39.冒険者学校の見学? 6
「どうしたんだ?」
「先ほどから気になっているのですが、どうしてそこに子供がいるのですか?」
そう言いながら男の人は私達の方を見てきた。
「あぁ、彼女達のことか。彼女達はただの見学者だ」
「この冒険者学校では見学は決まった日以外はできないはずでは?」
「確かにそうだが、今年は、この学校が設立10周年を迎える。それで、各ギルドに有望な若手冒険者を招いている。彼女達はその関係者だ」
「なるほど。つまり、今年入学予定の生徒というわけですか……」
と言いながら私達のことを見てきた。
「まぁ、一般的にはその考えでは間違ってはいないな」
「それなら彼女達も模擬戦に参加してもらったらどうですか?」
「そうだな。嬢ちゃん達はどうしたい? 参加してみたいか?」
そうザックさんに尋ねられたけど、大勢の前でやるのはちょっとなぁ……。と思い断ることにした。
「大丈夫です。私は皆さんの様子を見学させてもらいます」
「わ、私も見学だけでいいです」
というと男の人は少しつまらなそうにしたが、あることを思いついたかのようにこんなことを提案してきた。
「あ、もしかして、ザックさんと戦うのは……。と思っているなら僕が相手になるよ? 冒険者の先輩として、初手ぐらいなら譲ってあげるしどうかな?」
と男の人はそう言ってきたが、どうして私にそんなことを言ってきたのだろう? と思いながら困ってザックさんの方をみると、ザックさんは溜息をついた。
「嬢ちゃん、嫌じゃないのなら彼に付き合ってやってくれ。一応、彼は今年の生徒の中では1、2を争うくらいには強いが……。もちろん打ちのめしてもいいぞ」
と笑いながらそんなことを言われた。
「流石に年下には負けませんよ」
と言いながら私の方を見てきたのだが、みんなが私に注目していた。流石にこの状況でやりません。とは少し言い辛い。まぁ、言っても構わないけど、適当に相手して負ければいいかな? とそんなことを思いその模擬戦を承諾したのだった。




