112.結果
部屋の中に入ってきたゲンツさんは部屋の中を見渡した。
「ちゃんと全員揃っているようだな」
そう言いながらゲンツさんは教壇に立った。
「さて、以前話していた通り、この場で今回の試験結果を伝える」
そう言われると部屋の中に緊張が走った。
「今回の合格者は、レーナ、ジェイド、ユミル、ユア、メアリーの以上だ」
「な!? どうして俺だけ!!」
するとその結果を聞いたランデルがそう声を上げたがゲンツさんは淡々と様子でランデルに話しかけた。
「ランデル、今お前は『どうして俺だけ』と言ったが、今回の依頼は何だった?」
そう聞かれたランデルはゲンツさんのことを訝しみながら答えた。
「そりゃあ、盗賊を倒すことだろ?」
「あぁ、そうだ。それで、どういった条件だった?」
「必ず盗賊を殺すことだ」
「……他には?」
「はぁ? それだけだろ?」
そう言ったランデルにゲンツさんは溜息を吐きながら辺りを見渡すと私と視線が合った。
「レーナ、他に思いつく条件はあるか?」
「えっと、思いつくことを全部言えばいいのですか?」
「そうだ。分かる範囲で答えてくれ」
「分かりました。今回の依頼の条件として先ほどランデルが言ったことを除くと、1つ目はパーティーを組むことです。2つ目はリーダーの指示に従うことです。3つ目は適応能力だと思います。後は、今回の試験が『依頼』である点でしょうか?」
そう答えるとゲンツさんは頷いた。
「細かい点は一旦置いておくにしても。今レーナの言った通りだ。まぁ、普通は、ランデルが言った通り狼狽えることなくできれば特に問題はなかった。ただ、あそこまでパーティーをないがしろにしたのは試験官をしていて初めて見た。いくら、それなりの実力を持っていても、今回のランデルの言動などは不適格だ。今後は、改善が見られない場合は厳しく指導をする。また、問題を起こした場合はランデル、お前が真っ先に疑われるのを覚悟するように」
そう言われたランデルは途中から口をパクパクさせながら何かを言うとしていたが最終的には呆然としていた。まぁ、あれだけのことをしたのだから当たり前だと思うけど、どうして、受かると思っていたのか……。とそんなことを思った。
「とりあえず、ランデルに関しては以上だ。部屋を出るように、もし何かあるようであれば隣の部屋を一応取ってある。そこで待機しているように」
そうしてランデルは部屋を出て行ったのだった。




