60.ルミア達の学園でのお話
私達が宿に戻ると既にルミアとフローラが学園から戻って来ていた。
「あ、レーナお姉ちゃん達が帰って来た」
「レーナちゃん、ユアさんお帰りなさい」
「ただいま」
「ただいま」
と言いながら彼女達が近づいてきた。
「学園の方はどうだった?」
「お話を聞いて必要なものを受け取ってから、在校生の方に案内をしてもらったよ」
「在校生……」
それって、もしかして、貴族の子かな? ルミアの様子を見ている限り何か問題があったようには見えなかったけど、念の為確認をしておいた方がいいかな?
「貴族の子に何か言われたりしなかった?」
「そ、そんなことはなかったよ。それに私達の案内をしてくれた先輩は同じ平民出身だったから特に問題はなかったよ」
「それなら安心だね。でも、貴族出身が多いらしいからいろいろ気をつけてね?」
「うん。一応、その辺りの説明も受けたけど、基本的には丁寧に話すことを求められたよ」
「それって、入学式の時大丈夫なの?」
「多分? 平民出身の私達は、その辺りのことを先に学んでから実践で磨いて行くって言っていたけど……」
とルミアは少し不安そうにしていた。
「まぁ、分からないことは学ばないとどうしよもないか……」
とそんなことを思いながら、ルミア達から話の続きを聞いたのだった。
それからルミア達にどんなところを案内されたのかという話を聞いたのだが、とにかくいろいろな教室や施設などが広くて大きいということが分かった。まぁ、そういった場所に縁もなかったこともあり、広くて大きいことに驚くのは仕方ないのかもしれない。そもそも、この宿も大きくて驚いていたのだから。
「驚くこともたくさんあったと思うけど、これからは、そこで勉強をすることになるのだから頑張るんだよ?」
「うん!」
「はい!」
と2人とも元気に返事をした。すると、2人が急に顔を見合わせる何故か頷き合っていた。何かあるのかな? と思っていると、フローラが話し出した。
「……それで、その、学園の案内をしてもらったって話したと思うのだけど、そこで案内をしてくれた先輩がバイトを紹介してくれたの」
「ん? バイトの紹介?」
平民出身の子が仕事の紹介? あ、でも、なくはないか。商家出身の子がいる可能性が高そうだし。
「そうなの」
「因みにどんな仕事なの?」
「それは……」
とフローラが話していると、部屋をノックする音が響いた。
「あ、もしかしたら」
そう言って、ルミアが扉を開けるとそこには見覚えのある子がいた。




