続くのがいい。」


「それが全部叶えば幸せだと?」

「そうでしょ?」


「では、聞こう。

それらは、ずっとずっと永遠に続くだろうか。


好きな人とは、十年後も一緒にいることのできる保証はある?

どこかで疎遠になって、もう会えなくなるかもしれない。

それに、必ず、どちらかの死という形で別れは来る。


何もかもが自分の思い通りになったらいいと、僕たちは思っているけれども、

たいがいそれは裏切られる。


ずっとずっと、自分に都合の良いことが起こるとは限らない。」



「まあ、そりゃあそうだけど・・・。」


「さつきさん、あなたはなぜ生まれてきたの?」


「うーーーん・・・言われてみると・・・。

きっと、何か理由があると思う。

そこに、きっと『望み』があったのかもしれないということは信じている。

だけれども、

さつきが、自分自身をつくったわけじゃない。

それに、さつき自身は何も覚えていない。

・・・わからない。」


「さつきさん、病気をしたことは?」


「一度、病気で死んだことがあるよ(笑)

あれは本当に嫌だった。怖かった。悔しかった。」


「病気にならない人はいるだろうか?」


「うーんと、健康に毎日気を遣っていたらならない!

全く病気に無縁な人・・・多分いると思うけれども・・・

うーーーーん。


そういえば、思い浮かばないや。」


「今は、こうして五体満足で健康な身体で活躍させてもらっているけれど・・・永遠にこれが続くわけないということ。

いくら医学が進歩したところで、ありとあらゆる病気はなくならない。」



「人生、何の問題もなく一生を順風満帆に過ごして、穏やかに何もなく過ごしている人は?」


「あなたみたいな人?

それを除くと、まあ、みんな何かしら問題や悩みはありそうね。

明るく元気にいつも笑っていても、裏ではそれなりに誰だってあると思うわ。」


「では、年を取らない人はどうだろう?

死なない人は?」


「それはないない(笑)」


「そこだよ。

仮に、誰にも負けない頭脳や、体力、財産、地位や、名誉があったとしても、

全ての問題、年を取ることや、死を避けることはできるだろうか?



一日に、何億もの『いいね』をもらったところで、

世界があなたに注目したところで、

あなたは若返り、死なない人間になるだろうか?」


「いやいや、そうはならないけれども、さつき的にはやっぱり、脳内ウハウハでお花畑になった感じで興奮して、どうだーってみんなに自慢したいし、嬉しくてたまらなくて、ニヤケがとまらなくなるだろうなあ。」


「じゃあ、一年後も、十年後も、百年後も、千年後もバズり続けるという保証は?」


「うーん・・・でも、そんな時を人生、一回でも持ちたいじゃん。」


「でも、あなたのことをずっと覚えている人なんていない。

一瞬だけ熱狂して、世の中は、あなたの事なんか忘れ去っていく。

あなたのことは、単なる消費される一瞬の刺激、情報でしかないんだ。」


「・・・」


「虚しくならないかい。

やはり、それは、不幸と言うべきほかないんじゃないだろうか。


どれだけ、世の中から賞賛を得られようが、

ちやほやされようが、注目されようが、

そして、その結果、滝のようにお金が流れ込んでこようが・・・

それは、そのこと自体に永遠の価値があるわけでなくて、

単に消費されるコンテンツに過ぎなかったというに過ぎない。


それは、人生の目的にしていいものなのだろうか。

それが、果たして本当の成功と言えるのだろうか。


それを失ったとき、また得られない時、

僕たちは生きている価値がなくなったように思い、ひどく空しさを感じるし、

仮に、ちやほやの絶頂の渦中にいる時でも、どこかでそれが忘れ去られていくことを恐れているのだ。」




「やなこといわないでよ・・・。

考えたくもない。」


「・・・みんな、僕のことを幸せ者だ、成功者だ、帝王だと言う。こぞってうらやましがる。

・・・僕には、ママがいない。死んじゃったのさ。まだ小さい時に。」


「・・・」


「名声だって手に入れた。

子どものときから、僕は、世界中からちやほやされ、憧れられ、

時には、何万人もの人を熱狂させ、そして、憧れられた。


ちきゅうのあらゆる小さなお店にも僕のプロデュースしたグッズであふれている。」


「ひえー!そんなそらくん、有名な人だったの!

じつは、うちテレビないからそういうことに無頓着だったけれど。

あー、そういえば、クラスメイトのみんなそんなことで話してた気がする。」


「ちきゅうの歴史に残るような大発見もいくつかやったし、

有名にもなったし、世界中から注目もされた。


だけど、興奮もブームも醒めるものだよ。


それを保ち続けるために、

人々に刺激を提供し続け飽きさせないようにするために、

その後はいつも、奴隷になったように永遠に戦いを続けなきゃいけないのだ。

栄光の座に座り続けるために。

いつの間にか、それが生きる目的になっている。


それは、永遠に続くわけはない。

百年したらすべては跡形もなくなり、一億年したらすべては無、だ。


僕たちは、みんなみんなみんな、虚しさいものの奴隷になっているのさ。


結局、人間は不幸、不幸、不幸、みんな不幸なのさ。

虚しいものを空しいものと気が付かずに、

それが人生の目的だと思い込まされている限りは。」


「・・・さつきは・・・実はバズりたい、有名になりたい、みんなからちやほやされたい、たくさんの人に愛されたい、尊敬されたい、特別な人としてみんなから憧れられたい、お金をたくさん持ちたい、

・・・どこかで、ずっとそう思っていたし、

そして、それがなければ、生きていても仕方がない、なんてことをどこかで思っていたと思うの。」


「いいと思う、いいものだよ。そういうことも。

それに、さつきちゃんは、そうなれるはず。

大切なことはそれが目的ではないということだ。」


「ちきゅうじんは、みんな死刑囚と同じだね。

いつかは分からない・・・いつかは分からないけれども、一歩一歩絞首台に人生という歩みを進めていく囚人と何も変わりはしない。

いくら、学歴や地位やお金があったって、世界中からチヤホヤされたところで、結局何もかも死んだら捨てていかなくちゃならないんだ。」


「うわぁーーー、暗い、そういうこと考えるのやめようよ。

・・・と言いたいところだけど、わたしも中学生のころそんなことばっかり考えてたなぁ。」


「・・・今のちきゅうの学問はすべて、目に見えるものや観察できるものしか扱っていない。

そして、今や学問は、宇宙の真実を求めるためではなく、出世の道具でしかないんだ!

それで、本当に悩んでいる人を救うことができるだろうか。」



そんな風潮に、そら君は虚しさを感じます。




あるとき「本当の学問がしたい!」と大学卒業前に、自主退学、

大会社の社長のポストはおろか、

すべてを捨てて、何も持たずに世界中を旅行して回ります。



「ちきゅうの最高学府のトップが、いきなりホームレスに転落したというわけね。」


「その時に、会社も車も別荘も家も宝石もみんな、そこらへんの人、特に困ってる人にあげてしまった。

それで、まるっきり無一文になってしまったよ。」と笑うそら君。


その時に見せたそら君の笑顔が、本当にすがすがしいものでした。



「すべてを捨てすぎるあまり、着ていた服まで全部脱いで、生まれたままの姿になってしまったよ。

というのも、うちゅうは、裸で僕を生み、裸で僕は還っていくものだから。」



「いや、ちょっとそれは・・・さすがにアウトでしょう。

親はなんて言ったの?」


「『頭が良くなりすぎてそらは狂ってしまった!

警察を呼べ!医者もだ!』


とね(笑)


親とは大喧嘩でね・・・。何が何でも引き留めたかったようです。

跡継ぎがいないと会社は倒産してしまうし。」


世界中が「あいつは気が狂った!」とそら君を非難し、大笑いしました。


「でも、心は自由だったよ!

所有なんて本当は存在しない。

このうちゅうすべてが自分のもので、自分はこの大宇宙の一部だということをはっきり感じられたのさ。

巨大な星空の下で、僕は溢れる喜びを感じていた!」


無一文のところから、そら君のところには、なぜかまるでパチンコのフィーバーか万馬券が続けて当たるかのごとく大量の寄付金が集まりましたが、そら君はそれをすべて自分のものとはしませんでした。


働くこともできない貧しい人や、病気で苦しんでいたり、

世の中から見捨てられた人、

食べるものや泊まるところがなくて困っている人のところに、全部つぎ込んでしまいました。


何億円とする最高級のスーツに身を包んでいた青年は、いまやヒッピーのようなTシャツとジーパンといういで立ちで、砂漠やジャングルといった発展途上国に巨大なダムを作ったり、橋をかけたり、学校を作ったりしていたそうです。

医療の技術も持っていたので、現地の人を助けたりもしました。

あとは、絵も、書道も、ピアノやオルガンやヴァイオリンも世界的に一流!

この人の語ることはすべて真実に思えてしまうのですから不思議です。


間違いなく、ちきゅうじょうで神さまに近い偉大な男と言えばそら君しかいないでしょう。

この人にできないことはあるのだろうか、と思うのですが、

そら君の心のなかにあるのは「奉仕」のみです。すべてを人のことを喜ばせるために使いました。

まるっきり私心がなく心に濁りのない人です。


もし、本当に神さま仏さまという存在がいるなら、この人は地上に現れた神さまなんじゃないかと思わずにはいられないし、同じ空間で息を吸っているだけで何か運命が大きく変わる不思議な力にあふれた人でした。

そんな力が自分にはあることを認めつつも、

「ふふ・・・僕がすごいんじゃないんだよ。この力はほんとうは人間であれば誰しももっているだけ。気が付いていないだけなんだよ。」と謙虚そうに述べます。

「そら君、謙虚だねえ・・・。」

「いやいや、本当のことだよ。僕がすごいんじゃなくて、僕に働いているうちゅうの『おや』がすごいんだよ。」

・・・そんな存在とわたし、さつきはプライベートでお話ができているどころか、ちきゅうで三人しかいないうちゅうへの留学生として選ばれているのです。


うちゅうの様々なことについて学び、いつしか留学を志すようになります。


その旅の途中、名もないあるうちゅうじんから「うちゅうのことば」を教わります。

考えたり、勉強したりするだけでは決して分からない「ひみつ」でした。


うちゅうのすべてをつくって、すべてをひとつに結んでいる「ひみつのことば」。


・・・それ、たぶん、うちのにいちゃんだ。



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