37.冒険者学校の見学? 4
足音がした方へ振り向くとザックさんがこちらの方に歩いて来ていた。
「ザックさん?」
そう声を掛けるとザックさんは少し驚いた様子を見せながら私の方へとやってきた。
「珍しいな嬢ちゃん達。ここ最近冒険者学校に毎日来ていたけど、図書室で過ごしていなかったか?」
「そうですね。私は少し前に、置いてあった本を全部見終えてしまったので、ちょっと見学をしていたました」
「わ、私は、レーナちゃんから生徒らしき人達が訓練していると言っていたのでどんなことをしているのかを見に来ました」
「なるほど。どうだ? 駆け出しの冒険者と比べると結構しっかりしているだろ?」
とザックさんが彼等の模擬戦を見ながらそう言ってきた。
「え? そうなのですか?」
と言いながら彼等の模擬戦をみたがどの辺がしっかりしているのかが分からなかった。そもそも、駆け出しの冒険者の模擬戦や戦闘を見たことないかも? ユアが前所属していたパーティーはあれだったけど、目の前で行われている模擬戦とそこまで差がないように感じるし……。
「え、えっと、駆け出しの人達と比べるとしっかり触れていますね」
とユアが少し困った様子でそんなことを言った。
「そのなの?」
「うん。レーナちゃんはそう言った人達の模擬戦とか練習とか見たことないの?」
「……そう言われると見たことないかも?」
「見たことないって、練習とかはどうしていたんだ?」
「え? 外とか?」
「外だと?」
「誰もいなくていいですよ?」
「いや、そういうことじゃないんだが……。じゃあ、模擬戦の経験はあるのか?」
「それはありますよ? 冒険者ギルドに入った初日とかこの間の昇格試験とか」
「昇格試験の模擬戦は分かるが冒険者ギルドに入ったときの模擬戦とは何だ?」
「ギルドに加入するときの年齢制限に引っかかっていたから戦闘ができるかみるための模擬戦です」
「……なるほど。そう言えば君達は大分若かったな」
とザックさんは苦笑いをしていた。
「それよりも、ザックさんはどうしてここに来たのですか?」
「あぁ、今日は俺が生徒と模擬戦を行う日だからだ」
「そうですか、ならその様子も見学させてもらいます」
「構わんぞ。何ならもっと近くで見たらどうだ? そんなに遠くから見ていないで」
「まぁ、そういうことなら近くで見学させてもらいます」
そういうことで私はザックさんの後に続いて彼等が模擬戦をやっている場所へと移動したのだった。




