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・・・自由に生きよう!  作者: 夜叉神
第二章 森の異変
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117.一日の終り



 お風呂を出るとユアはタオルで自分を拭き始めたので私もささっと拭いて服を着る。それからユアに私の服を渡すとユアにお礼を言われながら肩を貸してユアが服を着るのを手伝う。ほぼ一人で立てているからさっきより回復したみたい。


「さっきより動けるようになったね?」

「うん、少しなら歩けるかも」


 と言ってフラフラと少し歩いていたが少し危なっかしいユアの体を支える。


「それならよかった。でも、まだフラフラしているから私が支えながらだけど私の部屋へ行こうか?」

「う、うん」


 そうしてユアと一緒に私の部屋へ移動することにした。ユアを支えているとき、顔を見るとうっすら赤くなっていたけど気のせいかな? と思いながら私の部屋まで歩いた。




 部屋に着くとユアをベッドに座らせてからラナさんの所に行く。さっきラナさんが運んでくれると言っていたけど忙しそうにしていたのとお盆に載せてくれたこともあって、私1人でも運べるからと断って部屋へと戻って来た。


 そうして夕食を持ってくると少しだけ不思議そうにしていたからさっきの人が忙しそうにしていたから私が持ってきたことを伝えておいた。するとユアは少し驚きながらも頷くと私が持ってきた夕食に視線が言っていたので早速食べることにした。ユアは最初恐る恐ると言った様子で食べ始めたが一口食べるとおいしい料理に驚きながら食べて幸せそうな表情をしていた。


 その様子を見て思っていたよりも元気そうで少し安心した。そして料理を食べ終えたので食器を返しにラナさんの所に行った。




 部屋に戻るとユアがお礼を言ってきた。


「レーナちゃん、いろいろありがとう」

「気にしなくてもいいよ。それより今日はもう寝よう? いろいろあって疲れたでしょ?」

「うん」


 私はベッドの奥に入って横になるとユアも横になった。


「ユア、お休み」

「うん、お休みなさい」


 私はユアにそういうとすぐに眠りに就いた。




 それからどれくらい寝たのかわからない頃に横で何か蠢いていたので目を覚ますと横にユアがいなかった。どこに行ったのかな? そんなことを思って体を起こすとユアがベッドから立ち上がろうとしていた。


「トイレ?」

「(ぅわぁ!)」


 私はユアに声を掛けるとユアは声を抑えながら飛び跳ねた。ユアの驚き方に私も少しびっくりしたが寝ていると思っていたのに声を掛けられたら驚くのは当たり前かと思った。


「いや、これは、その……」


 とユアはなぜか言い訳みたいなことを言いながら焦っていたのでどうしたのかな? とそんなことを思っているとユアが私のブーツを履いていることに気が付いた。あ~、道理でユアが焦っている訳だ。

人の物を勝手に履いているから怒られるとか思って焦っているのかな? まぁ、昔妹がよく私の物を着たり履いたりしていたからそれと同じような行動なのかな? そう思うと何だか少し懐かしい気がする。

最初は、何だか羨ましそうにしているなぁ。としか思っていなかったのにある日勝手に使っているから怒った記憶がある。そのときはあまりにも泣いたから私に許可を取りなさいとか言っちゃって私の物をよく使っていたけどどうしてなのかな? 新しい物じゃなくてどちらかというとよく使っていた物にそういった傾向がよくあったけど……。


 とそんなことを思っていたけどユアはおそらくトイレに行こうとして起きたはずだからそのことを先に済まさないといけないと思った。現にスカートの上から股を押さえているし……。


「とりあえずトイレに行きなさい。場所はわかる?」


 そう言うとユアは首を横に振ったので仕方ないのでついて行くことにした。まだちゃんと歩けるか不安だし……。


「じゃあついて行くからユアのブーツ借りるよ?」


 そう聞くとユアが頷いたのでユアのブーツを借りてからユアの手を引きながらトイレまで連れて行ってあげた。




 トイレから出て来たユアは私をチラッと見たかと思ったら落ち着きがなさそうにそわそわしていたがそのことは気にしないで部屋まで戻った。

 部屋に戻りベッドに腰を掛けてユアに隣に座るように促すとユアは唾を飲み込んだかと思ったら緊張した面持ちで横にゆっくり座った。


「……れ、レーナちゃん、ごめんなさい」


 そう言ってユアは私の方に頭を下げてきた。何て切り出そうか迷っていたらユアの方から話して来た。


「その、勝手にレーナちゃんの物を使って、ごめんなさい」

「(ふふふ)」


 私はそんなユアの様子を見て笑いが込み上げてきたが声にならないように気を付けた。まさか昔、妹が私の物を勝手に使った時と同じことを言ったから思わず笑いそうになった。それから何とか気持ちを静めて頭を下げているユアを見た。


「ユアがやったことは盗みと同じようなことよ? それは分かる?」


 そう言うとユアが頷きながら体をプルプルと震わせていた。もしかして私が凄く怒ると思っているかな?


「私はそれなりにユアの事を知っているから盗もうとしたわけじゃないことは分かるけど今後そのようなことはやらないように。もし、私にやって欲しいことや借りたいものがあれば私に直接言うのよ? 分かった?」

「え? は、はい!」


 とユアは私の言ったことに一瞬困惑していたけど今は怒っていないことに気が付いたのかしっかりと返事をした。


「ものによっては、許可できないかもしれないけど分かった?」

「うん」

「それなら、もう一度寝ようか? まだ外も暗いことだし」


 そのことに頷いたので私達はベッドで横になる。するとユアから躊躇いがちにこんなことを聞いて来た。


「その、レーナちゃんに抱きついて寝てもいい?」


 とそんなことを聞いて来た。そのことに驚いてユアを見るとユアは顔を隠すように下を向いている感じだった。でも暗いながらもユアの耳が赤くなっていることは分かった。そんな様子のユアを可愛らしいと思いながら返事を返す。


「いいよ」


 そう言うとユアがチラッと私の顔を見たのかと思ったら顔を私の胸に埋めながら抱きついて来た。そのことに驚きながらも私もユアを抱きながら本当に可愛い妹が出来たみたい。まぁ、ユアの方が年上だけど……。


 そんなことを思っていたらユアが泣いていることに気付いた。私はユアの背中を撫でてあげるとユアがピクッと動いた。私はそのままユアを撫でていたらいつの間にか眠りに就いていた。



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