42.冒険者学校の見学? 9
模擬戦の決着がつくとみていた生徒がざわついていた。まぁ、体格差もかなりあったから私が勝つとは思わなかったのだろうけど……。
「ほら、彼女の模擬戦が終わったから続きを始めるぞ。それといつまでも蹲っていないで立ちなさい」
そう彼に声を掛けたが、未だにお腹を押さえて蹲っていた。どうやら声を出す余裕もないみたい。
「……誰か、治療ができるものを呼んできてくれ」
「は、はい」
すると女子生徒の1人がそう言って建物の方へと駆け出した。それからザックさん蹲っている生徒に声を掛けながら何かしていると何人かの大人が担架をもって来た。そして、ザックさんが来た女性に何かを話すとその女性が何かを調べていた。そして、しばらくすると彼を担架へと乗せて建物の方へと消えて行った。
「さて、とりあえず、模擬戦を再開するぞ」
そうザックさんが言うと1人の生徒がこんなことを聞いてきた。
「あの、彼はどうなったのですか?」
「あぁ、どうやら骨が折れているみたいで治療を受けるそうだ。とりあえず、今日は戻ることはないだろう」
とザックさんはそう言った。
(やっぱりあの変な音は気のせいじゃなかったのか……)
とそんなことを思いながら事の成り行きを見守った。
その後、生徒達がザックさんに私のことを聞いていたが、対応に困ったようで、私に、「嬢ちゃんのことを少し話してもいいか?」と聞かれたので、「当たり障りない範囲なら」と答えた。するとザックさんは、詳しくは説明しなかったが私がDランク冒険者であることを伝えるとみんなが驚いた様子で私の方を見てきたが……。
その後、大半の生徒は私のことを興味深そうに見ていたがザックさんが模擬戦を再開すると言って模擬戦の方に集中してくれた。私はというとこの模擬戦が終わったら面倒なことに巻き込まれるかもと思い。早めにその場を後にしたのだった。
それから私達は、どうしよう……。と悩んだのだが、今日はここまでにして宿に戻ることにした。多分だけど、ルミア達の方の試験が終わっていると思うからね?
「それにしてもレーナちゃんの模擬戦すごかったの」
「え? そう? 大したことはしていないと思うけど?」
私のことを大して強くない思って最初の攻撃を譲ってくれたから遠慮なく攻撃を仕掛けただけだし。
「そんなことないよ。大きな男性を吹っ飛ばしちゃったんだから凄いよ」
「あぁ、でも、あれは彼の油断があったから簡単にできただけだよ。普通に戦っていたからそんなことにはならなかったと思うし」
少なくても最初の内は小手先調べをしてから普通に戦って、勝てる方向にもっていくだけだし。まぁ、負けるとは思っていなかったけど……。
「そうかな?」
とそんなことを話していると宿に着いたので、部屋に戻るとそこにはソファーで少しぐったりしていたルミア達がいた。どうやらもう戻って来ていたようだった。とそんなことを思っているとルミア達は私達に気付いたのだった。




