20.王都に到着
「着いたのはいいけど凄い行列ね」
「うん。順番が回って来るまでにかなり時間が掛かりそう」
とそんなことを思っているとアルさんはその行列を避けるように進みだした。するとユアが恐る恐るアルさんに尋ねた。
「あ、あの、並ばなくてもいいのですか?」
「問題ない」
とそう言うとアルさんはそのまま先へと進んで行った。詳しくは分からないけど、この行列を素通りすってことはもしかして、アルさんは貴族なのかな? とそんなことを思っていると入口から少し離れたところで兵士の人は私達が乗る馬車に近づいてきた。
「すいませんが身分証を見せていただけますか」
そう言われるとアルさんは懐から短剣を取り出して、それを兵士が受け取った。
「ラルクス様ですね」
「あぁ、そうだ。中に居る2人は私の教え子で、武器を持っている者達は雇った冒険者だ」
「分かりました。念の為、冒険者の方はギルドカードを見せてもらっても?」
そう言って兵士の人が短剣をアルさんに返したので、私達はギルドカードを兵士の人に見せた。
「はい。大丈夫です。お通りください」
「ご苦労」
そう言ってアルさんは馬車を進めて私達は門を潜ったのだった。
そして、王都の中に入ると兎に角、人が多かった。
「……凄い人だね」
「そうだね。もしかしたら入口だからかもしれないけど、明らかに住んでいる人の数が違うわね」
と人の多さに少し驚いるとアルさんが。
「これでも、人は少ない方だ。混む時間になるともっと人が増える」
とそんなことを教えてくれた。
「そ、そうですか……」
「とりあえず、宿へ向かうぞ」
そう言うとアルさんは馬車を進めたので私達は街並みをみながら馬車に揺られていた。




