56.冒険者学校卒業試験の見学
ザックさんに案内された場所に着くとそこでは既に模擬戦が行われていた。まぁ、この間見た模擬戦とはそこまで変わらないけど……。
それからザックさんの話を聞いていると今日の模擬戦の相手をしているのはBランク冒険者がだということが分かった。まぁ、それが分かったところで、冒険者学校の卒業生では軽く相手をしている程度なので、Bランクの実力がどれくらいなのかはよく分からなかったが少し残念だけど。そんなことを思いながらユアの方を見るとユアは、彼等の模擬戦をしっかりと見ていた。
「ユア、この模擬戦を見ていて楽しい?」
「うん。いろんな人の戦いが見ることができて勉強になるの」
とユアはそう言った。私としてはちょっと退屈な模擬戦だけど、ユアにとっては学ぶことが出来る模擬戦のようだった。
「それならよかったわ」
とユアが勉強になるのなら見る価値はあったのかな? と思いながら模擬戦を見ているといつの間にか全員分の模擬戦が終了した。
「とりあえず、これで試験は終了だな。後は、午後にギルドカードを渡して、今年度の卒業生は冒険者として明日から活動していくことになる」
「午後にはギルドカードを渡すのですか?」
「ああ、この後、審判と試験官で話し合って決めることになる。まぁ、基本的にはどこまで出来ていればどのランクになれるのかが決められているからそう時間が掛かるものじゃない。おそらく一部の生徒以外はすんなりと決まるだろう」
「それでも、例外があるってことなの?」
「まぁ、そうだな。Dランク、Cランクになるとそれだけの実力があるのかを話し合ったりもする」
「そうなんだ」
「まぁ、今年は数人の生徒がDランクになるくらいであとはEランクだと思われるがな」
とそんなザックさんの話を聞いている間に冒険者の話が終わったようで、生徒達がその場を去って行った。
「どうやら終わったみたいだな」
「そうですね。私達もこれで失礼したいと思いますが、ザックさんに1つ聞きたいことがあります」
「何だ?」
「エレオノーラさんの工房はどこにあるのか知りませんか?」
「エレオノーラさんの工房なら、王都でもかなり有名だから知っているぞ」
「本当ですか? どこにあるのか教えて貰っても?」
「いいぞ」
そう言ってザックさんにエレオノーラの工房を教えて貰ってから私達はその場を後にしたのだった。




