103.ルミアの今後について3
何が難しい問題なのかが分からなかった私は思ったことをそのまま呟いていた。
「随分簡単な問題ですね」
そう言うと先生は怪訝な様子で私の方を見てきた。
「何を言っているこれだけの問題を1時間で解くのだぞ?」
「え? 1時間もあるの?」
それは待ち時間がだるそうだなぁ……。あ、もしかして終われば早く出られるのかな?
「レーナお姉ちゃんは計算が得意なの?」
「え? 別に得意って程ではないよ? 多分普通?」
「……試しに解いてみろ。時間は1時間だ」
すると先生がそんなことを言ってきた。
「え?」
「何だやらないのか?」
「いえ、そんなことはないですがルミアの勉強用では?」
「別の奴がある」
そう言って渡されたのは先ほどと似たような問題構成だった。ただ、桁数が少し多いが特に問題はなさそうだと思った。
「分かりました」
そう言ってペンを受け取り、答えだけを次々と書き込んで行った。ただ、後半になるにつれて暗算でやるのが少し時間がかかったけど、問題なく解くことができた。
「終わりました」
そう言って顔を上げると2人とも驚いた顔をして固まっていた。何を驚いているのだろうとそんなことを思いながら声を掛けた。
「終わりましたよ」
「っは、そ、そうか少し待ってくれ」
そう言って先生は持っていた鞄からあるものを取り出した。一体何だろう? 通って覗き込むとどうやら先ほど解いた問題の答えだった。どうやらこのまま採点をしてくれるらしい。そしてその採点が終わるのを待っていると先生が顔を上げた。
「……全問正解だ」
そう聞いて私は少しホッとした。計算なんて早々することがなかったから計算ミスなく解くことが出来ていたのか少し不安だったから。
「それならよかったです。久しぶりにやったので全問合っていてホッとしました」
そう言うとまた先生が驚いた顔をした。
「……普段から計算の練習をしているわけではないのか?」
「? そんな面倒なことはしませんよ? やってみて欲しいと言われたので解いただけです」
「……レーナ君もルミア君と一緒に受験をしてみないか?」
「私には無理です。勉強が好きではないので」
「そうなのか。その計算能力は凄い才能だと思うだが……」
「大したことはしていませんよ?」
そう言うと先生が何故か呆れた様子で私のことを見てきた。
「どうやら本気で言っているようだな。まぁいい。できたら、ルミア君に計算の指導をしてもらえるとありがたい」
「それくらいなら構いませんが……」
「それでは頼むぞ。私はそろそろ時間なのでこれで失礼する。君達は気を付けて帰るように」
そう言って先生が去って行ったので私達は宿へと戻ることにした。ただ、その帰り道、ルミアが何か言いたそうにしていたけど、聞いても「別に」としか答えてくれなかった。本当にどうしたのだろうか? とそんなことを思いながら宿へと戻ったのだった。




