うちゅうへの留学
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さつきはたったひとり、まばゆいばかりの光のあふれるステージに立っています。
そして、このちきゅうのひとびとを見ています。
そうです。さつきは、ちきゅうじん初のうちゅう留学団に選ばれたのでした。
何十億分の一もの倍率を勝ち抜いてきて、さつきはいまこの場所に存在しているのです。
試験は偶然あの喫茶店についたとき、一斉に始まりました。
さつきは窓から空をみあげました。
「にこっ」とお空が笑ったような気がしました。
それをみて、さつきはそれまで感じたことのないようなドキドキを感じました。
その時、きらっと空が光ったかと思うと、うちゅうから数えきれないほどに細く枝分かれした光がふりそそぎました。
なぜかわからないけれど幸せな幸せな感覚で、目の前が真っ白になって、それまでずっと欲しかったもの・・・きっとそれはもともと自分のもので、自分の大切な一部分であったはずのものと、もういちど一つになれたような、そんな嬉しさだったのです。
そして、その光はあらゆるものをつきぬけて、ひとりひとりの手元に訪れました。
光の先にはまるで綿毛のような淡くてあたたかい様々な色の水晶のようなオーラがかがやいています。
「わぁっ!・・・これは、なんだろう。・・・封筒?
中に試験問題が入っているのかしら。」
さつきがその光の先に触れると、それはシャボン玉のようにパンっと割れて、手元に封筒が自分から落ちてきました。
緊張とワクワクの入りまじったような気持ちでその封をあけます。
開けると、「種」と手紙が入っています。
手紙にはこう書かれていました。
「受験生 さつき殿。
これは、特別に〈あなただけ〉に与えられた種です。
あなたは、この種を〈発見〉しなければいけません。
そして、大きく豊かに育てなければなりません。
それが、今回の試験です。」
種を「発見する・・・?」
どういうことだろう。
さつきは、首をかしげながらも、その言葉を心に留めて、手紙と種の入った封筒をポケットに入れて、外に出て「一体どんなことが起こるのだろうか」と歩き続けました。